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【サンダンス映画祭レポート】ランドール・パーク監督デビュー作『Shortcomings』

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『Shortcomings』

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マーベル映画のジミー・ウー役で知られるアジア系コメディ俳優ランドール・パークが『Shortcomings』で監督デビューを果たした。主要キャストは、すべてアジア系俳優。パークらしい、温かさとユーモアに満ちた作品だ。

日系アメリカ人のベンは、やはり日系のミコと北カリフォルニアのバークレイに住んでいる。ある日、ミコは、夢がかなって3ヶ月のインターンシップに受け入れてもらえることになり、ニューヨークに行ってしまう。このところ、ふたりの関係がぎくしゃくしていたこともあり、恋人関係をいったんお休みにすることで、ふたりは合意。ベンはさっそく若い白人の金髪女性にアプローチするが、ミコが電話の返事をまるでくれなくなったことも、気になってしかたがない。そしてついにこっそりとニューヨークに乗り込んで行った彼は、衝撃的な事実を発見するのだった。

映画には、アメリカに住むアジア系が共感できる要素がたっぷり。たとえばベンの女友達は韓国系のレズビアンだが、彼女は親に対して絶対にカミングアウトしないと決めている。理解してもらえるはずがないからだ。そんな彼女は、ベンを恋人に仕立てて親に紹介しようとするも、親は日本人を嫌っているため、韓国系ということにしてもらう。また、ベンは、自分は金髪女性と付き合いたいくせに、ミコが白人男性と一緒にいるのは許せない。

タイトルこそ出さないものの、『クレイジー・リッチ!』がアメリカで爆発的にヒットしたことについての複雑な思いについても触れられる。あの商業的な映画でアジア系が注目されたことにベンは抵抗を覚えるが、ミコは、多くの人が楽しんで感動するならいいではないかという。多様化が叫ばれる今日のハリウッドで、マイノリティにとってはタイムリーでリアルなトピックだ。

主演は、『アフター・ヤン』でAIを演じたジャスティン・H・ミン。今作ではまるで違う、チャーミングで生き生きした魅力を発揮する。

ほかの出演者に、『スパイダーマン』新3部作でネッドを演じたジェイコブ・バタロン、『エクス・マキナ』『クレイジー・リッチ!』『ハウス・オブ・ザ・ドラゴン』のソノヤ・ミズノなど。パークも小さな役で出演する。

文=猿渡由紀

(C)Sundance Institute