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いまも愛され続ける“伝説”の映画『タイタニック』がスクリーンに復活!

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1997年に公開され、アカデミー賞11部門に輝いた映画『タイタニック』が2月10日(金)から『タイタニック:ジェームズ・キャメロン25周年3Dリマスター』のタイトルで再び2週間限定公開される。

史実を基にした壮大なドラマ、観客の胸を打つロマンス、極限状態を前に描き出される人間の信念、想い、生きることの尊さ……全世界の観客を魅了し続ける“世紀の傑作”が再び大スクリーンに帰還する。

1:なぜ映画『タイタニック』は“伝説”なのか?
2:いまも色あせない永遠の愛のドラマ
3:2023年だからわかる『タイタニック』の魅力

なぜ映画『タイタニック』は“伝説”なのか?

1912年4月10日、豪華客船タイタニック号はイギリスのサウスサンプトン港からニューヨークに向けて出航した。しかし、船は4月14日深夜に氷山に衝突し、その際の損傷が原因で翌15日未明に沈没した。犠牲になったのは乗員・乗客あわせて1500人以上。史上最大の海難事故とも呼ばれる出来事だ。

この史実を基に、船に乗り合わせた人々のドラマを描いた作品が超大作『タイタニック』だ。『ターミネーター』シリーズなどで知られる人気監督ジェームズ・キャメロンは、1985年に海洋地質学者ロバート・バラードが率いるウッズホール海洋研究所が海底に沈んだタイタニック号の調査をしたのをきっかけにこの出来事に興味を抱いた。

やがて彼はウッズホール海洋研究所を訪れるようになり、この出来事を最新の探査技術で得た情報と、観客の心をつかむドラマを交えて映画化することを思いつく。製作が始まったのは、彼がタイタニックに興味を抱いてから10年後の1995年だった。

キャメロン監督は本作を制作するにあたり、映画史に残る壮大なプロジェクトに挑むことになった。彼と仲間たちは、いまも海に眠るタイタニック号を海中に潜って撮影するだけでなく、長年に渡ってリサーチを積み重ねて、タイタニック号とほぼ同サイズのセットをつくってしまう。撮影用に発泡ゴムでつくられた小道具や船内の様子もリサーチを重ねて忠実に再現。実際にタイタニック号のカーペットをつくった工房が本作のために当時の柄を復刻させてカーペットを制作するなど、スタッフのこだわりは細部まで徹底された。

さらにタイタニック号が沈没していくシーンでは、実物大のセットで本当に俳優たちが逃げまどい、甲板を走り、船から水に飛び込む場面が撮影された。本作の撮影監督を務めたラッセル・カーペンターは「視覚効果も加わっているが、9割が実写の映像だ」と語る。本作で描かれる20世紀最大の夢の船、旅の風景、彼らを襲った未曾有の危機は可能な限り“リアル”なものとしてカメラの前で再現されたのだ。

キャメロン監督がここまで時間をかけて調査し、歴史を忠実に再現しようとしたのは、この事故を単なる映画の“題材”にするのではなく、そこにいた人々、事故で命を落とした人々への深い敬意と追悼の想いを表現しようとしたからだ。その想いは映画の公開後も決して失われることはなく、ディズニープラスで配信中のドキュメンタリー『タイタニック号:最後の謎に迫る』では、キャメロン監督の本作に対する考えや、映画公開後に新たにわかった“タイタニックの真実”を垣間見ることができる。

キャスティングものちに“伝説”と呼ばれる理由のひとつだ。当時のハリウッド大作を凌駕する大規模プロジェクトにも関わらず、製作陣は“俳優の知名度”よりも“作品に合うキャスティング”を目指したのだ。結果、当時はまだ『ロミオ+ジュリエット』に出演して注目を集めたばかりの新鋭レオナルド・ディカプリオが主人公ジャック役に選ばれ、ジャックと行動を共にする女性ローズは英国女優ケイト・ウィンスレットがオーディションで選ばれた。

本作がきっかけでふたりはスター俳優の仲間入りを果たし、ウィンスレットは2009年に、ディカプリオは2016年にオスカーを受賞するなど現在は両名とも名優として知られているが、本作の公開時、ふたりは才能と魅力あふれる“これから”の俳優だった。彼らは本作の共演がきっかけで友情を築き、のちに再共演を果たすが、誰もが知る名優ふたりのキャリアは『タイタニック』で大きく花開いたといっていい。

すべてにおいて“本物”にこだわり、細部まで妥協を許さない本作の撮影は過酷を極め、撮影日程は予定から大幅に超過。最終的な製作費は当時の映画界で最高の2億ドルに到達した。連日、マスコミは本作についての噂を書きたて、評論家たちはまだ映画が完成していない段階から“失敗作”の烙印を押した。しかし、キャメロン監督とスタッフ、キャストは諦めなかった。限界を突破し続けるキャメロンの執念が結実した映画『タイタニック』はついに完成し、1997年12月に全世界で公開になった。

その結果は、驚くべきものだった。映画『タイタニック』は公開時から多くの観客を集め、公開初週から動員ランキングで首位を獲得。批評家たちからも絶賛が集まり、アメリカだけでなく全世界で大成功をおさめた。日本でも同じ年の夏に公開された『もののけ姫』の記録を抜いて当時の日本歴代興行収入記録を更新。世界各地で『タイタニック』が映画の記録を塗り替え、映画の歴史にその名を刻んだ。

さらに第70回アカデミー賞では14部門にノミネートされ、作品賞、監督賞、撮影賞、美術賞、主題歌賞、音楽賞、衣裳デザイン賞、視覚効果賞、音響効果賞、音響賞、編集賞の11部門を受賞。『ベン・ハー』(1959年)と並ぶ単一作品での最多受賞作品となった。

とは言え、本作を最も高く評価し、最も愛したのは批評家でも、映画関係者でもなく、実際に映画館に足を運んだ観客だった。本作を観賞した多く人がそのドラマと壮大なスケールに魅了され、動員は口コミで増え続けていった。その結果、公開時から上映スクリーンが増え、観客も増え、興行収入が公開初週よりも増える状態が続いたのだ。

その後も本作はタイタニック号沈没100周年にあたる2012年に3D版で再上映され、ヒットを記録。本作のビデオテープ、DVD、ブルーレイも驚異的な売り上げを記録し、テレビ放映されるたびに繰り返し本作を観る観客が現れた。そう、『タイタニック』は他の誰でもない世界中の“観客”に愛され、その結果、いまも“伝説”と呼ばれる映画になったのだ。

ちなみに、多くのハリウッド大作は、公開された最初の週末に最大の売り上げを記録し、その後は少しずつ動員を減らしていくが、本作がアメリカで最も観客を集めた日は、公開から約2か月経った翌1998年の2月14日。バレンタインの日に『タイタニック』は最も観客から支持と愛を集めたのだ。

そして、2023年のバレンタイン。映画館の大スクリーンに再び『タイタニック』が帰ってくる!

いまも色あせない永遠の愛のドラマ

1996年。トレジャーハンターのブロックと仲間たちは、海底深くに沈んだ豪華客船タイタニック号の探査を進めていた。彼らの目当ては船と共に沈んだとされる不世出のダイヤモンド“碧洋のハート”。しかし、彼らがタイタニック船内から引き揚げた金庫に入っていたのは宝石ではなく、“碧洋のハート”と思われるダイヤを身につけた女性を描いた絵画だった。

この模様がテレビで報じられると、ある女性が名乗りをあげる。現在、100歳を超えた彼女こそ、この絵のモデルになった女性ローズだった。タイタニック号が海底で眠る海域に浮かぶブロックたちの探査船に招かれたローズは、あの日を思い出し、静かに語り始める。

1912年の4月。まだ10代だったローズは母と婚約者と共にタイタニック号に乗り込んだ。上流階級の令嬢だったローズは誰もがうらやむ豪勢な暮らしをしていたが、実際は生家は破産寸前。婚約は母が相手の財産目当てで決めたもので、ローズに自由はなかった。

同じ頃、画家を目指して放浪生活をしている貧しい青年ジャックが港近くでポーカーの大勝負に出ていた。勝負に勝ったジャックと友人は相手からタイタニック号の乗船チケットを手に入れ、船に乗り込む。彼にとって出航は“人生を変える旅”の始まりだ。

一等客室に乗った令嬢のローズと、三等船室に乗り込んだ貧しいジャック。ふたりはある事件を機に偶然に出会い、またたく間に惹かれあう。ふたりはお互いの境遇や身分を超えて語り合い、想いを打ち明け、やがて結ばれる。

海上に浮かぶ豪華客船で出会った最高の相手。人生を大きく変える出来事。ふたりの人生は進路を大きく変えようとしていた。しかし、タイタニック号の進路には巨大な氷山が待ち構えていた。

本作は史実を基にしており、多く観客がタイタニック号の行く末を知っている。そのため、本作では映画の冒頭で1912年に英国を出航したタイタニック号が氷山と衝突した結果、どのような過程を経て海底に沈んだのか? つまりタイタニック号の“沈没の一部始終”がアニメーションで説明される。本作の結末は誰もが知っている。しかし、キャメロン監督はこう語る。

「重要なのは、船が沈むかどうかではなく、沈没する船の乗客にどこまで共感できるかだ」

そう。映画『タイタニック』の主役は沈んだ船ではなく、そこに乗り合わせた人々だ。

画家を目指す貧しい青年ジャック、家のために意に沿わない婚約を受け入れている令嬢ローズとその母、ローズの婚約者、船でジャックを助ける心優しい婦人モリー、豪華客船の危機に立ち向かう船員たち、どんな状況になっても演奏することをやめなかった音楽家たち……本作では登場するキャラクターが丁寧に描かれ、彼らは“船の沈没”という最大の危機に直面し、それぞれの信念や想いが浮かび上がってくる。

極限状態に立たされることで初めて明らかになる登場人物たちの“真の姿”が本作をよりドラマティックなものにしていると言っていいだろう。さらに彼らは刻一刻と状況が変化し、四方を海に囲まれた“逃げ場のない”空間で必死に動き、走り、迫りくる水と戦う。本作で描かれるアクションは、相手を倒すためでも、単なる生存のためでもない“登場人物の想い”が表現されたものだ。結末を知っていても、本作は何度観ても緊迫感があり、そこで描かれる展開は手に汗握るものだ。

そして、本作では世界中の観客を魅了したロマンスが物語の中心に据えられている。

ジャックとローズはタイタニック号で偶然に出会い、境遇や身分の違いを乗り越えて、心を通わせ、恋に落ちる。

魅力を秘めながら自由のない人生に絶望しているローズの前に現れたジャックは、単に話や気が合う相手ではなく、失われていた“自由”と“未来”を感じさせる相手だ。ふたりは惹かれあうだけでなく、沈みゆくタイタニック号で、全身全霊をかけて相手のために疾走し、その想いを勇気と行動で示していく。

そして、ふたりの結末がどのように終わろうとも、そこで芽生えた感情や時間が“永遠”であることが本作では描かれる。本作で描かれる愛のドラマは永遠に色あせることはなく、その想いに共感すればするほど、その悲劇的なクライマックスが胸を打つのだ。

2023年だからわかる『タイタニック』の魅力

今回、映画館で上映される『タイタニック:ジェームズ・キャメロン25周年3Dリマスター』は、その名の通り、キャメロン監督が自ら手がけた最新の3Dリマスター版で上映される。初公開から25年が経ち、映画館の設備も進化したが、今回は現在の映画館のスペックを最大限にいかした最新バージョンでの上映になる。

一方で2023年バージョンにはシーンの追加や変更はない。『タイタニック』は25年前にすでに“完成形”として存在しているからだ。むしろ、本作を改めてスクリーンで観ると“あの時にしか描けなかった”と思われる描写の数々に驚かされるはずだ。

現在、多くのハリウッド超大作がデジタル技術を駆使したVFXを導入しているが、本作が制作された1990年代の後半は、CG技術は映画界に導入されていたものの、まだ全面的にデジタル技術を活用できる状況ではなかった。(その結果、キャメロン監督は『タイタニック』と同時期に構想したプロジェクト『アバター』をその段階で制作することをやめ、12年後に完成させた)

そのため、本作では全編に渡って、ほぼすべての場面で生身の俳優が演技し、実物と同じサイズのセットが建てられ、場面によっては本物と見間違うほど精巧につくられた模型が使われた。カメラの前の“実際に”俳優や豪華客船や模型が存在することで得られた質感、存在感を、大スクリーンで観ることでより深く感じられるはずだ。

また、公開から25年を経たことで、観客によっては、映画は変わっていないのに登場人物の見え方に何らかの変化があるかもしれない。

これまで本作を説明する際、多くの人が「ジャックとローズが出会い、恋に落ち、タイタニック号の沈没を前にジャックが命がけでローズを守る話」だと言ってきた。実際、この説明にはウソはなく、批評家の中には、ローズとジャックの関係は、キャメロン監督の出世作『ターミネーター』のサラ・コナーと彼女を守る戦士カイル・リースの関係に似ていると分析する人もいた。

しかし、2023年に改めて本作を観ると、ローズは決してジャックに“守られる”女性ではないことがわかるだろう。彼女はジャックとの出会いをきっかけに永遠に失われたと思っていた“自由”を求めて変化するが、彼女はいつも自分の意志で行動し、迷い、危機的な状況の中でも自分で判断して、自分の進むべき道を探していく女性として描かれている。

そして、ジャックはそんなローズをひとりの人間として尊重し、愛しているがゆえに命にかえても守ろうとするが、「俺が守ってやる」とは決して言わない。それどころか、ジャックはローズに「生きることを決して諦めるな」と告げる。ローズの人生はローズが戦い、守り抜くものだからだ。お互いを尊重し、危険が迫れば全身全霊をかけて相手を守るが、ふたりは一方が相手を“守ってやる”関係ではないのだ。

社会が変化し、映画で描かれる女性像が少しずつ変化し、改善されつつある今こそ『タイタニック』のローズとジャックのドラマは、新たな視点をもった観客と出会うことになるだろう。

一方で本作には、どんなに時代が変わっても決して変わることのない“普遍的な魅力”がある。

大きなスクリーンに映し出される巨大な豪華客船と、そこにいる人々の生き生きとした姿、細部までこだわり抜かれた舞台装置と衣裳、そして、結末を知っていても何度も観たくなる物語……

時代が変わり、映画館の設備や環境が変わり、映画の作り方や流行が変化しても決して変わらない“映画ならではの魅力”が本作にはある。

2023年、改めて大きなスクリーンでじっくりと『タイタニック』に向き合ってみてはどうだろうか? 上映時間が少し長い作品ではあるが、途中で一時停止したり、邪魔が入ったりしない映画館で集中して本作を楽しめる機会は極めて貴重で、特に本作のラストシーンは冒頭から映画全編を通して観たからこそ胸に迫るものがある。

ちなみに本作のラストについて製作を務めたジョン・ランドーは「多くの人が亡くなる悲劇の理想的なエンディングは? 本作が成功した理由のひとつは、このエンディングにある。美しく、感動的なラストシーンになった」と振り返る。

公開から25年。今もなお世界中の観客の心をとらえて離さない伝説の映画の美しく感動的な結末を、映画館のスクリーンで味わってほしい。

『タイタニック:ジェームズ・キャメロン25周年3Dリマスター』
2月10日(金)より2週間限定 劇場公開 ※一部劇場を除く
公式サイト
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