
重厚なストーリーと映画のような視聴体験!
年末年始はアニメ『アークナイツ』をイッキ見しよう!
2022年10月からテレビ東京ほかで放映され話題を呼んだアニメ『アークナイツ【黎明前奏/PRELUDE TO DAWN】』。“ケモ耳”の愛らしいキャラクターがいっぱいの萌えアニメ!?と思いきや、作り込まれた世界観の中で重厚なストーリーが展開し、多くのアニメファンを唸らせた作品だ。
この12月にはついに最終8話の放映が終了、そして各プラットフォームでの配信もついに全話が出揃った。スコープサイズのハイクオリティな映像や臨場感バツグンの5.1chサラウンドを誇り、没入感のある“シネマティックアニメーション”を標榜する作品だけに、年末年始の長いお休みの間、全8話をイッキ見して『アークナイツ』の世界にどっぷり浸かってみては!?
感染、差別、偏見、対立……。
現代社会にも通じるテーマを描いた世界観

『アークナイツ【黎明前奏/PRELUDE TO DAWN】』が描くのは、原因不明の天災が各地で発生し、人々が移動型の都市に住むことを余儀なくされた世界〈テラ〉。天災が起きた跡地には“源石(オリジニウム)”と呼ばれる、莫大なエネルギーを秘めた鉱石が残された。源石は〈テラ〉に文明の飛躍的発展をもたらす一方で、“鉱石病(オリパシー)”なる不治の病の原因となり、人々を苦しめることになる。
鉱石病に感染した人は、臓器の内部や体に源石が表出。進行すれば体の結晶化が進み、やがて死に至る。死後は遺体が源石を含む粉塵を放出して周辺を汚染することから、世界各地で感染者に対する差別や迫害が巻き起こっていた。
〈テラ〉北部に位置するウルサス帝国では、迫害を受けていた感染者が“レユニオン・ムーブメント”(通称レユニオン)を組織。「感染者は自らの立場に誇りを持ち、積極的に力をつけ、そしてそれを行使すべきだ」という理念を掲げ非感染者を標的とした暴動を起こす。一方、鉱石病の治療法を研究する製薬会社“ロドス・アイランド”(通称ロドス)は、感染者の人権と地位を回復し、すべての人を病から救うという目的のもと、レユニオンと対立。激しい戦闘を繰り広げることとなる。

感染者と非感染者、差別が生む対立。そんな『アークナイツ』の世界観から見えてくるのは、現代社会が今まさに抱える問題そのもの。天災や病への恐れから発生する分断、分かりあえず傷つけあうしかできないもどかしさは、日々目にするニュースが映す世界の出来事にも通じる。設定こそSFといった趣だが、その実、この時代に描かれて然るべき重厚なテーマを内包していると言っていいだろう。
とはいえ、見どころはシリアスな展開ばかりではない。ドクターと行動を共にするオペレーターにしてロドスの最高責任者でもあるアーミヤ(上写真)をはじめとした個性豊かなキャラクターや、彼らの織りなす人間ドラマ、感染者が使うことのできる“アーツ”という不思議な力を駆使したバトルなど、さまざまなエンタメ要素も本作の魅力。さらに気鋭のスタジオ、「Yostar Pictures」が手がける繊細な映像美にも引き込まれること請け合いだ。

タイトルに【黎明前奏/PRELUDE TO DAWN】と入っていることからも分かるとおり、本作で描かれるのは、長大なストーリーの一部にすぎず、複雑で謎めいた物語の核心は、先日制作が決定した『アークナイツ【冬隠帰路/PERISH IN FROST】』へと引き継がれることとなる。いわば本作は始まりの物語。今後ますます拡がりを見せる『アークナイツ』ワールドを堪能すべく、まずは全8話を目撃してほしい。
最重要人物“ドクター”の救出作戦から始まる
ロドスVSレユニオンの対立をめぐるストーリー

〈テラ〉北部に位置するウルサス帝国。移動都市・チェルノボーグのとある地下施設でコールドスリープ状態となっていたドクター(上写真左)が、“ロドス・アイランド製薬”を率いるアーミヤらによって目覚めさせられるところから物語は始まる。かつてはロドスの一員として鉱石病(オリパシー)の治療法の確立を目指す一方、戦闘時には優秀な戦術指揮官でもあったドクターだが、目覚めた途端、なぜか全ての記憶を失っていた。
戸惑うアーミヤたちだったが、武装した“レユニオン・ムーブメント”が迫っていることを知り、ひとまずドクターを連れてチェルノボーグからの脱出を試みる。熾烈な攻撃にさらされながら、ドーベルマンやAce、ニアールら仲間たちの奮闘もあり、なんとか味方との合流地点にたどりついたアーミヤたち。しかし、そんな彼らの前にレユニオンの指導者にして圧倒的なアーツの力を持つ“暴君”タルラ(下写真)が立ちふさがる。

からくもチェルノボーグから脱出した一行は、移動都市・龍門(ロンメン)へと向かい、近衛局長官のウェンや隊長のチェンとともに、レユニオンに対抗するために共同戦線を張ることに。そこでレユニオンからも近衛局からも身柄を狙われる感染者の少女・ミーシャ(下写真右)と出会ったアーミヤとドクターは、彼女を過酷な環境から救うと約束するのだが……。

ストーリー序盤のポイントは、ロドスの重要人物・ドクターの救出劇だ。黒いフードに覆面姿のドクターは本作の主人公。しかし、素顔はもちろん男女どちらであるかさえも明かされない謎めいた存在として描かれる。そんなドクターに絶大な信頼を置くアーミヤはロドスのトップでありながら、弱冠14歳の少女。自身もオリパシーの感染者であり、強力なアーツの力を有していることがほのめかされている。一方レユニオン側もタルラを筆頭に、個性豊かな刺客が現れ、異能バトルを展開。龍門編に突入すると、登場キャラクターはさらに増え、複雑な人間関係や組織同士の駆け引きも描かれるようになっていく。
ロドスvsレユニオンの構図はありながらも、龍門の人々や“ブラックスチール・ワールドワイド(BSW)”なる傭兵集団、スパイ活動にも長けた物流会社“ペンギン急便”など、第3・第4の勢力も参戦。それぞれの葛藤やさまざまな思惑が絡み合う果てに、どのような未来が待つのだろうか。
美麗映像と5.1chサラウンドで映画のような視聴体験
声優陣もとにかく豪華すぎる!


『アークナイツ【黎明前奏/PRELUDE TO DAWN】』が目指したのは、“シネマティックアニメーション”。すなわち、映画のような視聴体験を提供するアニメである。たとえば、画角に一般的な作品の画面比率である「16:9」よりも横長な、「2.35:1」のシネマスコープサイズを採用したことで、奥行きのある表現が可能に。また音響面は5.1ch サラウンドに対応した。
渡邉祐記監督いわく、当初から没入感を大事にしたいと考えていたそうで、「ヘッドフォンで聞くとよりぐわんぐわんと音がするのですが、それはドクターの主観で追体験してもらえるようにこだわっています」と語っている。
劇場さながらの映像と音が、『アークナイツ』の持つ重厚でダイナミックな世界観をより鮮明に描き出している一方で、豪華なキャスト陣にも注目。ドクターには『HUNTER×HUNTER』のクラピカ役で知られる甲斐田ゆき、アーミヤには『響け!ユーフォニアム』の黄前久美子役を務めた黒沢ともよが扮した。この他、佐倉綾音や加隈亜衣、石川由依、坂本真綾、山寺宏一ら、錚々たる顔ぶれが集結。個性的なキャラクターを生き生きと演じ、ドラマを盛り上げる。
また、キャラクター原案/プロデューサーに人気イラストレーターの唯@W、Yostar Pictures所属の渡邉祐記と西川将貴がそれぞれ監督と副監督を務めるなど、製作陣は原作ゲームのPVなどから携わるメンバーが固め、本来の世界観を大切にしつつ、アニメならではの表現に挑んでいる。
Check!
原作は1000万ダウンロードを誇る
大人気スマホアプリゲーム!

本作の基となったのはアプリゲーム『アークナイツ - 明日方舟 -』。Hypergryphが開発し、Yostarが運営を行っているスマートフォン用ゲームアプリだ。
ジャンルは“タワーディフェンス”と呼ばれるシミュレーションで、自軍の拠点に向かって進行してくる敵に向け、味方ユニットを配置し、進路を妨害しながら敵を全滅させられるかを競う。仲間の特性やスキルを生かして戦略を立て、クリアを目指すのが楽しみ方のポイント。攻略法はひとつに限らず、戦況もリアルタイムで変化するため、プレイする度に新鮮なスリルを味わえる。
美麗なキャラクターイラストと豪華声優陣によるボイスも魅力で、グローバル版 は1000万ダウンロード(2021年2月時点/中国版を除く)を記録している。
『アークナイツ - 明日方舟 -』
ジャンル:タワーディフェンス
配信機種:iOS / Android
配信時期:2020年1月16日
料金形態:基本無料(アイテム課金)
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Information
ニコニコ動画で『アークナイツ』全話一挙放送が決定!
日時:12月30日(金) 16:50~20:10
Text:渡部あきこ