原因は自分にある。パシフィコ横浜公演レポート 「僕たちの未来、一緒に歩んでいきましょう」
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『げんじぶ空間:case.5-End of Infinity-』より 撮影:米山三郎/冨田望
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すべて見る1月29日、7人組ダンス&ボーカルグループ「原因は自分にある。」がパシフィコ横浜にてワンマンライブ『げんじぶ空間:case.5-End of Infinity-』を行った。彼らのひとつの目標であった自身最大規模のキャパとなるパシフィコ横浜での公演。“げんじぶ”のこれまでとこれからを感じさせる充実のステージの模様をレポートする。
げんじぶがネクストフェーズに向けて走り出す
満員御礼のパシフィコ横浜。開演時間が迫り、大きくなるBGMにとともに観測者(原因は自分にある。のファンの総称)の期待が高まっていく。
真っ白な衣装に身を包んだメンバーが現れると自然と拍手が沸き起こった。オープニングを飾るのは「僕らの世界・物語」。それぞれの歌声が響く。メンバーのソロのたびにペンライトがメンバーカラーに変わり、それぞれのソロパートのあと、バラバラの位置に立っていたメンバーが武藤潤をセンターに一列に並ぶ。最後のソロパートの杢代和人が加わり、息の合ったダンスを見せ、一気に躍動感が増す。
ピンクの照明に包まれて、ステージ後方に設置された7つのスクリーンに、7人の表情がそれぞれ映し出され、「魔法をかけて」へ。げんじぶが作り出す世界へと観測者たちを誘う。小泉光咲が「僕たちと一緒に夢のような時間を過ごしていきましょう!」と笑顔を見せ、「夢に唄えば」に続く。それぞれステージ上手下手に分かれて会場の端にいるファンにも手を振る。みんなで!という声に合わせて客席も体を動かす。キュートな笑顔で杢代が締め、「チョコループ」へ。キュートな振りで魅了し、ステージの上で楽しそうに跳ねる。サビでは、観測者も一緒に踊り、広い会場の一体感が増す。カメラで抜かれるたびにメンバーの表情が楽しそうで、それが微笑ましく、グッときてしまう。
MCではまず改めてそれぞれ観客にご挨拶。長野凌大が来場のお礼を伝えたあと、「来ちゃったよ、パシフィコ!」と笑顔を弾けさせる。生中継も行われているということで、カメラに向かって手を振り、会場に来られていないけれど、思いを飛ばしているであろう観測者に向けても感謝を伝えた。ここで、「に、してもひろーい!」と大倉空人。
「1階、2階、3階……3階までありますからね!」と桜木雅哉もテンション高めに言う。さらに大倉が「そして、そして……和人、久しぶり!」とニコニコで声をかける。昨年の春ツアーぶりにフルでのライブ参加という杢代。
吉澤要人も「和人が横にいると気持ちいいですよ、僕。だってMCに和人いてくれたら嬉しいですよね、みなさん?」というと、会場も拍手で応える。そのあと、一度やったやりとりをリピートしてみるなど、ハイテンションのメンバー。大倉が「いや楽しい、7人!」と言ったが、まさにその言葉に思いが込められている気がする。
ここからは2023年原因は自分にある。スペシャルメドレーが「原因は自分にある。」でスタート。おなじみの振りも、観測者も含めて全員で。続いて、武藤のソロから始まる「貴方に溺れて、僕は潤んで」。ジャケットを脱いだ衣装はまた赴きが変わる。「J*O*K*E*R」を挟んで、メンバーがそれぞれソロでげんじぶの楽曲を披露していく。
まずは吉澤がサングラス姿で「犬と猫とミルクとシュガー」をワイルドに披露。体に響くような低音ボイスを響かせた。
「嘘から始まる自称系」では小泉がステッキを手に、軽やかなダンスを見せる。大倉は「結末は次のトラフィックライト」を熱唱。「まだ赤い」という歌詞とともに、赤の羽根を舞わせた。
「半分相逢傘」では傘を持った杢代が登場。曲中のセリフが印象的な楽曲だが、そのパートからスタート。「もう帰るの? まだ帰りたくないな。伝えたいことがあって……俺の女になれよ」というオリジナルのセリフには、客席から思わず悲鳴にも似た歓声が響き渡った。傘を持ってのダンスもまた色っぽい。
桜木は花を咥えて登場し「545」を。ラストは大人っぽい表情で花にキスをし、爽やかでいて色っぽさの片鱗も見せた。
ハットをかぶって登場した武藤は「キミヲナクシテ」。ハットを指で押し上げる仕草で観客を翻弄する。長野は「幽かな夜の夢」でスタンドマイクを使ったパフォーマンスを。カッコよさもありつつ、キュートな笑顔で締めくくった。ソロの余韻に浸っている間もなく、全員揃ってパワーあふれるダンスを見せたあとは、「ギミギミラブ」へ。
「この曲で愛を届け合いましょう!」
まずは「観測者のみなさん、今から僕たちと一緒にギミギミダンス、いやいやラブラブダンス踊っていきましょう」と桜木が言い、大倉にバトンタッチ。褒め上手ぶりを発揮して、大倉が観測者に“ラブラブダンス”をレクチャー。そして「この曲で愛を届け合いましょう!」とレクチャーされたばかりの振りだけでなく、会場が一体となって飛んで跳ねて、楽しさがアップしていく。
「嗜好に関する世論調査」に続き、杢代が「次に披露する曲をメンバーとこの場で決めていきます!」とスクリーンに映し出されたのは「Macanas」と「Show Time!!」という2択。懐かしい2曲に会場からは歓声が。歌いたい方の楽曲にメンバーが移動するという投票システムだが、それぞれ自分が支持した曲を歌いたい。アピールのために、楽曲のフリをしたり、当時の思い出話をしたり……と次第にステージ上はカオスになり、途中、長野と吉澤が抱き合っていたりと、見るべき場面が多くて嬉しい悲鳴だ。結果、杢代を中心にステージ上で相談した結果、決定したのは「Show Time!!」。ペンライトも軽やかに跳ね、観測者たちのテンションが上がっているのもよく分かる。テンションそのままに、「Joy to the world」でメドレーを締めくくった。
スモークが満ちる中、始まったのは最新アルバム『無限の終わり』に収録されている「Lion」。長いイントロが印象的な楽曲だ。レーザーが会場を彩り、ステージ後方が開く。衣装をチェンジしたメンバーがゆっくりと前方に進んでいく中、炎と花火の演出が会場のボルテージをあげる。先ほどまでと打って変わってワイルドなパフォーマンス、曲にぴったりな勇ましい表情を見せつける。
その勢いのまま、行きつく間もく「黄昏より疾く走れ」「以呂波 feat. fox capture plan」「0to1の幻想」とスピード感ある楽曲で攻める。
畳みかけるようにメドレーを含め19曲(!)を披露し、続くMCでの話題はもちろんメドレーでのソロについて。
「来日公演かと思いました」と大倉のコメントを受けてトップバッターの吉澤は「多分ライブでサングラスかけることは今日が最後かと思う。……サングラス似合ってた?」と少し不安げに会場に問いかけると、もちろん大きな拍手が。「似合ってたらいいんだよ。ありがとう」と吉澤。
続いて小泉は「僕って爽やかな曲をメインで歌ったりとか。なんですけど、今回は「嘘から始まる自称系」で攻撃的な歌詞が多かったり、強めになっていまして、それを僕が披露するっていうのは新鮮なんじゃないかな、と。おもしろみがあってよかったのかな、と思いました」。アイテムのステッキを杖と言い、「いきなりおじいちゃんみが強い」と大倉に突っ込まれつつ、「ステッキを持つライブはなかなかないから最後かもしれない」とまさかのステッキ引退宣言が飛び出した。
羽根を舞わせた大倉は、ソロでの演出について「演出家の方が決めるときに、光咲は杖だな、要人はサングラスで、空人は何だ? って質問されて羽根になりました」とのこと。そして杢代については「破廉恥なっ」と大倉。杢代は「破廉恥なとか言わない!」とツッコんだあと、「みんなが秋ツアーで『半分相逢傘』(セリフ部分)を回したということで、俺が一番やりたいんとちゃいますの? ということでやらせていただきました」。セリフは今回、完全にオリジナルで杢代自身が考えたのだそう。
続く桜木は「花を持たせていただいて、最初に花を噛んでたんですけど、実は(その演出については)今日決めたんですよ」と言ってメンバーも驚かせた。「リハーサルで、鏡の前で噛み方の練習をしてた」と吉澤に明かされ、「あんまり言わないで」と照れくさそうにし、「和人が絶対盛り上がっちゃうから、何かインパクト与えようと思って頑張りましたね。どうでしたか⁉」という桜木に観測者は温かい大きな拍手を送った。「身長でかくなってもいいことよ、そのかわいさは」としみじみと大倉。武藤は「ハットかぶりました! すっげー楽しかった! 武藤潤ですから! そうMJです!」とニコニコ。
最後は長野……だが、長野を飛ばして「あとステージもすごくて……」と別の話を始める杢代に慌てて本人が突っ込む、という、久しぶりなおなじみのやりとりが。「練習ではあるけどライブでスタンドマイクやるのは初めてだったのでちょっと緊張したんですけど」とはにかんだ。
そして、改めて「ステージ広くなったね」と杢代。「バミりがあるんですけど、昔は3番までしかなかったのに。今回15ぐらいまである?」と長野。「今何番まである?」と大倉が吉澤に見に行くように言うが、吉澤がステージの一番端までたどり着いた瞬間に「さあ、次の曲に行きましょう!」と大倉が言い、吉澤が慌てて戻ってくる場面も。
ライブも終盤へ。「げんじぶのネクストフェーズ、羅針盤となるこの楽曲をお聴きください」という武藤の言葉で始まったのは「無限シニシズム」。目まぐるしく変化するフォーメーション、難易度の高さが感じられるダンスをエネルギッシュに新しいげんじぶを見せたところで、「柘榴」「シェイクスピアに学ぶ恋愛定理」を。パワーもテクニックも増していることを感じさせるだけでなく、広いステージを駆使し、ダイナミックに魅せていく。当たり前だが、ステージが変われば、見せ方も変わる。広いステージが、今の彼らにはよく似合う。さらに、長野が客席にクラップを促し、「原因は君にもある。」。曲中では桜木が「君だ、パシフィコ絶対君だ」、杢代が「明らかに観測者、君たちのせいだ」と歌詞をアレンジし想いをのせる。そして大倉は「観測者大好きだー!」と叫ぶ。
グッと落ち着いた曲調の「Run away」。一列に並んだメンバーをピンスポットが照らす。それぞれのパートでは生カメが、表情を捉えていく。そして、次はこれまでのオフショットがパートごとに映るが、ラストのサビでは7人の集合写真が映し出され、そこに今、ステージに立つ7人の姿と、歌声が重なる。 最後に映し出されたのはメンバーの今の7人の集合写真。
そして、本編最後の曲は「Q」。「僕たちの未来、一緒に歩んでいきましょう」という武藤の言葉で締めくくられた。
「目標や夢を追いかけ続けられるのは、全員の観測者の方のおかげです」
7人の充実の表情で終えた本編直後、熱気が高まる客席からはすぐに手拍子が響き渡る。それに応えるように、Tシャツ姿のメンバーが再びステージへ。ステージ上のカメラに向かって、客席をバックにリラックスした表情を見せながら「ネバーエンドロール」を。階段を上ってくる長野の手をとる吉澤。「好きだよ」という歌詞に合わせてでハートマークを作る大倉と桜木。そして大倉がつぶやく。「楽しいなあ」
最後のMCではメンバーから一言ずつ送られた。トップバッターの大倉は「本当に楽しかったです。ライブで7人で立てたこともそうですし、改名前の曲もやらせていただいて、このパシフィコで7人で活動した歴史が振り返れたな、と思っております。ここで立ち止まらず、夢に突き進んでいければと思います」。
「まずはこうしてこのステージに立てていることを嬉しく思います」と吉澤は喜びを伝え、「僕らってデビューしてからすぐにライブでみなさんと会えるときにマスクがあるのが当たり前になっているんですけど。最近、本当に強く感じるのが、マスクがあってもみなさんの笑顔が本当に届くんですよ。みなさんの笑顔を生で感じられるライブが本当に幸せで、もっともっとみなさんの笑顔を大切に活動していけたらと思っております。笑い合って生きていきましょう」
小泉は「パシフィコ横浜に立てたのは本当にみなさんのおかげです。ありがとうございます。でも、みなさんのおかげでもあるんですけど、僕たちは僕たちで少しは成長したんじゃないかな、と思います」と言い、大倉が「そういうところ好きよ、俺」と笑顔を見せる。「改名前、リリースイベントとかで各地回っていたんですけど、結構後ろがポカッと空いてたりしてそれが悔しくて。ダンスとか歌とかがんばってたんですけど、やっぱりパフォーマンスって時間をかけて身につくものなので、こうして時間が経って、パシフィコで成長した姿が見せられて本当によかったな、と思います」。
そして、久しぶりにフルでのライブ参加となった杢代。「去年はステージに立つ機会が少なくなってしまって、みなさんに不安にさせたと思います。こうして7人でステージに立ってパフォーマンスできること、本当に本当に幸せに思います。そして観測者のみなさんがいたからこそ、僕たちがあると思っています。今年、また7人で最高のパフォーマンスを見せますので、ぜひそのときは来てください」
桜木は感謝の言葉と共に、「みなさんのおかげでここに立ててますし、みなさんの支えがあって今の僕たちがいます。みなさんの人生にとって最高の1日であったらいいな、と思います」。
武藤は「原因は自分にある。という言葉があったから、僕たちが生まれて原因は自分にあるという言葉を胸に持ってきたからこそ、ここまで来れました。でもそれはみなさんの力もありました。原因は君にもあったんです! これからも、みなさんのそれぞれに人生にも原因は自分にある。という言葉を持ってこの先の人生を歩んでほしいな、って思っています」
締めくくりは長野。「このライブを観ることを選択してくださったみなさん、ありがとうございます。数年前に、メンバーとパシフィコ横浜に立とうという夢を決めて、ちょうど1年前にその夢が目標になって、今日こうしてパシフィコ横浜でのライブを叶えていて。当時見ていたパシフィコ横浜と僕たちが今みているパシフィコ横浜ってあきらかに違って、僕たちが今見えている景色っていうのはパシフィコ横浜もそうですけど、頭の片隅にはもっと大きいステージ、ホールツアー、そしてその先がぼんやりと見え始めていて、この景色をいつか観測者のあなたと全員で観られることを目標に2023年がんばっていきます。目標や夢を追いかけ続けられるのは、全員の観測者の方のおかげです。いつも元気やパワーをくれてありがとうございます。大好きです」
そして、ラストの曲。吉澤が「この曲がもっともっと似合う僕たちになれるように。メンバー7人と観測者のみなさんで前へ前へ共に進んでいきましょう」と言い、「みんな大好きだよ!」と全員で声をそろえて伝え、「桜Ground」へ。多幸感あふれる笑顔。最後にはピンク色の銀テープが3度も飛び、華やかに会場を桜色に染めた。
最後は会場にいる全員に思いを伝えようとするように全員に手を振り、初めてのパシフィコ横浜での公演を楽しみ尽くした「原因は自分にある。」。
MCではLINE CUBE SHIBUYAでの3Daysを含む夏のホールツアー開催が発表され、げんじぶはネクストフェーズへ。さらに、終演後には意味深なメッセージがスクリーンに映し出されるなど、2023年、まだまだ何かが起こりそうだ。
これまでの自分たちの魅力を発揮し、新たな側面を見せた原因は自分にある。のネクストフェーズへの期待が高まる。
取材・文=ふくだりょうこ
撮影=米山三郎/冨田望
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