「部屋」をめぐる表現をあらためて見つめ直す『部屋のみる夢』1月28日より開催
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アンリ・マティス 《窓辺の婦人》1935年、ポーラ美術館
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すべて見るパンデミック以降、大きく変化した生活様式の中で、誰もが多くの時間を過ごした「部屋」という空間に注目した展覧会が、神奈川県・箱根のポーラ美術館で、2023年1月28日(土) から7月2日(日) まで開催される。
安心感をもたらす空間である部屋は、日常生活の場であると同時に、その閉じられた空間内で親しい人々やかけがえのないものと親密な関係を築く場でもある。一方で、外の世界から隔絶されているがゆえに、閉塞感をもたらす場でもありうるのだろう。同展では、様々な意味をもちうる部屋にまつわる表現に取り組んできた作家に注目し、その小さな世界で織りなされる親密な記憶や夢想のありようを改めて見つめ直すことを試みる。
紹介されるのは、19世紀から現代までの約50点。古くから描かれてきた室内画だが、近代の市民社会では、地位や個人の趣味を反映した部屋の表現が特に絵画の重要なテーマとなったのだとか。印象派のモリゾがベランダやバルコニーで過ごす家族を描いた光あふれる作品や、北欧の画家ハマスホイがとらえた静謐な室内情景、ナビ派のボナールやヴュイヤールが家族を描いた親密な作品群、巨匠マティスが色彩や空間の表現を探究した室内画など、ポーラ美術館の名品とともに、他館からの出品作も並ぶ。
近年、現代美術の収集も進めている同館の新収蔵品として、草間彌生の水玉のベッドをモチーフとした作品や、新たな写真表現を開拓するドイツの作家ティルマンスの作品が初公開されるのも話題となろう。
コロナ禍の「ステイホーム」以降の新たな感性を伝える現代作家の作品も、大きな見どころだ。髙田安規子・政子姉妹は、変化を遂げつつあるパブリックとプライベートの境界のあり方を問う作品を、また佐藤翠と守山友一朗は、閉じられた部屋と開かれた自然との関係を再考する作品を、それぞれ新作で発表する。
個性あふれる作家たちによる多彩な室内表現は、ステイホームの経験を通じて部屋という空間への意識が変容した私たちの心に、新たな気づきや視点をもたらしてくれるに違いない。
出品作家:ベルト・モリゾ/ヴィルヘルム・ハマスホイ/ピエール・ボナール/エドゥアール・ヴュイヤール/アンリ・マティス/草間彌生/ヴォルフガング・ティルマンス/高田安規子・政子/佐藤翠+守山友一朗
<開催情報>
『部屋のみる夢―ボナールからティルマンス、現代の作家まで』
会期:2023年1月28日(土)~7月2日(日) 会期中無休
会場:ポーラ美術館 展示室1.3
時間:9:00~17:00(入館は16:30まで)
料金:一般 1,800円/65歳以上 1,600円/大高 1,300円
公式サイト:
https://www.polamuseum.or.jp/
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