『中学聖日記』有村架純が見せた名演技 岸谷五朗が岡田健史の父親として伝えたこととは
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『中学聖日記』(TBS系)第9話では、父・康介(岸谷五朗)を探して1人フェリーに乗り込んだ晶(岡田健史)とその後を追った聖(有村架純)は、期せずして一緒に山江島という離島に到着。そしてついに康介と出会う。
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大らかで気さくな康介に迎えられて、離島の非日常を楽しむ2人。教師、生徒である2人の関係や過去など知る人もいない山江島はある種の理想郷で、時折タメ口が交じる2人の会話は外から見ればカップルそのものだ。周りを気にせず、2人乗りで自転車を漕ぎ、聖が晶の腰に手を回すこと、お菓子や日用品を商店街で買うこと、綺麗な海を並んで眺めること……。普通のカップルならば当たり前のことだが、2人の痛切な過去を知る視聴者は、その何気ないやりとりの数々に目を細めずにはいられない。今までの『中学聖日記』において、最も幸福な時間がそこでは描かれている。
静かな孤島で、2人は3年前の自分たちがどんな気持ちだったのか、何が起こっていたのかを改めて想い出話のように話す。混乱しっぱなしだった2人だったが、初めてあの時の気持ちを丁寧に思い返すことができたのだ。
しかし、幸福な逃避行は長くは続かない。元婚約者・川合勝太郎(町田啓太)からの電話で晶の母・愛子(夏川結衣)が晶を探していることを知り、2人が一緒にいることを察した川合からも「下手すれば犯罪だぞ!」と叱責され、現実世界に引き戻された聖は晶の元を離れ一人で泊まれる場所を探すことに。その姿はさながらシンデレラだ。帰りのフェリーも欠航の知らせを受けて、一人で泊まれるというバンガローハウスに向かう聖だったが、大雨で足を滑らせケガを負い、動けなくなってしまう。
一方、聖がいなくなってしまい、母・愛子への不満を漏らす晶。母・愛子に当たり散らして家を逃げたという康介は晶に、「本当に先生が好きなら、愛子さんに分かってもらえるよう努力しろ。俺みたいに逃げるな。本当に先生が好きなら立派な男になれ」と語る。ずっと探し求めていた父である康介の話は、頑なだった晶の心を開いたと言える。
そんな中、バンガローハウスに聖が来ないという知らせが入り、雨の中聖を探しに飛び出す晶。聖を見つけた晶は「心配させんなよ」と語気を強め、聖は「ごめんなさい」と小さな声で謝る。その2人のやり取りはもう、教師と生徒ではなく、男女のそれだ。
2人はバンガローハウスで雨宿りをすることに。どれだけ離れようと思っていても、2人はまた出会ってしまう。「もし黒岩くんと会っていなかったら今でも先生を続けられた。だから、逃げるように離れて……でも、もう分からない。苦しい」「どうしたら忘れられるの? 黒岩くんが好き」と泣きながら告白する有村架純の演技は素晴らしかった。雨の音だけが聞こえる演出も見事だ。2分間という短い間に、『中学聖日記』が描く、恋に落ちてしまうことの苦しさと愛しさが詰まっていたと言える。そして今まで離れようとしてきた2人はキスを交わす。
終盤では、愛子が聖の母親を訪ねる場面も映し出されていたが、次回予告では聖が愛子に「教師としてではなく、黒岩くんが好きです」と語るシーンも。愛を自覚して離島から戻った2人を、何が待ち受けているのだろうか。
(文=島田怜於)