高良健吾、玉木宏、土屋太鳳、中川大志、野村萬斎が集結!ASF3完成報告で自作を語る
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「アクターズ・ショート・フィルム3」完成報告会の様子。左から高良健吾、玉木宏、土屋太鳳、中川大志、野村萬斎。
「アクターズ・ショート・フィルム3」の完成報告会が本日2月7日に東京・東京国際フォーラムで行われ、監督として参加した高良健吾、玉木宏、土屋太鳳、中川大志、野村萬斎が登壇した。
「アクターズ・ショート・フィルム」は予算や撮影日数など同じ条件のもとで、5人の俳優が25分以内の短編映画を制作するWOWOWのプロジェクト。高良が中島歩と染谷将太をキャストに迎えた「CRANK-クランク-」は、自分の未来に不安を抱えながら、東京を忙しく走り回るメッセンジャーの物語だ。普通は省かれてしまうような“移動”の描写が重要な作品となっており、高良は「人が走ってる。男が自転車を漕いでる。道路や天気の状況、ただ走ってるだけなんだけど、その人の気持ちが見えたらいいなと思って撮っていました」と振り返る。タイトルは自転車の部品に由来。高良は「クランクがないとペダルは焦げない。回り続ける、回し続けるような。つまずこうが、失敗しようが、もう1回やれる。『自分で自分に対してOKを出せばいいじゃん』と、そういう思いをすごくゆったりとした映画に込めました」と作品の根底にある思いを話した。
玉木が監督を務めた「COUNT 100」は全盛期を過ぎたプロボクサーの怠惰な生活が、ふとしたきっかけで動き出す異色のSF。主演にはボクシング経験のある林遣都を迎えており、「特殊な話。彼の顔が端正なので、ロボットっぽく見せたいという狙いもありました」と明かす。「ちょっと怖い話になってます。自分の存在価値について、僕自身、考えることがある。でも与えられた場所で自分自身で向き合うしかない」と主題に言及しながら、主人公について「自分と向き合うことを怠ってしまった人」と紹介した。撮影には「百円の恋」「アンダードッグ」などのボクシング映画を撮ってきた西村博光が参加。「できれば西村さんにお願いしたいと思い、オファーしたところ、結果叶った。本当にスタッフの皆さんには感謝しかない。いいチームで一丸となって作ることができた」と続けた。
土屋はバレエの道をあきらめた歩架と、つらい過去を抱えた家族を軸に、大切な記憶と今を生きる姿を紡ぐ「Prelude~プレリュード~」を監督。念願だったという有村架純との初共演を果たしており「やっと夢が叶った。いつか一緒にやりたいねと言ってたんですが、たぶん一生(オファーは)来ないと思ったので、今がチャンスだと思ってご一緒させていただきました」と吐露する。物語の根底には、土屋が小学生の頃に1年間にわたって沖縄戦に動員された「ひめゆり学徒隊」について調べ、実際に沖縄でも語り部の人に話を聞いた体験があるそうで「いつか表現したいと願ったことを、すべて込めました。同じ太陽の下で過去が今につながり、今が未来につながる。どんな記憶も、これから始まる未来への栄養になってほしい。どうか、その願いのバトンを受け取ってください」と話した。
中川が監督した「いつまで」は、友人の結婚式の帰り、終電を逃して田舎の小さな終着駅に取り残された3人の男子を描いた物語。井之脇海、板垣瑞生、林裕太が教師、サラリーマン、画家の卵に扮しており、中川は「しゃべってない時間や目に見えない空気感を切り取らないと成功しない作品。自分が俳優だからこそ、どう彼らに言葉をかけようか、距離感も含めてディレクションは繊細にやりました」と回想する。また出演者を考えるキャスティング会議の内幕を「同世代の俳優をキャスティングしなければいけないので、自分にもぐさぐさ刺さる、生々しい話がいっぱいあった。『僕は彼がいいんですけど』とか『あそことあそこの組み合わせはどうでしょう』みたいな。自分もこういう感じでキャスティング会議で名前が上がって……そして消えていってるのかと(笑)。聞いちゃいけない話を聞いてるようでざわざわしました」と打ち明け、笑いを誘った。
萬斎が窪田正孝を主演に迎えた「虎の洞窟」は「ハムレット」「山月記」をモチーフに、不思議な声に誘われる孤独な青年の心象風景をえぐる1編。萬斎は窪田の起用理由を「虎になってしまう人の話。身体的に虎になれる、体が利く役者さん。そこから窪田さんの名前を嗅ぎ分けて。見るからにものすごく強そうな人なわけではないのが、よかったなと思っております。あとは観てのお楽しみに」と触れる。萬斎は舞台演出の経験はあるものの、ほかの4人と同じく映画監督は初挑戦。楽しかった工程には「編集」を挙げ「舞台はその場の時間とすべてが一緒になるわけですけど、撮っちゃったものをどうつなぎ合わせるのか? 違うところから素材を持ってきてごまかしたり、CGを入れようかと考えたり。ああ、なんとマジカルなことなんだ。そういう意味では嘘だらけですね。本当に映像は嘘がつける。でも予算がないので、“CG権(CGを使える権利)”は2枚しかない。入れ始めるときりがないので、ここで使うべきか、ここで使わぬべきか、と悩みながら編集をしていました」と振り返った。
「アクターズ・ショート・フィルム3」は2月11日にWOWOWプライム、WOWOWオンデマンドで放送・配信。また2月18日、19日、23日には特別上映イベントが東京のユナイテッド・シネマ豊洲、神奈川のシネマ・ジャック&ベティ、愛知・センチュリーシネマ、京都・出町座、大阪・第七藝術劇場にて行われる。
「アクターズ・ショート・フィルム3」特別上映&監督登壇イベント
2023年2月18日(土)
登壇者:高良健吾、玉木宏
※高良健吾、玉木宏はユナイテッド・シネマ豊洲のみリアル登壇
2023年2月19日(日)
登壇者:土屋太鳳、野村萬斎
※土屋太鳳、野村萬斎はユナイテッド・シネマ豊洲のみリアル登壇
2023年2月23日(木・祝)
登壇者:中川大志
※中川大志は出町座のみリアル登壇
<上映劇場>
東京都 ユナイテッド・シネマ豊洲
神奈川県 シネマ・ジャック&ベティ
愛知県 センチュリーシネマ
京都府 出町座
大阪府 第七藝術劇場