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ファゴットの魅力を伝えたいー新天地で道を切り拓いた作曲家に自らを重ねて

クラシック

インタビュー

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長哲也

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東京藝術大学をご卒業後、すぐに東京都交響楽団の首席ファゴット奏者に就任し、オーケストラ奏者として活躍中の長哲也。オーケストラに所属しながらリヨン国立高等音楽院の大学院に留学し研鑽を積んだ彼の学びと音楽とのかかわりについて尋ねた。

「プロのオーケストラ奏者になる事は、子供の頃の漠然とした憧れでした。先生をはじめ、周囲の方々、そして家族のサポートがあり、運良く夢を叶える事ができました。オーケストラ奏者として活動できている事は本当に嬉しく、やり甲斐があります」

夢を叶えたあとに海外への留学を決断したのはどのような背景があったのだろうか。

「もともと大学卒業後に留学を検討していたのですが、都響に入団することができ、一度計画は白紙になりました。オーケストラ奏者として余りにも足りないことが多く、まずはオーケストラ奏者として充分経験を積みたかったのです。その後、経験を重ねてできることが増えつつも、新たな課題も見えてきました。そのような時期に、Carlo Colombo先生(リヨンオペラ首席ファゴット奏者、フランス国立リヨン高等音楽院教授)と出会い、彼の音色や音楽性、そして人柄に感銘を受け、留学を決意したのです」

2019年から文化庁新進芸術家海外研修生として過ごしたリヨン高等音楽院の大学院ではどのようなことを得ることができたのだろう。

「Colombo先生のレッスンはもちろん、リヨン国立オペラで彼の演奏を聴いたりする事で、数年間のオーケストラ演奏活動の中で直面していた自分の演奏上の課題の解決の糸口を少しずつ見つけていくことができ、本当に充実した日々でした」

今回の演奏会ではその留学で学んだこと集大成ともいえるものが聴けることになる。ファゴットとオーケストラ(弦楽合奏)の共演曲となると曲が限られてくるが、今回ヴィラ=ロボスの「7つの音のシランダ ~ファゴットと弦楽合奏のための~」を選んだ理由は何だったのか。

「まずはフランスに関わりのある作曲家の作品を演奏したいという想いがありました。また、ブラジルからフランスに渡り新しいスタイルを探求したヴィラ=ロボスの姿が、日本からフランスへ留学した私自身と重なった事も理由です。ファゴットコンチェルトの演奏機会はかなり稀なので、今回の演奏でお客様にファゴットの魅力をお伝えできればと思っています。そして今後はフランスでの研修で得た経験を、オーケストラでの活動はもちろん、室内楽やソロ演奏も積極的に行い、活かしていきたいです。私自身が2014年のオーチャードホールでColombo先生の演奏に初めて触れて感激したように、聴きにきてくださった方々の記憶に残る演奏をしたい、というのが目標です」

明日を担う音楽家たち2023
~新進芸術家海外研修制度の成果~

2月8日(水) 19時開演
東京オペラシティコンサートホール

曲目、出演者
ハイドン:チェロ協奏曲第2番ニ長調
(独奏:三井静 平成30年度文化庁新進芸術家海外研修員 ザルツブルク)
トマジ:サクソフォーン協奏曲
(独奏:袴田美帆 令和3年度文化庁新進芸術家海外研修員 パリ)
ヴィラ=ロボス:7つの音のシランダ ~ファゴットと弦楽合奏のための~
(独奏:長 哲也 令和元年度文化庁新進芸術家海外研修員 リヨン)
ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番ハ短調
(独奏:大崎由貴 令和2年度文化庁新進芸術家海外研修員 ザルツブルク)

指揮:角田鋼亮
新日本フィルハーモニー交響楽団

https://www.orchestra.or.jp/tomorrow2023/

取材・文:長井進之介

■チケット情報
https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventBundleCd=b2234701

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