愛する人が夢中なのは…自分そっくりの人形?新国立劇場バレエ団「コッペリア」開幕
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新国立劇場バレエ団「コッペリア」より。(撮影:長谷川清徳)
新国立劇場バレエ団「コッペリア」が、本日2月23日に東京・新国立劇場 オペラパレスで開幕。これに先駆け、昨日22日に舞台稽古取材が行われた。
これは、ローラン・プティが振付を手がけた「コッペリア」を、新国立劇場バレエ団が上演するもの。昨年5月に上演予定だったが、新型コロナウイルスの影響で有観客上演から無観客でのライブ配信に切り替えられた。
舞台はフランス・マルセイユ。スワニルダはフランツに夢中だが、フランツはコッペリウスの家のバルコニーに座っている、クールな美少女コッペリアに心を奪われていた。しかしコッペリアには秘密があり……。
舞台稽古取材では、スワニルダ役を小野絢子、フランツ役を渡邊峻郁、コッペリウス役を山本隆之が演じた。1幕ではマルセイユの広場を舞台に、フランツに愛らしくアピールし続けるスワニルダと、そんな彼女をすげなく扱い、コッペリアに恋い焦がれるフランツの気持ちのすれ違いがコミカルに描かれる。小野は、美しく衛兵たちにも人気があるスワニルダを、自信にあふれた表情とかれんな舞いでチャーミングな人物として立ち上げる。渡邊は、フランツの美丈夫っぷりを長い手脚を生かした力強い跳躍や回転で表現し、観客を魅了した。
コッペリウスの家を舞台にした2幕では、コッペリウスが若いスワニルダに思いを寄せていたこと、そしてコッペリアがスワニルダに似せて作られた自動人形であることが明らかになる。山本はコッペリウスを、1幕ではミステリアスでダンディな人物として、2幕では滑稽さを交えて演じた。コッペリウスがコッペリアと舞うシーンでは、山本は人形と身体をぴったり合わせて幸せそうに踊り、観客の笑いを誘うが、やがて虚しさからコッペリアをぞんざいに扱う姿からは、コッペリウスの寂しさと孤独を感じさせた。
コッペリウスの企みにより眠らされたフランツを救うため、スワニルダがコッペリアのふりをする場面では、小野はコッペリアの黒い衣裳を身にまとい、無表情でロボットのような硬質なダンスを繰り出す。しかし次第に舞いが“人間”らしい柔らかさを持ち、表情も豊かになっていく姿に注目だ。やがてフランツはスワニルダからのキスで目を覚まし、クライマックスではようやく心を通わせた2人によるパ・ド・ドゥが展開する。小野と渡邊は笑顔で目を合わせながら、幸福感に満ちた踊りを息ぴったりに披露。一方山本は、悲しげな表情で壊れかけたコッペリアを抱きしめて立ち尽くし、コッペリウスの絶望感を身体いっぱいににじませた。
なお渡邊は都合により降板し、渡邊出演予定回はすべて福岡雄大がフランツを演じる。また25日13:00開演回にスワニルダ役で出演予定だった木村優里は怪我のため出演を見合わせ、代わって柴山紗帆が出演する。上演時間は、休憩を含む約2時間。公演は2月26日まで。
2022/ 2023 シーズン 新国立劇場バレエ団「コッペリア」
2023年2月23日(木・祝)~26日(日)
東京都 新国立劇場 オペラパレス
振付:ローラン・プティ
音楽:レオ・ドリーブ
指揮:マルク・ルホワ=カラタユード
出演
スワニルダ:小野絢子(23日、25日18:00開演回)、米沢唯(24日、26日18:00開演回)、柴山紗帆(25日13:00開演回)、池田理沙子(26日13:00開演回)
フランツ:福岡雄大(23日、25日)、井澤駿(24日)、奥村康祐(26日13:00開演回)、速水渉悟(26日18:00開演回)
コッペリウス:山本隆之(23・24日、25・26日18:00開演回)、中島駿野(25・26日13:00開演回)