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「幻滅」監督が19世紀のフランス社会を語る「喜劇を演じる以外に選択肢がない」

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ナタリー

「幻滅」場面写真

「幻滅」の監督グザヴィエ・ジャノリのコメントが到着した。

オノレ・ド・バルザックの「幻滅 ― メディア戦記」を実写化した本作では、詩人としての成功を夢見る青年リュシアンが憧れのパリで暮らすうちに当初の目的を忘れ、欲と虚飾と快楽にまみれていくさまが描かれる。リュシアンを「Summer of 85」のバンジャマン・ヴォワザンが演じ、セシル・ド・フランス、ヴァンサン・ラコスト、グザヴィエ・ドラン、サロメ・ドゥワルス、ジャンヌ・バリバール、ジェラール・ドパルデューらが脇を固めた。

本作の舞台は19世紀のフランス。ジャノリは「アングレーム(フランス中西部の都市)の城壁の下にはフランスの『下層』があり、丘の上には貴族たちの『上層』がありました。リュシアンはこの地方都市の出身です。その地形は社会的格差を表しており、野心的なリュシアンはこの格差を埋めようとするのです」と解説し、「ところがパリでは、どこにいるかではなく、どこの出身であるかが重要視されます。パリの裕福な貴族もまた殻に閉じこもっていて、自分たちの特権に執着しています。その中に自分の居場所を見つけるには、価値観を捨ててでも利益への執着が課す新しい『ルール』を受け入れなくてはなりません。スペクタクルと化した社会では、自分の意思に反するとしても喜劇を演じる以外に選択肢がないのです」と語る。

また、ジャノリは「幻想に胸を膨らませてアングレームからやって来たリュシアンは、ひどいまやかしを覚え、美しい望みを浪費していきます。失われた純真さ、『自分の浪費』、自分の中の美しく貴かったものを『浪費』するというテーマは、特に私の心に響きました」と述懐。「環境によって自分の理想やもっとも美しい『価値観』を否定せざるを得なくなる、そんな時代の陰湿な手口により、アングレームからパリにやって来た理想家肌の若き詩人は、文学作品を著したかったはずが広告ライターに落ちぶれていくのです。バルザックは才能ある若者たちがこうした罠にはまり、自分を見失い、自らを浪費していくのを見ていたのです」と続ける。

ジャノリはソルボンヌ大学で文学を学んでいた20代の頃に「幻滅 ― メディア戦記」と出会った。いつの日か映画化したいという夢を叶えた彼は「バルザックは、この『新しい世界』が息をのむほど魅力的だったことにも目を向けています。残酷さと哀愁、この2つの音を喧騒が渦巻く中に響かせたいと思いました」と振り返っている。

「幻滅」は4月14日に東京・ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国で公開。

※「幻滅」はR15+指定作品

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