ラーニングやメンタリングを通してアーティストの育成・支援を行う「三菱商事アート・ゲート・プログラム」支援アーティスト6組による展覧会が開催中
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岡本秀《建てると演じる/襖絵のある画面》2022-2023年
三菱商事が次世代アーティストの育成と自立を目指し、社会貢献活動の一環として取り組んでいる「三菱商事アート・ゲート・プログラム(MCAGP)」。その支援アーティスト6組による展覧会『三菱商事アート・ゲート・プログラム2021-2022 支援アーティスト6組による新作展』が2月26日(日)まで、代官山のヒルサイドフォーラムにて開催されている。
MCAGPは、若手アーティストに作品発表の場を提供することを目的に2008年にスタートしたが、昨今のアーティストの制作スタイルの変化やテーマの多様化などを鑑み、2021年に「育成」に重点を置いたプログラムへとリニューアル。アーティストのキャリアステージに合わせ「スカラシップ」「ブレイクスルー」「アクティベーション」と3つに分類し、その段階に合わせて資金援助のみならずラーニングやメンタリングなどを取り入れ、アーティストの成長や創作活動の発展をサポートしている。
今回の展覧会に出品しているのは「ブレイクスルー」の支援アーティストである6組。現在、群馬県の榛名湖のほとりで創作活動を行う衣真一郎は、地元の群馬をはじめ奈良県や静岡県、九州の古墳をリサーチした際のスケッチなどをもとにした、自然と人工が共存する風景を描いた絵画作品と、カラフルな木片を使用した立体作品を設置し、絵画と立体が呼応するような空間をつくり出した。描いた絵画を裁断して再構築し、鑑賞者の立ち位置によって見え方に変化を与える作品を制作してきた泉桐子は、近年の関心事のひとつである移民問題へつながるテーマを描いた新作を展示している。
精神福祉施設で働いた経験をもち、精神疾患やその歴史などをテーマにした映像作品を制作している小山渉は、過去に制作した作品とともに看護師であり精神疾患を持つ女性が「やってみたいこと」を実現していく様子を捉えた新作などを展示。一見何もないように見える空間に、さりげなく3点の作品が配置されている飯島暉子の展示室は、私たちに少しの時間立ち止まり、ものの変化する過程に立ち会うことを促している。
female artists meetingは、だれもが生活レベルで実践できる「みんなでできるフェミニズム」のかたちを模索しているプロジェクトチーム。2月25日(土)には、オープンリサーチプロジェクト「ウィッシュリストβ版」を活用した情報交換を行うレクチャー&ディスカッションイベントを実施。展示室では、「ウィッシュリストβ版」の紹介映像などが展示されている。
絵画の鑑賞体験をいかに解放できるかということに関心をもつ岡本秀は、これまで継続的に描いてきた襖絵をモチーフにした新作を展示しているほか、「待合室」のような空間での絵画の鑑賞体験をイメージした展示空間を作り出している。
コロナ渦という難しい状況のなかで、メンターとの対話やアーティスト同士の交流などを通じて、作品やコンセプトを発展させてきた6組。大きく変化する社会と向き合い、自らの作品に昇華させた彼らの、思考と創作のプロセスを体感することができるだろう。
【開催情報】
『三菱商事アート・ゲート・プログラム2021-2022 支援アーティスト6組による新作展』
2023年2月15日(水)~2月26日(日)、代官山ヒルサイドフォーラムにて開催。
https://www.mcagp.com/news/article/?id=page_10
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