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『FNS歌謡祭』に声優の宮野真守、上坂すみれが初出演 アーティストとしての魅力を解説

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リアルサウンド

 『2018 FNS歌謡祭』(フジテレビ系) 第1夜に、宮野真守と上坂すみれが初出演する。

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 宮野は同番組初登場で水樹奈々とともに、9月にリリースされた『WONDER QUEST EP』収録の「結界」(水樹奈々 feat.宮野真守)を歌唱。これまでも二人のコラボ歌唱はTV番組やライブイベントでは実現していたが、地上波生放送でアニメ界最強男女ペアともいうべき二人の豪華なコラボレーションを見られるとあって、すでにSNSなどで熱いコメントが投稿されている。

 上坂は地上波音楽番組初出演。今年1月に話題を呼んだTVアニメのOP曲「POP TEAM EPIC」を歌唱する。EDMサウンドをフィーチャーしたバッキバキのエレクトロニックダンスチューンと、独自の世界観を持つパフォーマンスに期待が上がる。

 ここ5、6年でアニメ、声優界隈が一般層に一気に浸透したこともあり、アニソンがキー局の歌番組で取り上げられることは珍しくなくなったが、キャラクターとしてではなく、アーティストとして声優が年末の大舞台に出演するというのは、水野奈々以外ではあまり記憶がない。実際、この2人に関してはその歌唱力、パフォーマンス、演出力を含めて、アーティストとしての力量が非常に高いと言える。俳優としても歌手としても才能があることが何の不思議もないように、声優でも歌手として秀でた才能を持った人物がようやく評価されてきたかと思うと、これまでの不遇な状況が開けてきたのだなと嬉しくもなる。

■オールSSクラスのスーパーアーティスト・宮野真守

 宮野真守の凄さは、全方位に向けたパフォーマンスの高さである。高音・低音の歌い分けや、繊細な感情までも歌いこなす表現力。アニメのアフレコだけでなく、舞台劇、ミュージカルまでこなす実力に裏付けされた確固たる歌唱と多彩な表現が、圧倒的な説得力を伴ってオーディエンスに迫る。そこに加えて群を抜いたダンスのキレだ。HIPHOP、JAZZ、コンテンポラリーまで幅広く抑え、磨き抜かれた踊りは180cm以上の高身長も相まって、最高級のスター性を発揮する。それほどまでにカッコよすぎるにも関わらず、「雅マモル」という80年代アイドル的なキャラクターでお茶目な面を見せることも忘れない。声優アーティストに明るくない方でも、今年8月にNHKで放送された『おげんさんといっしょ』に彼が登場し、お茶の間を騒然とさせたことは記憶に新しいはずだ。画面に出ている間はキャラを崩さないどころか、溌剌とした笑顔で決めポーズも維持し続ける彼のプロ魂に、「かわいすぎる」と悶えた視聴者も多いのではないかと思う。様々なステータスを五角形の表で表現するとなら、オールSSクラスのスーパーアーティストと言っても過言ではないのが、宮野真守という存在なのだ。

■世界改変力を備えた絶対的なヒロイン・上坂すみれ

 上坂すみれは、一言では語りきれないほど複雑な模様を見せるアーティストである。一面を理解できたかと思った瞬間、また違う面が見え、また違う面へ変化すると言ったイメージだ。捉えどころがないと言うよりも、多様な女性と表現する方が正確かもしれない。ロシアを愛しすぎて、上智大学外国語学部ロシア語学科を卒業したと言うだけでなく、昭和歌謡、戦車、ロリータ、メタルなどのサブカルチャーに耽溺してきたために培われた独自の感性とキャラクターが多くのファンを魅了。今尚も「同志」は拡大し続ける。何よりもその魅力が爆発するのがライブである。上記に挙げた要素全てが混然一体となった世界が「上坂すみれ」というアーティスト一人によって成立するという奇跡に関しては、どう説明していいのか、この原稿を書いている今も頭をかかえている。あくまで仮説でしかないが、普通なら一緒にし難い要素を、彼女は全て一度内面に取り込んで再構築し、外界へと具現化できる能力を有しているのかもしれない。世界改変力を備えた絶対的なヒロインのステージにいつもいつも魅了され、それを表現しようにも筆舌に難く、頭を抱えるということを繰り返している。

 本稿で挙げた以外でも、確かな実力を持った声優アーティストは年々増加の一途をたどっている。声優という職業が過去に比べて人気になり、パイが増えた分才能が集まったからという考えもできるかもしれないが、パイが増えた分競争率も高くなるため、実力が伴っていることは必須だ。ましてや地上波音楽番組の壁は今尚も高いだろう。今回の出演以降、より多くの声優アーティストに注目と好機が集まることを願ってやまない。(石川雅文)