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斎藤工「零落」に「心当たりしかなかった」、竹中直人は浅野いにおへ大量のLINE

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「零落」完成披露プレミア上映会舞台挨拶の様子。左から竹中直人、玉城ティナ、斎藤工、趣里、浅野いにお。

「零落」の完成披露プレミア上映会舞台挨拶が本日2月8日に東京・テアトル新宿で行われ、キャストの斎藤工、趣里、玉城ティナ、監督の竹中直人、原作者の浅野いにおが登壇した。

本作では、落ちこぼれマンガ家の深澤薫が人生の岐路に立つさまが描かれる。斎藤が深澤を演じ、深澤と出会う風俗嬢・ちふゆに趣里、猫顔の少女に玉城が扮した。

斎藤は原作との出会いを振り返り「心当たりしかなかった。内臓を描いてくれて、その内臓が自分のものなんじゃないかと思うような。その感覚は竹中さんにもお伝えしました」と言い、「その心当たりを頼りに現場にいました。つらいような楽しいようなつらい感じ。それが間違っていなかったと、できあがった作品を観て思いました」と語った。

竹中は「『ゾッキ』という映画をやったときに、工と山田孝之と3人で宣伝していたんですが、孝之がいない日があって。工と2人でごはんを食べに行ったんです。『次はいにおさんの「零落」をやりたいと思っている』と伝えたら、工から『大好きです!』と返ってきて。そのときの顔を見て、工しか深澤は考えられないと思いました」と興奮気味に伝える。これを横で聞いていた斎藤は「山田孝之さんが『大好きです!』って言っていたら、ここには山田さんが立っていたかも」と口にし、会場に笑いを起こした。

趣里は「いにお先生の描いた女の子を演じるというのは、それはそれはプレッシャーでした」と明かし、「監督が明確にイメージを伝えてくれたので内側からちふゆというキャラクターができていきました」と回想。玉城は深澤の魅力を問われ、「身勝手を自分で許しちゃっているところがかわいらしいと思います」「(深澤は)才能があるからこその残酷さみたいなものを感じ取っている」と言及した。

本作が監督作10本目となる竹中は「本屋さんで原作に出会ったんですが、『零落』というタイトルが書いてあって、帯にはちふゆの顔があって。それを見た瞬間に心に入り込んできたんです。とにかく純文学を読んでいるような感覚でしびれまくって。いにおさんという1人の観客に向かって映画を作りました」と思い入れたっぷりにコメントする。これを受けた浅野は「竹中さんのラジオに呼んでもらって、お酒を飲んだりしたんですが、そのときの竹中さんの詰めっぷりがすごくて。とんでもない量のLINEがくるんです。竹中さんが先走りすぎているので、原作があるものを映画化するときは出版社が間に入るんですって教えたぐらいで(笑)。竹中さんがいなければこの映画はなかったと思います。できあがりには満足しています」と口にした。

イベント中盤には本作の物語にちなんで「もうやってらんねーよ」と思うときを、斎藤と趣里が発表する場面も。斎藤は「タクシーが空車だと思ったら迎車だったとき。なんで文字が同系色なんだろうと。色味を変えてもらいたいなと(笑)」と述べる。趣里は「掃除をしてもしても、髪の毛が落ちているとき。(答えを)絞り出しました」と照れくさそうにほほえんだ。

また「犬派か猫派か? 最近癒やされるものは?」という質問に、玉城は「犬派です。この質問なんなんですか(笑)。喜んでくれる人がいればいいです」とはにかみ、「暖かいグッズに撮影中は癒やされています」と回答する。猫派だという浅野が「『零落』でいうとちふゆという存在は癒やし。でもそういうものはずっといてくれない。癒やしは求め続けて、流浪していくもの」と言うと、その答えに竹中は「憧れちゃう!」と感嘆の声を漏らした。

「零落」は3月17日にテアトル新宿ほか全国で公開。

(c)2023 浅野いにお・小学館/「零落」製作委員会