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1作品が10時間!
テレビ東京「新世紀ワイド時代劇」2作品 ついに配信開始!

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年末年始のテレビは、各局が人気番組や特別番組、大型バラエティを次々に投入してしのぎを削る激戦区だ。その中で長年に渡って愛され続け、現在も語り継がれる伝説的なシリーズがある。その名は「テレビ東京新春ワイド時代劇」(時代によって「12時間超ワイドドラマ」や「新世紀ワイド時代劇」など様々な呼称で愛された。以降、本稿ではまとめて「テレビ東京新春時代劇」と記載する)。毎年、1月2日になんと10時間以上に渡って本格時代劇を放映する大型企画だ。

そんな伝説のシリーズの中から人気の高い2作品が、Amazonプライムビデオ「プラス松竹」チャンネルで配信をスタート。今年は家で配信でじっくりと時代劇を楽しめる!

年始の恒例行事! テレビ東京新春時代劇

はじまりは1981年。当時、「東京12チャンネル」という名前だった現・テレビ東京は、局名にちなみオリジナルの12時間のワイド時代劇の放送を開始する。放送は毎年、1月2日。昼ごろから放送が始まり、途中でニュースなどを挟みながら長丁場を一気に駆け抜ける。当時はお正月に家族や親戚が集まって、ゆっくりとテレビの前でワイド時代劇を楽しむ人たちが多かった。

シリーズは1981年の『それからの武蔵』から始まり、放送時間などの変遷を経ながら2016年の『信長燃ゆ』まで続いた。取り上げた題材は忠臣蔵、宮本武蔵、織田信長、白虎隊など時代劇の“花形”と呼ばれるものが多く、司馬遼太郎や吉川英治などの人気作家の小説を原作にした作品も多かった。戦国時代を舞台にした作品では長い放送時間をしっかりと生かして登場人物それぞれのドラマや駆け引き、合戦を徹底的に描き、幾度か制作された『忠臣蔵』もそのたびに視点や語りを一新して、新たなドラマをつくりだした。

キャストも負けずに豪華絢爛で、萬屋錦之介、北大路欣也、市川團十郎、松方弘樹ら日本の映画界を背負ってきたスター俳優が次々に登場。幅広い年齢がテレビの前に集まる正月に特別番組の“顔”を務められるだけの人気、10時間以上の物語を引っ張っていくだけの力量のある俳優たちが主演に据えられ、毎作、豪華な俳優陣が脇をかためた。

本シリーズは“1時間のレギュラードラマを10数本放送する”のでは味わうことのできないダイナミックな物語運び、正月らしい華やかさ、時間をかけたからこそ描けるキャラクター描写、通常のドラマではなかなか実現できない大規模な撮影によって描かれる派手さと迫力があった。

令和の現在、このような超大型時代劇を放送するのは難しいのかもしれない。今後も「テレビ東京新春時代劇」の評価はさらに高まっていくことになるだろう。

人気作が初配信!

『壬生義士伝〜新選組でいちばん強かった男〜』(2002年1月2日放送)

原作:浅田次郎
脚本:古田求、田村恵
監督:松原信吾、長尾啓司
出演:渡辺謙、高島礼子、高杉瑞穂、渡辺大、安倍なつみ(モーニング娘。)、筧利夫、村田雄浩、内藤剛志、津川雅彦、浅田次郎(特別出演)、夏八木勲、芦屋雁之助、岸田今日子、柄本明、遠藤憲一、大鶴義丹、萩原流行、岡本綾、坂井真紀、金子賢、伊原剛志、竹中直人

©2002 株式会社テレビ東京、松竹株式会社

幕末の日本で、その名を轟かせた「新撰組」。近藤勇、土方歳三、沖田総司ら名だたる隊士が知られているが、その中に彼らが一目置いた男がいた。

南部地方盛岡で生まれた吉村貫一郎は幼い頃に出会った女性・しづに惚れ、その想いを貫いて夫婦になる。

下級武士の貫一郎とその家族の生活は苦しく、折しも過酷な飢饉が南部地方を襲ったさなか、彼は出稼ぎで家族の生活を貧困から救うために、盛岡藩を脱藩して、新撰組の隊士になる。幼い頃から文武の両道で努力を積んできた貫一郎は、穏やかな人柄でありながら剣の腕は超一流。愛する家族を守るため、どんな危険な任務であっても身を投じて、人を斬り続ける。

しかし、新しい時代の波は次第に大きくなっていき、剣を手に昔ながらのやり方で戦う旧幕府軍は、西洋式の戦いで迫り来る新政府軍に押され敗走。貫一郎は深い傷を負いながらも、家族の待つ故郷に帰ることを願うが……

原作は浅田次郎の人気小説『壬生義士伝』。週刊誌の連載時から人気を集めた小説で、日本映画界を代表する名監督のひとり、相米慎二が生前、映画化に情熱を注いできた作品でもある(相米監督はメガホンをとる前にこの世を去った)。

歴史ファン、時代劇ファンの間でも人気の高い新撰組を、沖田や土方ではなく、田舎から脱藩して入隊したひとりの男の視点から描いた本作は、激動の幕末の出来事をポイントにしながら、志のため、そして何よりも家族への愛を背負って熾烈な戦いを繰り広げる者のドラマが、第一部「遥かなる故郷」、第二部「京都雫石恋歌」、第三部「龍馬暗殺」、第四部「鳥羽伏見から五稜郭へ」の全四部構成で描かれる。

また、新選組内部での各組員の際立った個性や愛憎入り乱れる人間関係は生々しく、坂本龍馬の暗殺など今も諸説ある謎多き事件はサスペンスフルに、そしてなんといっても刀剣から銃砲にいたる軍勢同士の戦闘アクション場面はド迫力に活写。四季折々の美しい風景が作品に彩りを添えている。

主演を務めたのは、渡辺謙。NHK大河ドラマ『炎立つ』やドラマ『御家人斬九郎』など時代劇でも当たり役の多い名優だが、本作では愛する妻や子どもたちに真っ直ぐな愛情を注ぐ穏やかな面と、彼らを守るためならどんな危険な任務であっても飛び込んでいき人を斬る鬼気迫る側面が見事に同居。満身創痍の状態であっても、自身の想いを貫こうとする貫一郎の表情は本作の最大の見どころのひとつだ。ほか、ベテランから若手まで、綺羅星の如き実力派俳優陣が脇を固め、豪華競演となっている。なお、貫一郎の青年期を渡辺の実子でもある俳優・渡辺大が演じている。

本作の結末は痛切でありながら、貫一郎の想いが観る者に染み渡るように伝わってくる感動的な内容で、10時間をかけて主人公の来た道をじっくりと描いてきたからこそ描ける“胸に迫る”ラストになっている。

なお、本作はドラマとしての完成度も高く評価され、第19回ATP(一般社団法人全日本テレビ番組製作社連盟)賞テレビグランプリの特別賞、第10回橋田賞などにも輝いている。

『竜馬がゆく』(2004年1月2日放送)

原作:司馬遼太郎
脚本:長坂秀佳
監督:松原信吾、奥村正彦
出演:市川染五郎(現・松本幸四郎)、内山理名、井川遥、若村麻由美、室井滋、沢村一樹、的場浩司、前田愛、原田龍二、吹越満、高杉瑞穂、高橋和也、萩原流行、葛山信吾、山田純大、高嶋政宏、松たか子、松本紀保、藤本美貴(モーニング娘。)、雛形あきこ、石橋蓮司、中村梅雀、内藤剛志、渡辺いっけい、柄本明、橋爪功、藤田まこと、松本幸四郎(現・松本白鸚)

©2004 株式会社テレビ東京・松竹株式会社

幕末の土佐藩。

この地で暮らす坂本竜馬は剣術の修行をするために故郷を離れて江戸に旅立つ。彼は身分の差など超えて誰もが自由に生きることの出来る時代の訪れを夢見ていた。

風雲急を告げる時代の中で、竜馬は旅を続け、そこで様々な人々と出会い、やがて江戸では北辰一刀流の道場で修行を積んで剣士としても成長していく。

やがて、日本に海外からの船=黒船が来航。衝撃を受けた竜馬は勝海舟に師事しながら、日本の新しい夜明けのために奔走する。

どんな時も真っ直ぐで豪快。どんな苦境にも自らの信念と覚悟で立ち向かう男、坂本竜馬。

彼の周囲では様々な出来事、思惑、争いが起こり、やがて日本は社会の根底を覆す“大政奉還”に向かって突き進んでいく。

テレビ東京開局40周年記念番組として制作された新春ワイド時代劇。歴史小説、時代劇ファンから圧倒的な支持を集め、これまでも繰り返しドラマ化されてきた司馬遼太郎の傑作小説が原作だ。

ドラマは第一部 「出発(たびだち)」、第二部 「脱藩」、第三部 「襲撃」、第四部 「希望」の全4部構成され、坂本龍馬が土佐を旅立ち、やがて歴史の転換点で重要な役割を果たしていく過程を、強烈な個性を持つキャラクターたちを交えて描いている。その過程は出会いと別れ、そして互いの信念が交錯する“見せ場”の連続だ。

主演を務めたのは、市川染五郎(現・松本幸四郎)。舞台や歌舞伎では凛々しい役どころやクールな人物、冷血な悪漢を演じることも多い染五郎が、本作では情に厚く、豪快で人懐っこい竜馬を好演。ダイナミックな動きと満面の笑み、そしてその魅力で人々をトリコにしてしまう竜馬を見事に演じている。

そして、父・松本幸四郎(現・松本白鸚)、姉・松本紀保、妹・松たか子とファミリーそろい踏み共演ほか、『壬生義士伝』同様、オールスターキャストと言っても過言ではない圧巻の豪華俳優陣が出演。彼らの白熱の議論、緊張感あふれる交渉、繊細かつ大胆なラブシーン、ド迫力の戦闘アクションなどの演技合戦も見どころだ。

また、この『竜馬がゆく』と『壬生義士伝』は、異なる物語ではあるが、同じ幕末の激動期を、別のアングルから描いた二作品とも言える。坂本竜馬をはじめ二作品に共通する登場人物や出来事も少なくない。そういった共通する登場人物たちや出来事の描かれ方の違いが興味深く、それを楽しむ観方もおススメだ。

身分や制度の違いを超えて、誰もが自由に生きることのできる日本を目指し、さらに海の向こうにある新しい世界を夢見た竜馬。クライマックスで彼が新しい時代の訪れを知り、熱い涙を流すシーンは本ドラマ屈指の名シーン。竜馬の想いをぜひ見届けてほしい。

テレ東新春時代劇が映画ファンを魅了する理由

本シリーズはテレビで放送されたドラマでありながら、映画ファンからも高い支持を集めている。

先にも述べた通り、本枠は新春2日の放送で、テレビ東京が社の力を集結した超大型企画としてスタートしており、主演に据えられたのは、日本の映画界を担ってきたスター俳優、重鎮ばかり。さらに松竹や東映などの名門映画会社が制作にあたることが多く、舛田利雄や工藤栄一、山下耕作、貞永方久、降旗康男ら多くの映画監督が演出を担当。日本の映画黄金期を支え、そこで培われた技術や演出が本ドラマに惜しみなく投入されている。

思い返せば、『大菩薩峠』『宮本武蔵』『忠臣蔵』など“長時間の時代劇シリーズ”は日本映画の王道だった。時には複数の映画に渡って描かれる長大な物語は観客を魅了し、次の展開が待ちきれない人々を沸かせ、巨大なシリーズのもつ華やかさと祭り感が劇場をわかせた。

「テレ東新春時代劇」はその興奮と遺伝子を引き継ぐシリーズで、テレビドラマだが、往年のシリーズ時代劇映画に匹敵するクオリティと興奮を味わうことができる。

また、近年はネット配信が普及したことで数話で構成されるミニ・シリーズや、“シーズン”で括られる連続シリーズが全盛期を迎えており、配信後に“イッキ見”するファンも多い。気軽に視聴できる環境が整ったいま、改めて日本の正月を彩った傑作時代劇を堪能したい。