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【対談】ラッパー・t-Ace×YouTuber・ヘラヘラ三銃士「傷を見せるよりも楽しいところを見せた方が人は救われるなって思う」

音楽

インタビュー

ぴあ

t-Ace×ヘラヘラ三銃士 Photo:山本佳代子

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12月16日(金) に、異色の連続コラボ作品として第1弾(MIO/ミオヤマザキ)がリリースされ話題となっているラッパー・t-Aceの「今夜もダレかと」。満たされない心を抱えたまま夜の隙間でうごめく男女の淡い心情と隠せない本音が交錯する令和のデュエットソングだ。その第2弾が1月11日(水) にリリースされた。コラボするのはYouTuberとして若い世代の女性から圧倒的な支持を得るヘラヘラ三銃士の3人。この、ありそうでなかった組み合わせがいかに実現し、どのように制作されていったのか、今回は「t-Ace×ヘラヘラ三銃士」の対談でお届けする。

世の中がへこみまくって、ようやくマシになってきたのに、そんな中で悲しい曲をぶり返してどうすんの!?(t-Ace)

――まずは全体の話をt-Aceさんに伺います。2020年1月に横浜アリーナで行われたミオヤマザキのライブにゲストで出演されたときに初めて新曲として披露されたのが、この「今夜もダレかと」でした。そこからリリースまで3年の時間が経っているのですが、それはどうしてですか?

t-Ace そのライブに出演した後にコロナの感染が一気に広がったんですよね。で、ライブができなくなって、もちろん曲は作るし出すんですけど、ライブができないから広がらない。その状態でリリースするのはもったいないなって思って。だからコロナの状況が落ち着くまでとっておいたっていうのがこの曲で、まさかここまでかかるとは思ってなかったんですけど、でもそれだけ時間が空いた分、いろいろなことを考えられたし、出会いもあったし。ヘラヘラ(三銃士)もまさにそうだしね。

――トラックも全然違うものになっていますよね。

t-Ace そうそう。前のバージョンって聴きました?

――お客さんがTwitterでアップしているやつを聴きました。

t-Ace あー、それしかないですもんね。

――今のバージョンの方が断然ポジティブですよね。前のはもうちょっとウェットなトーンで。そのあたりの変化というのは?

『今夜もダレかと』t-Ace loves ヘラヘラ三銃士(officialVideo)

t-Ace もう悲しい曲を作りたくない……。こんな世の中がへこみまくって、ようやくマシになってきたのに、そんな中で悲しい曲をぶり返してどうすんの!? みたいな。

――ウワモノももう全部跳ねてますもんね(笑)。

t-Ace ドラムから何から全部打ち込み直した(笑)。

t-Ace

――で、先ほどもおっしゃったように、この3年間があったからこそ様々な出会いがあって、その中にヘラヘラ三銃士のお三方との出会いもあったということですよね。ヘラヘラ三銃士さんのYouTubeチャンネルにt-Aceさんが出演された回がありました(2022年10月11日『【神回】t-Aceと爆飲み恋愛討論したらヤバイ事起きたwww』)。2組の出会いはt-Aceさんの事務所の方が偶然ヘラヘラ三銃士さんと知り合いでってことでしたっけ?

【神回】t-Aceと爆飲み恋愛討論したらヤバイ事起きたwww

t-Ace 全っ然、その時何をしゃべったか覚えてない(笑)。けど、事務所の人きっかけだっけ? 俺たちが知り合ったのって。

ありしゃん ファンの方が私たちの存在をt-Aceさんに教えてくれたんですよ。

t-Ace そうだそうだ! 歩いてたら声かけられて「ヘラヘラ三銃士の動画にお名前が出てますよ」って言われて、「ヘラヘラ? なんだそいつら?」って思ったのが最初(笑)。

ヘラヘラ三銃士 (笑)。

t-Ace そしたらそのすぐ後に会った(笑)。

――それは何きっかけだったんですか?

t-Ace ヘラヘラ三銃士が音楽をやりたいっていうのを俺らの共通の知り合いに言ってて、そこから話があって、「じゃあ1回会ってみよう」ってなった。いいじゃんって。そんな軽ーい感じです(笑)。

――ヘラヘラ三銃士さんは元々t-Aceさんのファンでっていうことだったんですよね?

ありしゃん もうずっと好きで、何年前だろ?

まりな 4年くらい前じゃない?

ありしゃん かな。とにかく前から好きで、自分たちの動画で曲を歌ったりお名前を出したりしてたんです。それは別にご本人に対してアピールということではなくて、そもそも届くはずないって思ってたので、普通にしゃべってたんですよ。だからt-Aceさんのファンの方が私たちの気持ちを届けてくれてたのも知らなかったんです。

――じゃあヘラヘラ三銃士さんの方からすれば、結構とんでもないことが起こったわけですね。t-Ace楽曲で本人とコラボ、という。

ありしゃん ほんとそうなんですよ! 最初はさっきt-Aceさんがおっしゃったみたいに、自分たちに曲を書いていただけないかな、でもそんなことできるわけないよなって思いながら、まりながt-Aceさんのスタッフの方と知り合いだったので、「ダメ元でいいから曲書いてほしいって言ってくんない」って。

まりな それで知り合いのスタッフの方に言ってみたら、「いいよ」ってご本人が言ってるって。

ありしゃん 完全に嘘だと思ったもん(笑)。そんなことが起きるわけないって。

ありしゃん

t-Ace 僕のファンの人が、「ヘラヘラはちゃんとファンだから」って言うわけですよ。そんなことってファンの人があんまり言わないんですよね。それで実際に会って飲んで話してみたら、すごい曲とか聴いてくれてるなっていうのがわかったし、あと普通に一緒に酒飲んでて楽しかった。

――それが決め手ですね。

t-Ace そう(笑)。

自分の好きな男の人がどういう心理なのかを知りたいからt-Aceさんから学ぶっていう側面が結構あります(ありしゃん)

――ヘラヘラ三銃士さんと一緒に曲をやろうって思った時点で、「今夜もダレかと」でっていう流れだったんですか?

t-Ace まず「今夜もダレかと」でやりたいと思ってたことは、年代も職業もバラバラな人たちの目線や思考で同じ題材にアプローチしたいっていうことだったんですよね。そうすると同じ曲なのに全然違う曲になるから。その中の1組にYouTuberのヘラヘラ三銃士がいるっていうのは面白いなって思ったんです。

――年代も職業もバラバラな女性たちと同じ曲でコラボしていくという発想が3年のあいだに出てきたということですよね。

t-Ace そうですね。

――ヘラヘラ三銃士バージョンでイメージしたことは何ですか?

t-Ace ヘラヘラの3人や彼女たちの動画を見ている人もそうだけど、若い世代が多いなと思って。その若い世代特有の恋愛感をそのまま表現できればいいと思ったし、それが混ざるといいなっていうことなんですよね。要するに、ヘラヘラのバージョンを聴いた30代の人が、私も前まではこんなふうに思ってたなとか、でも今はこんなふうに思うんだよねって。で、一方で、またこれから違うバージョンのリリースが続くんですけど、ヘラヘラと同じ世代の人たちがそれらを聴いたときに、こんなふうになっていくんだ、みたいな。その感じが1曲でできたらすごい面白いなって思ったんですよね。

――なるほど。いろんな人たちとのコラボではあるし、いろんな恋愛感が描かれてはいるけれど、もしかしたらひとりの女性の物語になっているという聴き方もできると。

t-Ace そうそう。

――具体的にどういうふうに制作が進んでいったんでしょうか?

t-Ace 1ヴァースとブリッジは僕の声が入ったテイクがあるので、2ヴァースをどうするかっていうことなんですけど、会ってしゃべったり、そのときに出てきた面白い言葉をピックアップしたり、ありしゃんが箇条書きにバーっと書いてくれたり、そういうのを元に、僕の方でここいいなっていうところをハメていったり、足して行ったりっていう感じで作っていきました。

ありしゃん 歌詞の打ち合わせをしようよって話したんじゃなくて、全然違う打ち合わせをした後に、そういえば、みたいな感じで歌詞についての話が始まっていったんですよね。

――自然な形で入っていけたと。

ありしゃん はい。で、その時恋で私が病んでて。ちょっと相談ぽくt-Aceさんに話したら、「え! ここって男女でこんなに違うんだ!」みたいになって。その男女の差みたいなのをそのままリリックにしたら面白いかもってなったんですけど、その時ってまだ私たちは曲を聴いてなかったんでしたっけ?

t-Ace 聴いてた聴いてた。で、「これそのまま使えんじゃん」みたいな感じだった。

ありしゃん そうだそうだ。その時はメモとかしてなかったんですけど、後でその時の会話を思い出しながらとか、あとは一緒に飲ませていただいたときに話した内容とかを思い出せるだけ書いて、それがそのまま歌詞になっているって感じですね。

――めちゃめちゃドキュメンタリーなんですね。

ありしゃん そうなんですよ。その時の気持ちと今の気持ちってまた違うんですけど、今歌詞を読み返したら、「うわ、この時結構病んでんな」って思っちゃう(笑)。

さおりん だからほんとに恋話の延長戦みたいな感じで、t-Aceさんに相談したことがそのまま歌になったっていう感じですね。

さおりん

――ヘラヘラ三銃士さん的に歌詞の中で一番のポイントはどこですか?

ありしゃん どこだろ?

さおりん でも、まりなちゃんのパートじゃない?

ありしゃん あー。最後の〈信じてないけど..〉ですかねー。相手のことがそんなにまだ理解できていなくて葛藤している状態というか。まだ浅い関係なんですよね。

――そうですよね。相手に期待しちゃってる段階ですもんね。

ありしゃん そうなんですよ。期待できない相手っていうのはわかってるんですけど、でも自分からは愛をたくさん与えたいっていう。それはそれで自分勝手なんですよね。相手は別に欲しいとも言ってないのに、勝手に愛を与えたいって思ってるだけなので。で、3人それぞれのパートの中でも一番ダメ男に振り回されているまりなのパートの最後に〈信じてないけど..〉って出てくるんです。

――結構切ないですよね、あそこ。

ありしゃん まりなの歌入れの時に私とさおりんはその場にいられなかったんですけど、ちょろっとスタジオに入った時に「いーじゃん、その〈信じてないけど..〉!」ってt-Aceさんの声が聞こえてきて。「めちゃめちゃ信じてないね!」って(笑)。何が起きてたの? ふたりの間で(笑)。

――そこはちゃんと聞いておきましょう(笑)。

t-Ace 普通に歌のディレクションをしてただけですよ!(笑)。最初はただ〈信じてないけど..〉って歌ってるだけだったけど、「もっとお前は信じてないはずだ!」って(笑)。

ヘラヘラ三銃士 あははは!

t-Ace なんかね、人を信じてない目をしてるんですよ、彼女(笑)。

まりな ふふふふ。

まりな

t-Ace それはね、ヘラヘラのあとのふたりが言ってたんですよ。でも確かになって思って(笑)。それで、「本当に信じてないんだから、もっと信じてない歌い方して」って言ったら、めちゃうまいんですよ。

――t-Aceさんはヘラヘラ三銃士のお三方の切ない女心を受け取って、どのように思われましたか?

t-Ace わかるんですよ。そりゃそう思うよね、みたいなことは。それは、今は(この曲の段階では)言えないけど、こういうふうにしていかなきゃ人ってハッピーになれないんだよねっていう進化というか成長があるじゃないですか人って、このあとに。

――このヘラヘラ三銃士さんのリリックに出てくる女性の心理って、ファン心理に近いものなのかなって思ったんですよね。

ありしゃん へー、うれしい。

t-Ace いやでも、そうそう。

ありしゃん t-Aceさんの曲って、「ダメ男な俺だけどいいっしょ?」っていう曲が多いんですよね。でもそのダメ男を……ってあんまり言うとアレですけど(笑)。

t-Ace いいんですよ。ダメだと思ってるから(笑)。

ありしゃん (笑)。ダメ男を好きになる女の子の曲が多いんですよ。実際そういう女の子が聴いてると思うんです。t-Aceさんと自分が好きなクズ男を重ね合わせて聴いてると思うんですよね。だから自分の好きな男の人がどういう心理なのかを知りたいからt-Aceさんから学ぶっていう側面が結構あるような気がするんですよね。実際、私もこの曲を作った時の彼がクズ男だったので、その人に向けてのアンサーですよね、これは(笑)。

さおりん ありしゃんの心情めっちゃ入っているよね(笑)。

ありしゃん 初めて打ち合わせした日にリアルタイムで起きてたことなんで、だから思い出深いです。

まりな ありしゃんの曲だよね。

t-Ace いいタイミングだったんだね(笑)。

――じゃあ、そのタイミングじゃなかったらこのリリックにはなってなかった?

ありしゃん 絶対になってないです。

さおりん 今だったら全然違うものになってるよね。

ありしゃん 結構ハッピーになっちゃってますよ、これ(笑)。

さおりん でも病んでる時に出てくる言葉の方がリアルだよね。

傷を見せるよりも楽しいところを見せた方が人は救われるなって思うんですよね(t-Ace)

――先ほどありしゃんさんがおっしゃった、男の心理を知りたいから聴くっていうのは、t-Aceさんの曲が若い世代の女性に支持されているということの大きな要因かもしれませんね。実はそこを知りたかったんです。それってなかなか本人には聞けないから。

ありしゃん 男の人ってあんまり恋話とかしないイメージなんですよ。だから、情報があんまり入ってこないっていうか、どういうふうに思っているのかが謎なんですよね。モテる男の人って何を考えてるのかいまいち掴めないっていうところがあって、そういうところで唯一確かな情報源となるのがt-Aceさんの曲という(笑)。

――切実だなぁ(笑)。

ありしゃん 歌だけには素直だと思うんですよね。実際にt-Aceさんと話してて思うんですけど、曲にはまっすぐだなって。だからt-Aceさんの楽曲のリリックから必死に読み取ってますよ。「あ、なるほど、こういう時はこういう気持ちなんだ。ふむふむ」って(笑)。私たちの教科書みたいなもんですよ。

――実際に歌ってみていかがでしたか?

さおりん 3人それぞれそうだと思うんですけど、自分のパートのリリックが結構自分に合ってて。私のパートの〈嫌われたくないから 自分をごまかす毎日〉ってすごく共感できるんですよね。だからレコーディングするときは気持ちが入りました。

ありしゃん めちゃくちゃ歌いやすかったよね。

さおりん うん。

ありしゃん 「何回も歌うとちょうどいいところを掴むから歌い続けて気持ちを乗せていって」みたいな感じで私の場合は歌わせてくれたり、3人それぞれに合ったディレクションをしていただきました。なんかそのへんもすごいなって思いました。やっぱ女の子を普段から見てるだけあって(笑)。

さおりん&まりな ははは。

t-Ace 関係ないわ! 男にもちゃんとディレクションするわ(笑)。ゴリゴリのラッパーとかにも普通にやってるから。

ありしゃん まりなの時だけ、すーごい優しく扱うような感じだった。あれ? 私は結構スパルタだったのにって。

さおりん それが嫌味なく自然にできるもんね。

ありしゃん 乗せ方がうまいんだもん。

――歌の振り分け自体はt-Aceさんがされたと思うんですけど、どのようなイメージで3人を振り分けていったんでしょうか?

t-Ace 頭から、ありしゃん→さおりん→まりな、なんですけど、その人のキャラクターと考えに合ってる歌詞それぞれにストーリーがあって、それをハメていくと自然とその順になりましたね。

――彼女たちの元ネタをリリックとして仕上げる時に意識したことはなんですか?

t-Ace めちゃくちゃ女っぽくはしないっていうことですね。僕自身もそうで、あんまり男っぽくは書かないんですよ。その時点で女の人が共感できない何かがあったり、逆もそうなんですけど、表現が狭まっちゃうんですよね。

――ここまでお話を伺って、2組のコラボレーションがすごくスムーズに、かつ、自然な形で進んでいったというのがわかるのですが、その要因として大きかったものは何ですか?

t-Ace 一番は、酒。

ありしゃん 間違いないですね(笑)。

t-Ace お酒を飲んだ時の楽しみ方が一緒(笑)。

さおりん わかるー。

t-Ace でもそれって、めちゃめちゃ重要なんですよ。だいたい僕が一緒に曲をやる人とか、周りにいる先輩後輩って、ノリが似てないと「飯行こうよ」とか「飲みに行こうよ」ってならないから。曲も絶対にそうで、そこが一緒じゃないと自分の感性に引っかかってこないから、何も出てこなくなるんですよね。

ありしゃん 最初は緊張していたんですよ、わーt-Aceさんだって。もちろん今も緊張はするし、超リスペクトなんですけど、会ったらほぼ飲み会なんで、気づいたら普通にお話できてるんですよね。

さおりん 周りのスタッフさんもそんな感じだから接しやすいよね。

ありしゃん そうだね。スタッフさんも含めて一緒に楽しんでいる感じっていうのも大きかったですね。チーム感みたいな感じが。

――YouTubeに中でありしゃんさんがおっしゃっていて印象に残ったのは、「リアルな歌詞を書いているからリアルなMVを撮ってほしい」というところで。だからこの曲のMVってどうなるんだろう? っていうのがすごく気になっているんですよね。現段階で何かアイデアがあったりするんですか?

t-Ace ありしゃんが言ってた「リアルなもの」っていうのは、例えば僕がどっかの女の子と遊んでる曲だとしたら、実際にその女の子と行った場所とか食べたものとか、そういう中からひとつのストーリーにしたりして、こんな感じの女の子だったって、歌のヒロインを実際の女の子に近づけていくっていうリアルさなんですよね。でも今回は、ヘラヘラ三銃士だけじゃなくて、MIOさんと、志田愛佳さんと、この後にももうひとりいてっていうふうになるから、その手法だと表現できないんですよ。だから、その流れを全部汲んだストーリーにはなっていて、最後にはちゃんとハッピーになってるっていう、すげー難しいんですよ。

――たしかにそうですね。ひとつのストーリーにした時にどこでリアルさを担保するのかっていうのが難しいですよね。

t-Ace だから、いつもとは違う手法のMVになるということは間違いないと思いますね。ちょっと今の段階ではまだ模索中ですね。

ありしゃん 私たちにできるのは、この3人で作れるリアルなので、その時の気持ちを思い出して表情に乗せたりしてちゃんと伝えていくっていうことですね。

さおりん また思い出さなきゃいけないんだね。

――そういうことになりますね(笑)。

ありしゃん その時共感した曲があって、それが結構恋愛に病んでいる内容だったとして、数年後に幸せな状態で聴いたら、またその時の気持ちを思い出すっていうのは、それはそれでいいなって思うんですよね。「あー、あの時こんな感じだったな。辛かったな」って。

――その時の気持ちを瞬間パッケージするのが音楽の重要な役割のひとつですよね。

t-Ace うんうん。

――この曲に登場する男性は、抱えた寂しさを紛らわせるために、その時々で付き合う女性を変えていく、というような人なんですけど、歌の中の女性は男性を受け入れられたのでしょうか?

ありしゃん この時点では、好きになっちゃってるから受け入れようと自分に言い聞かせてごまかしている感じですね。でも、私たち以外の方のバージョンではもしかしたら、全然受け入れられないよって最初から言ってる人もいるかもしれないし、ただ、私たちの年代の場合、あんまり先のことも考えられないから、別に結婚するわけじゃないし今が楽しければそれはそれとしてがんばって受け入れようかな、みたいな感じだと思うから。私もその時そういう感じで、結局は受け入れられなかったんですけどね。

――t-Aceさんは歌詞の中で、ダメな男をとことん描いて、その振り切った様がポジティブに響くんですが、そうした描き方をしているきっかけみたいなものはあったんですか?

t-Ace こんなひどいことがあったとか、こんな辛い人生だったとか、そういうことって多かれ少なかれ誰にでもあるし。そもそも楽しくしたいんですよ。僕の作る曲やライブで、僕の周りにいる人たちをハッピーにしたいと思ってやってるんです。ハッピーにしたいのに、あんまりそこの、しんどいことだったりっていうのはいらないかなって。
そりゃあ、ずっとパーティーチューンを作るわけにはいかないからたまにはしっとりした曲も投げなきゃなんだけど、でも基本的には痛みとかがんばろうぜみたいなことを言われても、俺はなんとも思わないんですよ。
それよりも、こいつバカだな、アホみたいなこと歌ってめっちゃ楽しそうだなっていうことを言葉にしないで伝えた方が、その楽しさが伝わるんですよ。例えば鬱の人に、「がんばれよ!」って言っても、がんばれないから鬱になってるんであって、でもすごいキラキラして楽しいもので「いつかあそこに行ってみたいな」って思わせるものがあったら、そこには来るんですよ。それは実証してるんですよ。 傷を見せるよりも楽しいところを見せた方が人は救われるなって思うんですよね。

――さて、最後になりますが、まずはヘラヘラ三銃士さんにお聞きします。今回の「今夜もダレかと」に参加してみて今感じていることは何ですか?

ありしゃん 今思えば、なんですけど、まだ私たちではクズ男をちゃんと扱えなかったなっていう思いがあって(笑)。だから、私たち以外の人がどんなふうにこの人を扱っているのかっていうのがすごく興味があるんですよね。もし、このクズ男をちゃんと操縦できる人がいたらぜひ見てみたい!

まりな でも本当にそこは気になる。あと、私的には歌をがんばりました。

t-Ace 歌、めちゃくちゃ上手なんですよ。細かいニュアンスをこういうふうにつけてって、難しいだろうなって思いながらもやらせてみたいなと思って言ってみたら、できるんですよ。

まりな わかりやすくて、すごく。「こういうふうな感情を思い出して歌ってみて」とか。

t-Ace 僕と感覚がすごい近いものがあるなって思いましたね。

――さおりんさんはいかがでしたか? 振り返って。

さおりん 結構誰しもが通る道じゃないかなと思うので、共感してもらえたらうれしいです。

――ではt-Aceさんに締めていただきましょう。

t-Ace そういう終わり方?(笑)。まあでも、2022年下半期にしか絶対に作れなかった曲ですね。ヘラヘラの3人と会ったこともそうだし、それで波長が最高に合うってすごいことだから。またタイミング良くありしゃんも病んでる時で(笑)、それが曲になるなんて奇跡以外の何でもないから。

――惑星直列ですね。

t-Ace そうそう。その時にしかできなかったって曲です。

Text:谷岡正浩 Photo:山本佳代子

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【ヘラヘラ三銃士×t-Ace】男女の恋愛観の違いで大揉めパーティーww

<リリース情報>
t-Ace×ヘラヘラ三銃士「今夜もダレかと」

2023年1月11日(水) 配信開始
価格:255円(税込)

t-Ace×ヘラヘラ三銃士「今夜もダレかと」ジャケット

配信リンク:
https://linkco.re/FXgVQvP4

<ライブ情報>
『エロ神クズお Presents PARK POP SUKEBE 2023 ~今夜もダレかと~』

日時:2023年3月26日(日) 16:00開場/17:00開演 ※20:00終演予定
会場:日比谷野外大音楽堂

出演:t-Ace/AYA a.k.a PANDA/CHEHON/CIMBA/CREAM
チケット:2月23日(木) 23:59まで先行受付実施中! 申込は こちら

お問い合わせ:SOGO TOKYO 03-3405-9999(12:00~13:00 / 16:00~19:00 ※日・祝除く)

■チケット料金
・クズシート:22,000円(税込)※プレゼント付き
・指定席:5,500円(税込)

関連リンク

t-Ace公式サイト:
https://t-ace.love/

ヘラヘラ三銃士 YouTube:
https://www.youtube.com/channel/UCI0xPNkgivK-FCcaCYDC8Yg