松平健×檀れい、明治座創業150周年を祝う記念公演で“お殿様”夫婦に!「最後はマツケンサンバで華やかに」
ステージ
インタビュー

松平健×檀れい 撮影:川野結李歌
続きを読むフォトギャラリー(6件)
すべて見る来年4月28日に創業150周年を迎える東京・明治座。その「前月祭」と銘打って3月に上演される『大逆転!大江戸桜誉賑(おおえどかーにばる)』には松平健、コロッケ、久本雅美、檀れいといった座長クラスの出演者が揃い踏みする。中でも、とある藩主の「お殿様」夫婦に扮する松平と檀が、稽古前の想いを語った。
コロッケさん・久本雅美さん演じる夫婦と入れ替わるおもしろさ感じて
──明治座の門出を寿ぐ、豪華キャストが揃いました。ご出演が決まったときのお気持ちと意気込みを、改めてお聞かせいただけますか?
松平 明治座創業150周年という記念すべきタイミングに呼んでいただいて、うれしく思いました。共演する皆さんの顔ぶれを見渡しても、それぞれのジャンルで座長を経験したことのある方々で。きっとよい芝居ができるだろう、という想像ができますよね。檀さんとは、同じ明治座の『祇園の姉妹(きょうだい)』(2016年)でご一緒したご縁もありますし。
檀 はい! また松平さんと同じステージに立てる喜びを噛み締めています。
松平 先ほど別の取材でコロッケさん・久本さんのお話を聞いて、さらにワクワクが増しました。とにかくお客さんに喜んでいただき笑顔で帰ってもらう、そんな作品にできれば。

檀 今回、久本さん・コロッケさんと共演できるのが、私の中では大きなポイントで。明治座さんには何度も出演させてもらっていますが、ものまねやお笑いのジャンルでご活躍のおふたりとお芝居でご一緒することはなかなかない機会ですし、もう楽しみでしかありません! ここ数年、コロナ禍で舞台を楽しむことができない期間が長く続いていますが、「久しぶりに心の底から笑いたい」と感じている方にぜひご覧いただきたいですね。
──脚本・演出を務める細川徹さんによるプロットを、おふたりもご覧になっていらっしゃるとか。現時点で「おもしろくなりそうだな」と予感するポイントを教えてください。
松平 私と檀さんによる殿様夫婦だけだと正当なお芝居一辺倒になりそうですが、ここにコロッケさん・久本さん演じる傘張り職人の夫婦が加わって、僕らと入れ替わるおもしろさがありますよね。どうなるのか、自分でもまだ想像できないのですが。
檀 プロットを拝読して、思わず大笑いしてしまいました。このストーリーをお考えになった細川さんは「天才だな!」って。4人それぞれの持ち味や魅力を活かして、まとめてくださっていると感じられる内容で。お稽古して板の上に立ったときに、さらにパワーアップするイメージがつきました。
──おふたりは意地っ張りなお殿様(松平)と、誰とでも仲良くなれるその奥方(檀)に扮しますよね。役とご自身の共通点や、共感できるポイントはありますか?
松平 お殿様は『暴れん坊将軍』でずっとやってきましたから問題ないと思いますが……ポイントはコロッケさんと入れ替わったときですよね(笑)。これを機にコロッケさんの芸を研究して、試行錯誤したいですね。
──コロッケさんと入れ替わることで、健さんも「ものまね」をしなければいけないくだりが登場しそうですよね?
松平 そうなんですよ! でも、これまで人前でものまねに取り組んだことがなくて。師匠だった勝新太郎先生の声色をまねて歌とセリフを披露する機会はあったんですが……皆さんだって、きっと笑うわけにいかないでしょうし(笑)。
──たしかに恐れ多い(笑)。檀さん演じるお琴の方には、何か葛藤を芝居でお見せする役割を担っていらっしゃるのかな、と。
檀 そうですね。コロッケさんや久本さんのお芝居で、お客様もきっと盛り上がってくださると思うんです。そこをうまく本筋に戻すのが、もしかしたら私の役割かもしれないな……とも感じていまして。お客様の笑い声を受け取りつつ上手にストーリーに戻して、また笑っていただくような。そのラリーを楽しくやっていけたら。

──お芝居の一方で、笑いに舵を切りたい気持ちもおありになるのでしょうか?
檀 うふふふ。どうなるかまだ未知数ですが、コロッケさんと久本さんを拝見していたら楽しくなって、「私も何かした方がよいかも」と思ってしまいそうです(笑)。
笑いや喜劇にどう向き合うか
──檀さんが笑いに前向きな姿勢でいらっしゃるのは、何か転機になるようなきっかけがあったのでしょうか? 最近はバラエティ番組で姿をお見かけする機会が増えてきたように思います。
檀 ここ数年、コロナ禍で世の中が鬱々としていましたよね。私が参加した作品は幸いにもすべて上演できたのですが、中止になってしまった公演がたくさんあることを受けて、「今度何かやるんだったら絶対楽しい作品がよい」「お客様が笑顔になるような演目に挑戦したい」と願っていたんです。そうしたら、この作品のオファーが!
松平 そうでしたか(笑)!
檀 はい。それで「願えば叶うんだな」と感じました。
──喜劇やコメディに対して、どんな印象や想いを抱いていらっしゃいますか?
檀 この世界では、よく「人を笑わせる喜劇がいちばん難しい」と言われていますよね。まだまだ勉強中の身ですので確たることは申し上げづらいのですが……松平さん、どうしたらよいと思いますか?
松平 そうだなぁ。いい大人が一生懸命になっている姿が、結果的に「喜劇」になっていれば……おのずとお客様も笑ってくださるんじゃないかな?
檀 本当にそうですね!松平さんについていきます。
──檀さんが在籍していた宝塚歌劇では、下級生が余興に力を入れるとお聞きしたことがあります。檀さんは当時、どんなスタンスで笑いに向き合っていらっしゃいましたか?

檀 宝塚では、余興にみんな命を賭けますよね。私も本気で取り組んでいましたが、うちの期はそれほど得意じゃなかったかも。一生懸命やるけどスベってしまう、みたいな(苦笑)。
一同 (笑)
──今回は笑いも果敢に狙っていきたいですか?
檀 お琴の方がどこまで笑いに足を突っ込んでよい役どころなのか、によりますかね。もし楽しい登場シーンがあったら、特に私と入れ替わるお役の久本さんからいろいろ教えを受けたいと思います。
──プロットに「ラストは全員で『マツケンサンバ』を歌い踊る」とあって、それだけで楽しみになりました!今回の明治座ではどんな風にショーアップされるのでしょうか? 健さんの中で「こんな風に展開したい」という密かな構想はございますか?
松平 どんなことがあっても最後は『マツケンサンバ』で華やかに締めくくりますよ。ご来場いただくお客様に喜んでいただきたい一心で、僕自身も精一杯楽し観たいと思います。
──衣裳も華やかにアップデートされるのでしょうか?
松平 したい気持ちはありますが、最近は海外に行く機会がないので生地を仕入れることができなくて。
檀 お衣裳づくりにも携わっていらっしゃるんですね!
松平 生地は自分で購入しています。とにかく「いちばん派手なやつ」を買ってくるんですよ(苦笑)、毎年たくさんの生地が出るのでね。新しいものを購入して、お客様が見飽きないように心がけています。
──素敵(笑)! ちなみに、創業150周年を迎える明治座との思い出を教えていただけますか?

松平 現・明治座に建て替える前から舞台に立たせてもらっています。師匠・勝新太郎先生の舞台で初めて明治座に上がったときはいろいろ失敗もあったんですが、長い間お世話になっている思い出深い劇場です。だからこそ、記念すべきときに呼んでいただけたことが喜ばしい。襟を正し、お着物をお召しになってご来場になるお客様も多いですよね。
檀 非日常の空間が広がっていますよね。お芝居だけでなく、幕間にお買い物やお食事まで楽しめて。「休憩時間も楽しめるように」と明治座さんが趣向を凝らしていらっしゃるので、ぜひ存分に劇場をまるごとご堪能いただければ。
松平 役者にとっても、歴史あるステージに立てることは誇りです。
檀 そうですね。初めて明治座のステージに立たせてもらったとき、私の名前が書かれた大きな幟が劇場の前にはためいていることが……うれしくてうれしくて。「やっと初日の幕が開く!」「私は明治座でお芝居ができるんだ!」という喜びはいまでも忘れられません。
──ステージの上に立つ俳優の皆さんにとって、劇場によって受ける印象は異なるものですか?
檀 そうですね。オーケストラピットがあってグランドミュージカルが上演される大劇場と、ステージと客席の距離が近くお客さんと密にコミュニケーションが図れる小劇場ではイメージや見せ方が異なりますよね。その中でも、明治座には独自のよさがある気がしていて。私はこうしてインタビューを受けるときに「芝居小屋」と申し上げているのですが、日本の味わい深い文化がギュッと濃縮された空間だと思います。演目も、歌手の方がお芝居をされる座長公演からミュージカル、商業演劇、新作まで幅広く上演していて。日本におけるエンターテインメントの「粋」を感じられる劇場ですよね。

──では最後に、お誘いのメッセージを読者の皆さんにお願いいたします。
松平 座長クラスの楽しいメンバーが勢揃いします。ご覧になったら絶対に明るい気持ちになってお帰りいただけると思いますので、楽しみにしていただけたら。
檀 明治座創業150周年の門出を、私たちも祝って楽しみたいと思います。お客様も一緒になって大いに笑っていただけたら。キャストの顔ぶれに「どうなるの?」「何が飛び出すんだろう?」というワクワク感を受け取ってもらいたいですね。
取材・文:岡山朋代 撮影:川野結李歌
<公演情報>
明治座創業150周年記念前月祭
『大逆転!大江戸桜誉賑(おおえどかーにばる)』
2023年3月4日(土)~2023年3月28日(火)
会場:東京・明治座
フォトギャラリー(6件)
すべて見る