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風間杜夫×濱田めぐみが、芝居で歌で魅せる、異文化の人間の心の交流 ミュージカル『バンズ・ヴィジット』

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風間杜夫×濱田めぐみ 撮影:源賀津己

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2018年のトニー賞で作品賞をはじめとする10部門の受賞に輝いたミュージカル『バンズ・ヴィジット 迷子の警察音楽隊』が日本オリジナル演出で上演される。歴史的に敵対してきたエジプト・イスラエル両国の人間が、心を通い合わせていく一夜の物語。風間杜夫、濱田めぐみという巧みのふたりが、深い癒しをもたらしてくれそうだ。

小学生の孫にも観てもらえる作品

──おふたりは初共演。ビジュアル撮影時が初対面だったそうですが、お互い、どんな印象を持たれましたか。

風間 第一印象として感じたのは、「あ、この人は頼れる」でした(笑)。目を見ればわかります。この人は信頼できる!

濱田 ありがとうございます(笑)。

風間 何しろ私はミュージカルは2度目。まだ2歳児のようなものですから、まず頼れる人を見つけなきゃいけない。そういう意味でも、濱田さんがそばにいてくださるのは、大変ありがたいと思いました。

濱田 しっかり頑張ります! でも、私のほうこそ、昔から拝見していた風間さんとお目にかかるのは緊張していたんですけど、気さくに話しかけてくださってありがたかったですし、一緒にお芝居をさせていただくのがすごく不思議で、奇跡に近いまさかの出会いなので、心して取り組まなければと思っています。私にとってどういう冒険になるのか、自分の中のいい部分も引っ張り出していただけるのではないかと、今からすごく楽しみです。

──『バンズ・ヴィジット』という作品については、どこに魅力を感じておられますか。

風間 舞台版はまだ観てないんですが、映画を観てとても惹かれるものがありました。生意気なことを言えば、戦争や感染に緊張を強いられる世界情勢の中で、文化の違う国の人間が触れ合って交流していく姿はきっと何かを伝えてくれるに違いない、その感動を届ける役目を担えたらと思ったわけです。そして、孫が小学生になり、これからいよいよじいじの芝居を観ることになると思うのですが、ほかの僕がやっているものは、例えば去年やった新宿梁山伯のアングラ芝居なんて小学生には観せられないけれども、この作品なら安心して呼べますから。これで初めて僕の芝居を観てもらえるのではないかというのも、大きな決め手でした(笑)。

濱田 私は舞台版の映像を少し拝見したんですけど、セット転換がほぼないなかで、風間さんがおっしゃったその異文化の人間の交流だけで見せていくお芝居だったんです。しかも、ミュージカルと言っていいのだろうかと思うくらい、歌い上げるというよりも、思っていることが口から出たらたまたまメロディーになったというようなイメージで。そのメロディーがまた、これまでいろいろやらせてもらってきたミュージカルにはなかったアラブ系の曲調であることにも興味を持ちました。そんなふうに、もともとの作品自体にいろんなチャレンジが含まれているうえに、あえて日本オリジナルの演出にされるということなので、日本チームがどういうふうに作っていくのかも含め、興味が尽きないです。

魅力的なキャラクターにぴったりのふたり「掘り下げて掘り下げていきたい」

──演じられるのは、風間さんはエジプトからイスラエルにやって来た警察音楽隊の隊長トゥフィーク、濱田さんは行き先を間違って迷子になったその音楽隊を迎える地元の食堂の主人ディナ。現段階ではご自身の役にどんなイメージを持っていらっしゃいますか。

風間 映画で観た隊長は、非常に厳格で規律を重んじる人なのですが、ディナと出会って、心がほぐれていくといいますか、自分の孤独な状況や内面を打ち明けていくんですね。そして、ちょっと妖艶な彼女に女性としても心惹かれるところがある。でも、自制する。踏ん張る。魅力的なキャラクターだと思います。

濱田 風間さんはこの隊長役にぴったりだなと思います。すごく楽しみです。私のディナという役は、わりと自分に似ているところがあると思ったんですけど。とはいえ、やはり、イスラエルの女性のその民族感覚ってまったくわからないので。砂漠の片田舎に住んでいる土臭い感じというのでしょうか、野性味あふれたポジティブな女性を、ちゃんと研究して作っていけたらなと思っています。

風間 素晴らしい!

濱田 やっぱり、舞台に出たときにお客様に日本の女性だと思われてしまうとつまらないじゃないですか。あの土地の豪快さとか、あっけらかんとしたような感じを持って現れたほうが、この世界に入り込んでもらえるのではないかなと思って。

風間 今のお話ぶりを聞いていても、ディナにぴったりです。絶対大丈夫ですよ!

濱田 良かったです。掘り下げて掘り下げていきたいです。

──ちなみに濱田さんは、これまでのインタビュー記事でも、翻訳ミュージカルに出演されるときは、事前に研究をしてから稽古に臨むとおっしゃっていましたね。

風間 以前からそうだったんですね。

濱田 翻訳劇って、最終的な日本語の台本は、かなり意訳されたものになっていることが多いと思うんです。だから、このセリフはもともと何を言っているのかということを確かめたくて、英語をそのまま日本語に訳した第一段階の粗訳を、なるべく見せてもらうようにしています。そうすると、セリフを言うときに、その裏にあるものを理解しながら口にすることができるんですね。

──風間さんは新作に臨まれるときには、どんな取り組み方をされるのですか。

風間 日本の現代演劇の若手や中堅の作り手に呼ばれるときは、必ずと言っていいほど新作ですからね。しかも、稽古初日に台本が全部上がっていることはめったにない(笑)。赤堀雅秋くんもそうでしたけど、稽古をしながら台本を書く。岩松了さんももうベテランですけど同じで、僕らは準備のしようがないんです。新宿梁山泊は唐十郎の過去の作品をやったりしますけど、唐さんの戯曲は難解で僕らにはわからないですから、やはり演出家に聞くしかない。すると演出家は、「誤読でいいじゃないか。どんどん誤読していこう」なんて言う。ですから、濱田さんがおっしゃったような作業は、僕は経験がないんです。そういえば、初めてやったミュージカルでは、大竹しのぶさんが濱田さんと同じようなことをしていた記憶があります。演出家がマリア・フリードマンというイギリスの女優さんだったので、この日本語のセリフはおかしいんじゃないかとおっしゃって、しのぶちゃんと一緒に英語と比較しながら検討していました。でも、僕はそれどころじゃない。僕は歌の問題に直面していましたから、レベルが全然違うんです(笑)。

歌で芝居をする

──風間さんのその初ミュージカルが『リトル・ナイト・ミュージック』(2018)でした。

風間 ミュージカル界随一の難曲と言われているスティーブン・ソンドハイムの楽曲で、まぁ歌いづらかったですね。手こずりました。家に帰ってからもひとりで特訓ですよ。お酒を飲みながらやって上手くなったと錯覚しては、また翌日は一から出直し。ですから、こんな命を縮めるようなことは二度とやるまいと思ったんです(笑)。今回も、歌わなくていい、踊らなくていいと言われています。

濱田 でも、日本版がどうなるかわからないですけど、ブロードウェイでは、隊長さんがしゃべるような感じで歌っているところがありました。

風間 しゃべるようにですか。だったら頑張ろうかな(笑)。でも本当に、ミュージカルの皆さんのように歌えませんから、お芝居でお役に立つならとお引き受けしたんです。

濱田 私も実は、もともとはお芝居がやりたかったんです。それが、舞台芸術学院の演劇科がいっぱいで、空いていたミュージカル科に入ったことから方向が変わったので。そういう意味でも、風間さんとお芝居できるのが、楽しみで仕方ないんです。それこそこの作品は、歌で芝居をするようなものですしね。歌については私も、今までと違うアプローチで攻めてみたいと思っているんです。

風間 『リトル・ナイト・ミュージック』でも、しのぶちゃんと掛け合いのように歌う「妻に会ってほしい」という曲はすごく歌いやすくて楽しかったんです。カラオケで吠えることもやってますしね。だから、掛け合いでいいから、僕もちょこっとはうなってはみたい。やっぱり、一曲も歌わないとなると寂しいですから(笑)。

濱田 良かったです(笑)!

取材・文=大内弓子
撮影=源賀津己

<公演情報>
ミュージカル『バンズ・ヴィジット 迷子の警察音楽隊』

2023年2月7日(火)~2月23日(木・祝)
会場:東京・日生劇場
※3月に大阪・愛知公演あり

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