【ルサンチマンインタビュー・前編】バンドの成り立ち、1月にリリースした3rdシングル「忘れそう」について

――ルサンチマンは高校の軽音部で結成されたバンドだとか。当時はどんなバンドをイメージしていたんですか？

北（Vo/Gt）　バンドを組んだのは高校1年のときで、全員15歳だったんですよ。ベースの清水さんは2つ上で、あとから加入してくれたんですけど、結成当初は「こいういうバンドをやりたい」というイメージは全然なかったです。ただ、軽音部に“コピーでライブをやるのは禁止。オリジナル曲限定”というルールがあって。曲を書かざるをえなかったんですよね。

もぎ（Ds）　北は中学の頃からめっちゃギターを弾いてたんですよ。高校に入ったときは「ギターは大丈夫」という感じだったし、すぐ曲を書くようになって。

北　コピーバンドをやってたんですよ。[Alexandros]、クリープハイプ、teto（現the dadadadys）とか。なのでコードのこととかは、ちょっとわかってたんですよね。

――高校時代の北さんの曲、どうでした？

クーラーNAKANO（Gt）　よかったよね？

もぎ　うん、よかった。

クーラーNAKANO　はじめから「かっこいい曲だな」と思ってました。

清水（Ba）　自分が加入する前、「ニヒリズム」という曲をライブで聴いて、「ルサンチマン、やってやろうかな」と思ったんですよ。

北　偉そう(笑)。

清水　ギターリフがかっこよかったし、暗いなかにもキャッチ―なところがあるのがいいなと思って。ほかの高校生バンドはメジャー系のポップな曲が多かったから、まったく違っていたんですよ。ちょっと抽象的な言い方なんですけど、バンドの雰囲気や空気もぜんぜん違ってました。

北　その話、初めて聞いた(笑)。当時と今では演奏技術とかがぜんぜん違うけど、「ニヒリズム」は今もライブでやってるんですよ。そう考えると、最初からそこそこ良い曲が作れていたのかなと。

――オルタナ、マスロック的なアプローチも結成当初からあったんですか？

北　どうだったかな？　アレンジに関しては、4人で意見を出し合いながら作っていて。デモも作るんですけど、スタジオで実際に音を出しながら変化するので、そのなかで多種多様な要素が入ってくるんだと思います。

――では、ニューシングル「忘れそう」について聞かせてください。表題曲「忘れそう」は、過去のつらい思い出からはじまり、「拝啓この世界で 最低な 記憶は 大体忘れそうだが/幸いだ 僕は だってこの先は 想いも 記憶も 全部歌える」というフレーズにたどり着きます。

ルサンチマン「忘れそう」MV

北　自分の哲学、価値観みたいなものが出ていると思います。僕はライブであまりMCをやらないので人間性がわかりづらいと思うんですよ。でも、「忘れそう」を聴いた人からは「どんな人なのかちょっとわかりました」という感想もあって。それはすごくいいなと思うし、歌詞を書く人間として冥利に尽きますね。

――「忘れそう」の歌詞のストーリーは創作ですか？　それとも経験が元になっている？

北　経験ですね。「忘れそうなことを歌に残しておこう」というシンプルな理由で書き始めたので。幼少期からの自分の思想を確かめながら進めた曲だし、自分の大事な20年間を振り返りながら、悪いことも取っておきたいなと。嫌な記憶も大事というか、どこか苦労人でありたいという気持ちもあるんですよね。

――負の記憶を楽曲にして歌うことで、北さん自身も解放される感じもあるんですか？

北　それはすごくあります。良くない記憶をもとにした曲をライブで演奏して、ただただ楽しいものにしていくのはすごく意味があると思って。ふだんはあまり考えないで歌ってるんですけど、「忘れそう」は歌詞の意味を思いながら歌ってますね。

――なるほど。メンバーのみなさんは「忘れそう」にどんな印象を持っていますか？

清水　最初はシングルのB面かなと思ってたんです。でも、スタジオで何度も合わせたり、ライブで演奏することで、どんどん「いい曲だな」と思うようになって。前半がバラード、後半はバンドが入ってテンポが上がるんですけど、メリハリがはっきりしてるんですよね。もちろん歌詞もいいし、ライブのキーポイント、代表曲になると思ってます。

もぎ　僕も“徐々に”でしたね。最初はつかみどころが難しくて、どういうビートにすればいいかわからなくて。演奏を重ねるなかで、そこがバチッと決まってからは大好きな曲になりました。

クーラーNAKANO　ギターのタッピングのフレーズが入ってるんですけど、もともとのデモにあったんですよ。「これをやれと言われてるんだな」と思って、練習しました(笑)。最初はなかなか上手くいかなかったけど、数を重ねるうちに少しずつよくなってきて。

北　NAKANOの手癖とは違うフレーズだからね。最近はミスも減って、極まってきました(笑)。

――シングル2曲目の「滅茶苦茶怒鳴られた」は、“遅刻したNAKANOさんにメンバーのみなさんが電話をかける”という場面からはじまります。

北　あれはもうリアルな音源ですね(笑)。本当にNAKANOが遅刻したときに、電話をかけて。

クーラーNAKANO　顔面蒼白でした……。

清水　(笑)。最初に聴いたときは、普通に「NAKANOのことじゃん！」って思いましたね。

もぎ　うん(笑)。僕は遅刻しないタイプなんですけど、「滅茶苦茶怒られた」はデモの段階から「最高だな」って。

北　僕も遅刻する傾向があって(笑)。NAKANOをモデルにしつつ、自分の経験もミックスしながら書きました。ニヤけながら歌詞を書いていたし、遊び心のある、楽しい曲になりましたね。たぶんリスナーにも共感してもらえるんじゃないかなと。

――そして3曲目の「lares」はインスト曲のなかで〈よう、どうだ生活ってやつは/今日だって特別にしょう〉と語り掛ける楽曲。これまでにもインストナンバーはいくつか作ってますよね。

北　はい。最初は曲と曲のつなぎとして短いインストを作ってたんですけど、楽曲にするのもアリだなと思って。「lares」もそうですね。

清水　サビでハーフ・テンポになるのが気持ちいいんですよ。漠然と「サビをエモーショナルにしたい」と思って、みんなでアレンジして。

北　あそこは気持ちいいよね。テンポが落ちるパートには歌詞が乗ってるので、大合唱できたらいいな、と。ボーカルとしては、（インストは）ちょっと休めるのでうれしいです(笑)。

もぎ　え、そういうこと？(笑)

クーラーNAKANO　「lares」でいちばんフレーズを弾いてるのはこの人（北）なんですけどね。

――「lares」には“家”とか“神々”という意味がありますね。

北　どっちの意味も込めてますね。テーマは“ライブハウス”なんですよ。僕らは演奏するために、お客さんはライブを観るために来てるんですけど、“いるべきところにいる”という感じがあって。ちょっと神秘的な雰囲気もあるんですよね。

Text：森朋之　Photo：Ryohey

＜リリース情報＞
ルサンチマン 3rdシングル「忘れそう」

発売中
価格：1,000円（税込）

【収録内容】
1. lares
2. 滅茶苦茶怒鳴られた
3. 忘れそう

ルサンチマン 1st LIVE DVD『ONE SHOT GAME』

3月17日(金) リリース
価格：2,000円（税込）

【収録内容】
■2022年8月30日 吉祥寺ROCK JOINT GBフロアワンマンライブ映像
1. 荻窪
2. たとえ下手でも
3. アンチドペル
4. sake
5. ぼくのつぶやき
6. 滅茶苦茶怒鳴られた
7. not wrong
8. i remind
9. 忘れそう
10. tsuki ochi
11. 収束する未明
12. ラル
13. nihil
14. ニヒリズム
15. いやいやいやいや
16. 心配事
17. 荻窪

＜ツアー情報＞
ルサンチマン“ONE SHOT” tour

3月17日(金) 愛知・名古屋 CLUB ROCK'N'ROLL
※ワンマン
OPEN19:00 / START19:30

3月23日(木) 宮城・仙台 FLYING SON
Guest：鉄風東京
OPEN19:00 / START19:30

3月27日(月) 大阪・心斎橋 Live House Pangea
Guest：さよならポエジー
OPEN19:00 / START19:30

3月29日(水) 東京・渋谷 WWW X
※フロア・ワンマンライブ
OPEN19:00 / START19:45

【チケット料金】
スタンディング 前売3,000円（愛知、宮城、大阪）、3,500円（東京）
※税込・ドリンク代別途必要

一般発売日：2月18日(土)
受付URL：
https://w.pia.jp/t/rusantiman-oneshot/

関連リンク

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