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BLUE ENCOUNT、2度目の日本武道館公演で“あなた”と一緒に新たな扉を開く

音楽

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ナタリー

「BLUE ENCOUNT TOUR 2022-2023 ~knockin' on the new door~THE FINAL」の様子。(撮影:ヤマダマサヒロ)

BLUE ENCOUNTが2月11日にキャリア2度目となる東京・日本武道館ワンマンライブ「BLUE ENCOUNT TOUR 2022-2023 ~knockin' on the new door~THE FINAL」を開催した。

春からアメリカに活動拠点を移す辻村勇太(B)にとって、出発前最後の単独公演となったこの日。バンドにとって節目的な意味合いを持つライブではあったが、湿っぽさはなく、終始ブルエンらしい前向きなメッセージを伝える内容となった。

ライブタイトルおよび最新作「Journey through the new door」にもある“door(扉)”と、それを開ける鍵をフィーチャーしたオープニングムービーを経て、スクリーンに映し出されたのはステージに向かうメンバー4人の姿。「全力でいくよ!」。そう叫ぶ田邊駿一(Vo, G)の声に江口雄也(G)、辻村、高村佳秀(Dr)が気合いの入った声で応え、弾むような足取りで観客の前へ。マスク着用のうえでの歌唱および歓声が解禁されたことを受けて、オーディエンスは拳を突き上げ、喜びをにじませた声でメンバーを出迎えた。スポットライトを浴びた田邊が、ギターをストロークし、自分の声を確かめるようにしながら歌い出したのは「アンコール」。自分たちを支えるファンに向かって「これからもあなたと 歌いたい」と伝えるナンバーをまっすぐな声で届ける。続いて辻村の「武道館、楽しむ準備はできてるか?」という言葉からライブの定番曲である「Survivor」「ポラリス」が連投され、場内の空気は熱気を帯びていった。

「あなたと僕たちが生きてきた史上、一番の景色を作りましょう」という田邊の言葉に続いたのは「DAY×DAY」。「今こそ叫べよ」というフレーズが登場するこのナンバーでは、辻村のシャウトに呼応するようにオーディエンスも声を上げる。コロナ禍前と同じような状況とは言えないまでも、演者と観客がコール&レスポンスを通して心を通わせる景色が武道館内に広がった。ブルエンのアグレッシブな一面を打ち出した楽曲で構成されたこのブロックの中で、ひと際異彩を放っていたのは新曲「vendetta」だ。マイクを手にした田邊は、怒りと希望の両方を内包したリリックをまくし立て、曲のクライマックスで辻村と対峙するとラップとベースによる“ラップバトル”を開始。辻村の煽るようなスラップベースに合わせて、田邊は感情をぶちまけるように言葉を繰り出す。火花を散らすような2人のセッションを江口と高村もそれぞれ気迫に満ちたプレイで支え、スリリングなステージで観客を圧倒した。

その後、6年前の初武道館公演からの変化を語ったブルエンの面々。田邊は江口がアパレル事業を始めたエピソードや高村がゲーム実況を開始したこと、辻村の全身脱毛完遂を挙げ、観客の笑いを誘う。自身の変化として自動車免許の取得を報告すると、江口から「機材車時代に取ってほしかったよ!」とツッコまれる事態に。田邊は少し照れ臭そうに「ホント待たせたね……」と返すも、江口は「待ってねえよ」とピシャリ。しかし、田邊は意に介さない様子でスクリーンに運転免許証を大写しにすると、「これからはドライバーズライセンス田邊と呼んでください」と胸を張った。

脱力気味のMCを展開しつつも、ひとたび曲が始まればビシッと決めるのがブルエンらしいところ。「コンパス」「ルーキールーキー」といったハイボルテージなナンバーをタイトな演奏で披露し、ライブバンドとしての実力を見せつける。またインディーズ時代の楽曲「NEVER ENDING STORY」のパフォーマンス中には、田邊が「絶対に俺たちとあなたの物語は終わらせないからね」と呼びかける場面も。その言葉に応えるように客席から大きなシンガロングが起き、ブルエンがファンとともに音楽を鳴らし続けていたことが証明された。

ブルエンの軌跡を凝縮した幕間映像と、これまでの紆余曲折を赤裸々につづった「city」を経て始まったのは、8人編成のストリングス隊を交えたブロック。4人は「ブルエン史上もっとも壮大で強靭な音楽」という「Z.E.R.O.」、2018年にリリースされた反戦歌「虹」の2曲を、豊潤でダイナミックなアンサンブルとともに披露する。武道館という大舞台ながら、どこか悠然と音楽を楽しむメンバーの姿に喝采が送られる中、田邊は「今日、やっとこの曲が完成した気がします」と「虹」の演奏に自信をのぞかせた。ここで田邊は改めて辻村の渡米について言及し、辻村も音楽家として成長を目指しつつ、ブルエンにも参加したいという思いを明かす。「アメリカに行ってカマしてくるんで。リモートでもいい音楽を作るから、しっかりがんばってくるね」という辻村の言葉に、高村は「辻村がアメリカに行って、俺たちの音楽がどう変化するのか楽しみ」と期待を寄せた。

ライブ後半戦の口火を切ったのは代表曲「もっと光を」。眩い光がステージと客席を包み込み、同時にメンバーとオーディエンスの歌声が溶け合いながら武道館内に広がっていく。そんな幸せな景色を推進剤に、4人は「#YOLO」「VS」「バッドパラドックス」を畳みかけ熱狂の渦を作り出した。場内の熱気がピークに達したとき、ふと田邊が口を開き「何年経っても完璧な人間になれないんだ。俺ら4人がそうなんだよ……不安しかない」と心情を吐露し始める。だが完璧ではないからこそ、自分たちを支えてくれる“あなた”やスタッフに出会えたと述べ、「完璧になる必要なんてないんだよ。生きてさえいれば、俺がこの3人と出会えたみたいに、この4人であなたに出会えたように。あなたも大事な何かに出会えると思うよ」と優しく語りかけた。

田邊の言葉を後押しするように始まったのは、「足りないものは次の扉の前にあるから」と歌う最新曲「DOOR」。江口、辻村、高村は込み上げる感情をそれぞれの楽器にぶつけ、田邊に合わせて歌詞を口ずさみ一枚岩のパフォーマンスを繰り広げた。深い余韻を残しつつ、本編のラストに届けられたのは「青」。透明感のある青い照明に染まったステージで田邊は「俺たち4人はこれからも(あなたのことが)大好きだから。明日から思いっ切り生きていけよ」と叫び、全身全霊の歌声を武道館中に響かせた。

アンコールを求める観客の「もっと光を」の合唱に応え、いの一番にステージに戻ってきたのは“物販隊長”の高村。彼による異様すぎるテンションの物販紹介を挟んで始まったアンコールは、ストリングス隊を交えての「それでも君は走り続ける」でスタートし、「だいじょうぶ」「HANDS」という聴き手の背中を押すような3曲が披露された。全22曲をパフォーマンスし終えた4人は、汗をしたたらせながら晴れやかな表情で客席を見渡す。そして田邊の「これから何回もライブをやるうちの2回目の武道館です。これからも俺たちがあなたを抱きしめるから、よろしくな」という言葉に、ほかの3人も同意するように破顔した。

なおこの日のライブの模様は4月30日にWOWOWプラスにて放送される。

BLUE ENCOUNT「BLUE ENCOUNT TOUR 2022-2023 ~knockin' on the new door~THE FINAL」2023年2月11日 日本武道館 セットリスト

01. アンコール
02. Survivor
03. ポラリス
04. DAY×DAY
05. ロストジンクス
06. HEART
07. vendetta
08. コンパス
09. ルーキールーキー
10. NEVER ENDING STORY
11. city
12. Z.E.R.O.
13. 虹
14. もっと光を
15. #YOLO
16. VS
17. バッドパラドックス
18. DOOR
19. 青
<アンコール>
20. それでも君は走り続ける
21. だいじょうぶ
22. HANDS

WOWOWプラス「BLUE ENCOUNT TOUR 2022-2023 ~knockin' on the new door~ THE FINAL」

2023年4月30日(日)21:00~