【BLUE ENCOUNTインタビュー・前編(NeoMe編)】最新鋭のコンセプチュアルなライブでありながら、ライブハウスの感じも味わえて面白かった
音楽
インタビュー
BLUE ENCOUNT Photo:髙田梓
スマートフォンでバーチャル空間に入り、XR技術を使って演出するアーティストやパフォーマーのバーチャルライブを、アバターとなって楽しんだり、アバター同士で交流ができるバーチャルライブアプリ「NeoMe」。
このNeoMe内で開催される「NeoMe Live Special」にBLUE ENCOUNTが登場する。ニュー・ミニ・アルバム『Journey through the new door』のリリース日である、2月8日(水) 20時に配信スタートとなるこのライブでは、そのピカピカの新作からの曲も初披露というプレミアムなライブだ。
2023年春から、辻村勇太(Ba)が活動拠点をアメリカへ移すことが発表されているBLUE ENCOUNT。渡米後もバンドに籍を置くことは変わらず、制作等は現体制で行われていくが、ライブとしては2月11日(金) の日本武道館公演「BLUE ENCOUNT TOUR 2022-2023 〜knockin’on the new door〜THE FINAL」を最後に、しばらくはサポートベーシストを迎えた編成でのライブ活動となる。新たな挑戦へと向かっていくこのタイミング、しかも最新作を携え前進していく今をとらえたライブとしても是非とも目撃してほしいライブだ。
前後編となるインタビューの前半では、「NeoMe Live Special」についての見どころや裏話もたっぷりと聞いた。
──2月8日(水) の「NeoMe Live Special」配信に先駆けて、撮りたてのオフライン映像を拝見させてもらったのですが、BLUE ENCOUNTの普段のライブとは違ったものになりそうですね。
辻村勇太(Ba) そうですね。単純に最初は、これがどんな感じになるのか想像がしづらかったというか、自分たちの曲と合わさったときにどうなるのかなという感じはありましたね。なので、セットリストとかも結構迷いました。
田邊駿一(Vo&Gt) そうだね。
高村佳秀(Ds) このライブだと、どんな曲が合うのかとかね。
田邊 言葉を選ばずに言うとしたら、ちょっと亜流なセットリストの作り方ではありますね。最初のMC明けでいきなりバラードを持ってくるというのは、なかなかやったことがなかったんですけど。感覚的には、新たなコミュニティで、新たなスタイルでライブを届けるという思いでやっていたので。いつものBLUE ENCOUNTというよりは、“Neo Me”な感じでお届けした感じはありました。
高村 特別仕様でっていう(笑)。
──映像とともに魅せる、楽しんでもらえるようなセットリストでもありましたね。
田邊 そうですね。楽曲的にも映像とコラボレーションしたときに映えるようなものは選んだ気がしますね。
──実際、足元までLEDで囲まれたステージはどうでしたか?
江口雄也(Gt) すごかったですよ、床がLEDの会場ではやったことがないので。これ、乗って動いても割れないのかなっていう。
田邊 床のLEDが、タイルが敷き詰められているような感じだったんだよね。
江口 そうそうそう、一個一個がはまった感じのね。
田邊 何枚に一個くらいのタイルが、ちょっとカタっと動くんですよ(笑)。そこで途中、滑りそうになってました。
辻村 あまりそこで踏ん張っちゃうと危ないよね(笑)。
田邊 地雷原というか、「マインスイーパー」みたいな感じで試行錯誤してやってましたけど。最新鋭のコンセプチュアルなライブでありながら、昔にやっていたようなちょっとクセのあるライブハウスでライブしてる感じも味わえて面白かったんですね。温故知新な感じがあってよかったです。
高村 僕はドラマーで座ってプレイしてるのでタイル問題は影響なかったですけど。あの空間に慣れるのには時間はかかったかなと思います。LEDでリアルタイムに流れているけれど、完成形の絵がどんな感じになるかが、完全にはイメージできなかったので。その状態でライブ感を出すっていうことに苦戦はしたかなと思いました。まだ経験が足りないんだろうなと。
──1曲1曲の映像演出などは、バンドと制作とでやりとりしながら作っていったものなんですか。
田邊 そうですね。昨年の秋頃からスタートしたのかな?
辻村 映像の絵コンテみたいなものはいただいてましたね。
田邊 なので、セットリストも早めに決めさせてもらってたんです。そうやってコンセプトとかイメージも何度もやりとりをして、結構、本番ギリギリまでやってましたね。当日もフレキシブルに、監督さん含めてスタッフチームが対応してくれたこともあって。
ソリッドな映像感であったり、ソリッドな感じの流れではあったんですけど、実際の中身はバチバチにクリエイティブな人たちが常に頭を悩ませながら、成功に向けて歩んだ感じで。ものづくりに対する熱量が半端ない現場だったんです。それはすごくうれしかったですね。
──バンド側からもアイディアは出したんですか。
高村 新しい挑戦だったから、結構委ねることも多かったんですよね。僕ら色に染めるよりも、監督さんが持つこういうビジョンがあって、こういうふうにBLUE ENCOUNTを見せたいというのが強かったので。
だったらそれに乗っかった方がいいのかなっていうのもあったんです。絵コンテをもらって、僕らが口を出したのは少しだけで。あまり僕らのイメージに近づけさせなすぎないように、あくまで“NeoMe”という仮想空間の中でのライブが条件なので。そこは僕らの意思だけを貫き通しすぎずで。
江口 そうだね。あとは正直、どんな感じになるかも僕ら自身が想像できないのもあったんですよね。変に僕らがいつもやっているライブの感覚でものを言いすぎてしまうと、NeoMeでやる意味がないので。コンセプトをしっかりと理解している人にある程度はお願いをして、そのなかで思い切り表現するという感じで。
田邊 だから、4人とも現場対応みたいな感じのスタイルだったかしれない。
──ライブをやる上でのテンションとしては変わらない感じですか。
田邊 最初は、シュッとしたいなと思っていたんですよね……。でも、2曲目で僕と辻村は大汗をかいてましたね。
辻村 まあ、そこははじまったらそうなりますしね。
──加えて、LEDに囲まれたステージ自体が熱も発していそうですが、リアルタイムで映像が投影されている面白さはありそうです。
田邊 僕らはパフォーマンスをしてるので、リアルタイムでその映像をじっくり観れるわけではないんですけど、不思議とどんどんボルテージは上がっていきましたよね。こんな感じになってるのかな、とか。途中、パッと横を向いたときにすごいギミックが繰り広げられてるのを見ると、いいテンションの上がり方をしたなと。まず、ステージの足元でその演出が観れるということはなかなかないですからね。
辻村 あれは初めてだよね。
──このNeoMeの1回目のライブにヤバイTシャツ屋さんが出演をしたんですが、その映像はご覧になっているんですか。
辻村 観ました、観ました。むしろそれを観て、こういう感じになるんだなっていうのはわかったので。
田邊 今度どこかで彼らに会ったときには、お互いに、あのときはお疲れ様でしたって言えると思いますね。
江口 普段のライブとはちがった独特の雰囲気とかもありますからね、いろいろ共感し合いたいなと(笑)。
辻村 彼らは彼らで、ヤバイTシャツ屋さんならではのポップさで挑んでいたのかなと思うし、そことはいい意味で色がちがうブルエンのライブにもなっていると思うので。じゃあ次はどんなバンドが出るんだろうっていうワクワクにもつながりましたし。
──ヤバイTシャツ屋さんはあの3人らしい遊びや世界観がふんだんでしたが、ブルエンはストレートに、曲を魅せるかっこよさがありましたしね。
田邊 着の身着のままというか、新しい世界に飛び込むからこそいつもの自分たちで挑みたいなというのはありましたね。ちょっと、MCを喋りすぎたのはありましたけど。
高村 それはいつも……。
辻村 そんなにびっくりしない。
──MCの尺などは決まっていなかったんですか。
田邊 なにも決めてなかったですね。本当に感じたままをアウトプットしたかったので。最初はやってみた感想というか、その感触をしっかり伝えつつ。やってみてそこから何を感じ取ったのかも最後には伝えたかったので。
新しい世界に飛び込むというのが、僕らの中ではキーワードで。それは新しいミニ・アルバム『Journey through the new door』のメッセージ性にもつながるものがありましたしね。
──このライブでは、同日にリリースとなるミニ・アルバム『Journey through the new door』からの新しい曲たちも披露されましたね。
田邊 いやあ、緊張したなあ。
辻村 緊張したし、まだ修行が足りないなというところも、正直ありましたけど。
江口 「vendetta」とか、このライブが正真正銘、初披露の曲もあったからね。
辻村 すごくいいスリルがあった。初披露で、映像がそこに混ざることももちろん初めてなので。そこで気づかせてもらったこともあったんですよね。ああ、こういう色も合うんだなとかも感動しましたし、今後に役立てたいなっていうのはありました。
江口 「vendetta」は映像とかむちゃくちゃかっこよく作ってもらったんです。ただ、それを楽しむ余裕がないくらい、まだ自分たちが必死すぎて。
辻村 ちょっと観れてないよね、あの映像(笑)。
江口 せっかくだから、横とか下の映像を堪能しながらやれたらもっとよかったんですけどね。まだ自分たちでいっぱいいっぱいでした(笑)。
田邊 まだライブでのパフォーマンスのスタイルがまだ確立されてない曲でもあるので。とにかく本番前ずっと、みんな楽屋で「vendetta」ばっかり弾いてるんですよ。
高村 (笑)。
田邊 いい意味で、ライブのときって多少ミスってもまあ、ノリだったりとか。
辻村 ライブ感というのでね。
田邊 倍音の感覚とかでごまかせることもあるんですけど、もう全方位からカメラが撮っているわけなので。こんなに失敗できない現場もないというか。しかも難易度も高いので。
──「vendetta」は曲、サウンドとしても新しいBLUE ENCOUNTを提示する曲だけに、お客さんもしっかり見たいと思うでしょうしね。
辻村 むしろ、ああいう難しい曲を披露する最初がNeoMeでよかったかもしれないですね。普段のライブだと余計に、お客さんのことも考えなきゃいけなかったりとか、情報量も多かったりするので。いい意味で、曲そのものと向き合えたかなって思いますね。
──その他の新曲もぜひしっかり味わってほしいです。コロナ禍となって、配信ライブというものができて、またリアルなライブも復活をしてきた状況ではありますが、そういったなかでさらにNeoMeのようなライブ、エンターテインメントの選択肢が増えたことはどう感じますか。
辻村 そこはのびしろしかないですよね──ってちょっとケイスケホンダ(本田圭佑)になりましたけど(笑)。
江口 うん、完全にケイスケホンダだ(笑)。
辻村 でも本当にそう思っていて。もっといろいろとやれることもありますし、「じゃあ、あの曲だったらどういうふうになるんだろう」とかもそうだし、これで対バンドとかいろんなバンドとコラボしたらどんな感じになるんだろうとか。
ここをきっかけにいろんなことが考えられますよね。ドラムセットを前に出して、4人が横並びのアングルとかでも面白そうだなとか。うん、のびしろしかないです。
──そう考えるとかなり自由がききそうですね。
辻村 そうですね、普段のライブよりも自由に、臨機応援にできるところがありそうですよね。今回のライブを踏まえて、次にもし自分たちが出演するとしたらもっといろんなことが考えらえれるなと思いましたね。
田邊 アーティストが全部プロデュースする会もあっていいしね。面白いよね。
辻村 あとは、今回コラボグッズも作らせてもらったので。お客さんがデジタル空間でグッズを購入して、アバターがそれを身につけてライブに参加するというのも、ライブハウスとはまた違うので。お客さんの感想も気になりますね。
──ちなみに自分でもアバター作ってみたいなと思います?
辻村 作りたいですね。
田邊 めっちゃ作りたいなと思いました。僕はゲームが好きなので、そういうゲームとかそういうコミュニティとかあったら、すぐに作りにいくタイプなんですよ。プレステ3の時代かな、PlayStationNetwork(アカウント制のオンラインサービス)でアバターを作るやつがあって。俺そこで自分そっくりのアバター作ってましたから。
高村 自分そっくりに作るタイプなのね。
田邊 なので一足先に、NeoMeっぽい感じの世界にはいってたんですよ。ライブとかではないですけど、その仮想世界の中にパビリオンみたいなものがあって。例えば「バイオハザード」のパビリオンがあったら、その世界観に自分のキャラが入れちゃうみたいな。それをその時期、友だちと誘い合わせて行ってました。
そういうのを自分でやるのが好きなので。普段の生活している自分とは別軸の自分になれる、簡単にそこに行けるというのが、アバターの魅力なので。いつもだったら行けないような、とくに地方の子はこのご時世はライブに行くこともまだまだ勇気がいることでもあると思うので。それが、NeoMeだったらすぐにライブ会場に行けちゃうし。むしろ、ライブハウスとはちがうアーティストの一面が見えるものでもあるかなと思うので。
辻村 各々のメンバーが監修したアバターを売るっていうのもしてみたいよね。
田邊 俺とか簡単だからなあ。丸メガネつけちゃえば、似ちゃうから。売らなくてもできるよ!って言われそうだけど(笑)。
辻村 お客さんにもすでに“田邊アバター”がいるかもしれないしね(笑)。
高村 お客さんが田邊だらけみたいな。
田邊 いいじゃないそれ、100人の田邊で。『マトリックス リローデッド』みたいな感じの。
辻村 同じアバター限定ライブとかもできるかもしれないし。
田邊 どんどんアイディアが湧いてくるじゃない!
辻村 だって、のびしろしかないから。
──新しいことをこうしてBLUE ENCOUNTに先駆けてやってもらってよかったです(笑)。
田邊 僕らも勉強になりましたね。もちろん最初の時点ではいろんな試行錯誤もあると思いますし、ここから変わっていくことも多々あると思うんですけど。本当にクリエイターさんがリアルタイムで頑張っている姿を僕らも隣で見させてもらっていたので。そういう意味でいうと、よりスマトートになる部分もあると思うし、よりクリエイティブな部分でのぶつかり合いをしていってほしなっていう。他にはないライブコンテンツになってほしいんなという思いはあります。
──では最後に、バンド全体でも、個人的にでも、ここは見てほしい、注目してほしいところはありますか。
田邊 僕の指パッチンですかねえ。
高村 やってたね、あれが実際にどんなふうになってるのか。
田邊 僕らもまだわかってないからね。めちゃめちゃよかったからね。何回かやってるんですけど、朝と昼とはミスって、夜でパチン!と。少年隊かくらいにキマったので。
高村 あれで、大した音が鳴ってなかったらねえ?
江口 (笑)。あとは、なかなかないライブ空間だと思うので。全体の雰囲気を楽しむというか。それこそアバターとなったお客さんは、飛び跳ねたりとかアクションもできるんですよね。それってこれまでの配信のライブではできないことだったから。
自分の盛り上がりをその場で表現できるっていうのは、実際のライブと配信ライブの間くらいのところだと思うので。新しいひとつのエンタメの形として、こういうものがあるんだよっていうのをNeoMeは提示していくと思うので。まだ他にはない、この貴重な空間をぜひ楽しんでもらえればなと思います。
Text:吉羽さおり Photo:髙田梓
<ライブ情報>
NeoMe Live Special 〜BLUE ENCOUNT〜
2023年2月8日(水) 20:00〜
※アーカイブ配信:2月9日(木)、2月12日(日)、2月13日(月)、2月14日(火) 各日20:00〜
開催場所:バーチャルライブアプリ「NeoMe」内・ドームステージ
【チケット料金】
価格:3,000円(600ジェム)
■コラボアバターグッズセットチケット
チケット+サッカーシャツ:3,320円(664ジェム)
チケット+フェスT青・黒:各3,320円(各664ジェム)
チケット+背中にブルベア+頭のせブルベア:3,800円(760ジェム)
※コラボグッズはアプリ内のグッズSHOPでも購入が可能です。
【対応環境】
■iOS
推奨および対応OS:iOS13.0以降
推奨端末:iPhone X 以降
対応端末:iPnone8 以降
■Android
推奨および対応OS: Android9.0以降
推奨および対応RAM:4.0GB以上搭載のスマートフォン及びタブレット端末
「NeoMe」ダウンロードURL
・App Store:
https://apps.apple.com/jp/app/neome/id1597051065
・Google Play:
https://play.google.com/store/apps/details?id=com.pia.virtualpia
BLUE ENCOUNT TOUR 2022-2023 〜knockin' on the new door〜 THE FINAL
2023年2月11日(土) 日本武道館
開場17:00 / 開演18:00
※チケットはSold Out
関連リンク
公式HP:
https://blueencount.jp/
Twitter:
https://twitter.com/BLUEN_official
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