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尾上菊五郎、孫・初代尾上眞秀の初舞台演目に熱意「立役と女方、両方やってもらう」

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寺嶋眞秀

初代尾上眞秀初舞台記者発表が、昨日2月7日に東京・フランス大使公邸で行われた。

寺嶋眞秀は、5月に東京・歌舞伎座で行われる「團菊祭五月大歌舞伎」で初代尾上眞秀を名乗り、初舞台を勤める。記者発表にはフィリップ・セトン駐日フランス大使、松竹の迫本淳一代表取締役社長、そして眞秀が登壇し、セトン駐日フランス大使と迫本社長はそれぞれ眞秀に向け祝いの言葉を贈った。記者発表での眞秀によるあいさつは既報の通り。

記者発表のあとに行われた取材会には、眞秀のほか、祖父の尾上菊五郎、おじの尾上菊之助、母の寺島しのぶ、父のローラン・グナシアが出席。眞秀の初舞台に「誠にうれしいことでございます」と笑みをこぼす菊五郎は、“尾上眞秀”という名前について「私も名前を考えたんですよ、菊なんとかとか……(笑)」と話し、会場を笑いで包む。「ただ当人が眞秀の名前で売れているんでね。初代尾上眞秀として出発することになりました」と続けた。

また初舞台の演目については「岩見重太郎の狒々退治にまつわる話をモデルにした出し物を考えています。最初はにぎやかな場面、そのあと激しい立廻りの場面が続く内容にできれば。この演目で眞秀には、立役と女方、両方やってもらおうと思っています。それは私も通ってきた道でございますが、(立役と女方の)どっちが良いかはやってみないとわからない。どういう出来になるか、私自身も楽しみにしております」と構想を明かす。さらに「皆様ご存知の通り、私は今腰を痛めておりますが、3・4月はリハビリに励み、『團菊祭』ではぜひとも元気な姿をお見せしたい」と意気込みを語った。

菊之助は「おじの1人として、彼を支え、修行の手助けができれば」と言葉に力を込めつつ、「今年の1月公演(東京・国立劇場 大劇場での「遠山桜天保日記」)も一緒でしたが、眞秀は演じているとき、舞台を楽しんでいる感じが身体からにじみ出ている。修行には厳しいこともたくさんありますが、舞台を楽しむという心を忘れずに進んでいってほしい」と話した。

記者から初舞台に向け、親としての気持ちを問われると、グナシアは「眞秀は3歳から歌舞伎に出たかったから、4歳から今まで練習して勉強して……一番楽しそうで、いつもスマイルでした。私は息子をスマイルにしたいので、すごくうれしい!」と思いを述べる。グナシアの回答に寺島は「大丈夫でしょうか?(笑) 気持ちは通じていると思うのですが……」とコメントしたあと「(初舞台は)父が与えてくれた眞秀への1つの道筋だと思って、とても感謝しております。ご覧の通り、私たちは歌舞伎俳優ではないので、父と弟にサポートしてもらいつつも、彼が1人でがんばらなければいけないこともあるかと思います。たくさんいらっしゃる歌舞伎俳優の先輩方に思い切り叱っていただき、教えていただくことで、彼自身も1つひとつステップアップしていけるのではないかと考えています。いろいろな経験をして、自分で選択して、前に進んでいってもらいたい」と母としての思いを言葉ににじませた。

眞秀は、記者から「立役と女方、どちらが好きか」と問われると「立役の方がやった回数が多いので、女方をもうちょっとやってみたい」と返し、やってみたい役について「弁天小僧。鬼が出てくる演目も楽しくて好きです。あと立廻りが、僕にとって一番面白い!」と生き生きと話す。「どんな歌舞伎俳優になりたいですか?」との質問には「“ひーま”みたいな面白い役者になりたいです」と答え、隣の菊五郎は「“ひーま”っていうのは、私のことです(笑)」とうれしそうに微笑んだ。「團菊祭五月大歌舞伎」は、5月2日から27日まで東京・歌舞伎座にて。

歌舞伎座新開場十周年記念「團菊祭五月大歌舞伎」

2023年5月2日(火)~27日(土)
東京都 歌舞伎座

※初出時より、本文の表現を変更しました。

※初出時、人名に誤りがありました。訂正してお詫びいたします。