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若き劇作家3名の戯曲が英ロイヤルコート劇場にて上演 公演後のコメントも到着

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左から)小高知子、松村翔子、千葉沙織 Photo by Theodorah Ndlovu

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1月26日(木) から28日(土) にかけて、イギリスのロイヤルコート劇場にて「New Plays: Japan(新作:日本)」が上演された。

本公演は、日本演劇界の3人の若き才能が生み出した驚きが詰まった新作戯曲を英訳し、リーディング形式でお届けするプログラムで、ロイヤルコート劇場が新国立劇場とタッグを組み日本で初めて実施された「劇作家ワークショップ」の中で生まれた3作品が上演された。

上演されたのは、小高知子作『真夜中とよぶにはまだはやい』(英題:Not Yet Midnight)、千葉沙織作『その先、鬼五郎渓谷につき、』(英題:Onigorou Valley)、松村翔子作『28時01分』(英題:28 hours 01 minute)の3作品。併せて、公演を終え帰国した3名の劇作家より、コメントが届いた。

<コメント>
■小高知子『真夜中とよぶにはまだはやい』
狭く苦しいわたしから、硬く小さな机から、深くやさしいひとたちのもとへ、あかるくのびやかな場所へ。目のさめるような日々でした。
どうにも意固地なわたしを、やさしく大きく揺さぶってくださった両劇場の方々、翻訳家、演出家、俳優のみなさん、お客様、すべてのひとへこころから感謝を。
本当に、ありがとうございました。
とても緻密な製作でした。劇世界にとことん向き合いました。演出家からの質問、俳優が役をからだに染み込ませていく過程を間近で見ることで、戯曲のどこに関節をこしらえ、どこに筋肉をつけておけばいいのかということを学びました。
みなさま。必ずまた劇場で会いましょう。お気に入りの服で参ります、ていねいに耕した言葉たちをたずさえて。

■千葉沙織『その先、鬼五郎渓谷につき、』
今もなお、朽ちてゆく故郷の家と避難先とを行き来する人がいる。故郷への帰還を夢見ながら、その生涯を終えた人を知っている。日本特有の民話をベースに震災・原発事故後の福島が、自分の作品が、どんな風に届くのか楽しみでもあり、正直怖くもありました。けれど、演劇は国境を軽やかに飛び越えてしまうのだということを目の当たりにしました。ロイヤルコート劇場は、演劇を最初に生みだす「劇作家」の為の劇場。まず一番驚いたのは劇場スタッフ内における女性の多さ。そして演出家と俳優、劇場と観客、その“空間”を共有する人たちの関係性が本当にフラットで、オープンマインドで、何より正直で、なんて心地よい空間なのかと思いました。その憧れを、日本で少しでも還元することが演劇への恩返しかなと思います。

■松村翔子『28時01分』
三作品とも大好評のなか無事に幕を閉じることができました。それぞれの脚本には、日本独自の文化や会話の繊細なニュアンスが含まれていましたが、ロンドンの観客の方々は非常に興味深く見てくださり、物語の細かいところまでしっかり伝わっていたように思います。3日間という短いリハーサルの中で、翻訳家・演出家・俳優全員と台本への理解を深めイメージを擦り合わせていく作業はとても大変でしたが貴重な体験となりました。今まで日本で活動してきて、自分で書いた台本について細かく疑問を投げられたり指摘されたりする経験はあまりありませんでした。今回、言語・文化の異なる人たちと接することで、改めて自分がどういう意図を持って一つ一つの言葉を書いたのかを考え直す良い機会となりました。

<上演作品>
『真夜中とよぶにはまだはやい』(Not Yet Midnight)

作:小高知子
翻訳:鈴木小百合

とある夜の停電が街中に一時停止の瞬間を生み出す。3人の会社員は悪事のさなか。公園のカップルは謎解きを始める。そして店員は最後の客を追い出すことに失敗する。

『その先、鬼五郎渓谷につき、』(Onigorou Valley)

作:千葉沙織
翻訳:ヒングリー・スーザン・もも子

福島県のある山を訪れた2人の除染作業員は、人智を超えた存在が治める世界に足を踏み入れる。原発事故から七年後の、山深い鬼五郎渓谷で起きた怪奇譚。

『28時01分』(28 hours 01 minute)

作:松村翔子
翻訳:鈴木小百合

アオジのお腹には初めての赤ん坊がいる。夜中に目覚めるアオジ。隣人のウソが蜜柑を携えて訪ねてくる。やがて、アオジの持つ「母親になること」に対する考えを試し、形作る不可思議な出来事の連鎖が始まっていく。

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