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『Grasshopper vol.8』The Gentle Flower.×マリースメック×輪廻×あるゆえ タイプの異なる4バンドが魅せる素敵な一夜

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『Grasshopper vol.8』12月12日@下北沢Daisy Bar Photo by 清水舞

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2022年12月12日(月)。下北沢Daisy BarにてGrasshopper vol.8が行われた。フロアにはたくさんの観客が入り、The Gentle Flower.、マリースメック、輪廻、あるゆえの4バンドの対バンを見届けた。

The Gentle Flower.

ステージ中央に集まり、4人でグータッチ。気合いを入れた金子(Vo/Gt)は、元気に観客に呼びかける。始まりから飛ばしていくと思いきや、ミドルテンポの『軌跡』を歌い出す。心温まる曲調で、じわじわと観客の気持ちを上げていく。優しい歌をしっかりと受け止め、観客はピースを掲げる。曲が終わり、金子が「スペースダイバー!!」と叫ぶとスピードが一気に上がり、雰囲気が一変する。煌びやかな音のギターリフが響いた。

マイクをスタンドから外し、前に出て金子が歌い始めた。フロアを見回し、自身の熱さを伝染させる。そのまま演奏は『Teardrop』に移る。手拍子をしたくなるようなリズミカルさが目立つこの曲は、再びライブの雰囲気を変えた。金子は「夢を信じていれば叶うよって歌!!心を込めて歌います!」と叫び、聴く人への応援ソングを届ける。それに応えるようにフロアではたくさんの拳が上がった。

「Daisy Barに足を運んだみんなに与えられた今夜が、一番輝いていたらいいなと思います」そうやって聞く人への想いがどんどんと溢れ出す。次に歌ったのは『片足の少年』。3人のコーラスが綺麗に響く。ゆっくりと大音量のギターの音が響きだした最後の曲は『Y』。強く響くギターと対照的な優しい歌声が広がる。オレンジ色の照明も相まって、非常に心温まるバラードだった。よく観客のことを見て歌っている。人の良さが滲み出るような優しさ、熱さが伝わってくる。そんな、聴く人への思いやりを感じる素敵なバンドだった。

マリースメック

SEはベランダの『最後のうた』。ゆったり落ち着いた雰囲気の中、「よろしくお願いします」と小さく呟いた後に、大声で歌い出したワンフレーズがフロア中に響き渡る。そのインパクトで、マリースメックは自分たちの世界観に観客をグッと引き込む。最初の1曲は『plot』。「クラクションが鳴った」という歌詞の通り、クラクションのように高らかな矢﨑(Vo/Gt)の高音が綺麗に広がる。どこか懐かしさを感じるような優しい曲から一変、次の曲は『隣の蝶々』。強弱で盛り上がりを作り出すドラム、音源にはないラップ、突き刺さるような鋭い音のギターリフ、うねるようなベースの音など、聞く人が驚く多彩なギミックが詰め込まれた1曲になっていた。

「次は踊れる曲を」と言って始まったのは『THINK!THINK!THINK!』。一定のリズムを刻むベースとドラムの上に、ディレイを盛り込んだ不思議なギターの音が乗る。誰がどういうことをやっているのか観客にはよくわからない。ある意味カオスな演奏がタイトルの通り、考えて考えて考えて、ごちゃつく頭の中を表現しているようだった。続く『under』は歪むベースの音から。クワエ(Ba)は首を振って勢いよくベースを鳴らし、オオエ(Dr)は荒々しく叩く。真ん中に集まって3人でかき鳴らした。最後の1曲は『むかしむかし』。丁寧に響く轟音の中に優しさ、懐かしさを感じる。聴く人がそれぞれ自分の持つ思い出に浸ることのできるような美しい曲だった。

MCで矢﨑はバンドとして、聴いてくれる人の”光”になりたい気持ちがある一方で”闇”になりたい気持ちもあると言った。この日のセットリストもまさに、曲に感情移入して明るい気持ちと暗い気持ちが行き来するようなライブだった。

輪廻

双葉(Vo/Gt)の透き通る声での弾き語りから。切なく始まった『大人になったらさ』だが、イントロではりぃこ(Dr)が元気に叫ぶ。綺麗なコーラスワークをする姿や、小さな手でするするとギターソロを弾きこなすメンバーの姿に見惚れる。「行けるか下北ー!!」と大声で煽る双葉にフロアが応えるように拳を突き上げる。2曲目の『バンドマンきらいかも』では観客が曲に合わせて手拍子を鳴らす。サビでのシンガロングが楽しげで、ライブの勢いを加速させた。

MCは、3人の日常会話に入れてもらっているようで、非常に親近感を感じるものだった。続く『あいらぶみー』は「ありのままの自分を愛していてほしい」という想いを込めた1曲だという。そんな3人のライブは可愛らしさが溢れていた。リノ(Ba)が楽しそうに飛び跳ねながら弾く。

曲が終わると、前のポップで明るい曲とは真反対のかっこいいリフが特徴的な『shock』が始まる。双葉の表現力豊かな歌声を味わえた。「こんな曲も持ってるんだぞ!」と示されているようで、輪廻というバンドのポテンシャルの高さを見た。『お月様』では、双葉の歌の表現力の高さに驚くと同時に、その歌声に綺麗に乗るコーラスが美しかった。ドラムの力強さも、観客を盛り上げる要素となり、フロアの熱量が上がっていく。双葉が「『走れ!リンネ』」と叫び、3人それぞれが持てる熱量をマイクにぶつけ、パワーに溢れた疾走感あふれる1曲で締められた。

あるゆえ

突然鳴り出す爆音のギター、響き渡る低音のベースやドラムが雰囲気を一気に変え、始まりの合図を告げる。語りから始まり、キレのある歌声に度肝を抜かれる。1曲目は『極楽鳥花』。力強いドラムが曲に重みを持たせる。次の『ライブハウス』では、上を向き、気持ちよく伸びる力強くも儚い歌声を聞かせてくれた。荒れ狂うように歌うそのパフォーマンスに目が釘付けになる。続くのは、複数重なるコーラスと共に始まる『讃美歌』。狂いなく揃うその声の音圧に大きな迫力を感じた。サビでは手が上がり、フロアの熱量が上がっていく。

曲が終わるとベースのみが残り、マイクに体重を乗せるように、紫月(Vo)が気怠そうに語り始める。『月に喰われて』という曲だ。細かく波打つ音のギターが幻想的な雰囲気を作り出す。演奏が語りの感情の起伏とリンクしていて圧倒された。そのまま悲鳴をあげるように伸びるギターソロから『毒を塗って』が始まる。がなり声や叫びをうまく取り入れた表現力のある歌が大きな魅力に思う。

次に演奏したのは『騒音楽』。ライブを見て熱くなった観客が始まりから高く拳を突き上げた。曲への感情移入が非常に深く、まるで映画のワンシーンを見ているかのような気持ちになった。最後は『一閃』。この日のセットリストの中で一番爽やかで気持ちの良い、物語のエンディングのような1曲だった。紫月と拓永(Gt)が前に出て楽しそうな表情を見せる。彼らはどのバンドよりもヘビーで感情を突き刺すようなライブを見せてくれた。

Text by らいれいな
Photo by 清水舞

イベント公式サイト:
https://fan.pia.jp/grasshopper/

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