生々しく青臭くリアリティのある作品に、早乙女太一・倉科カナ「蜘蛛巣城」まもなく
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KAAT神奈川芸術劇場プロデュース「蜘蛛巣城」より。(撮影:阿部章仁)
神奈川・KAAT神奈川芸術劇場によるプロデュース作品「蜘蛛巣城」が明日2月25日に開幕。それに先駆けて昨日23日にフォトコールが行われた。
「蜘蛛巣城」は、1957年に公開された黒澤明監督の映画。今回は同作を赤堀雅秋の演出で立ち上げ、2001年の舞台版で脚本・演出を手がけた齋藤雅文が赤堀と共に上演台本を担当する。なお本作は、“忘(ぼう)”をテーマにした、KAAT神奈川芸術劇場芸術監督・長塚圭史の就任2年目となるメインシーズンを締めくくる同劇場 ホール公演となる。
フォトコール後に取材会が行われ、出演者の早乙女太一、倉科カナ、長塚、そして赤堀が登壇した。鷲津武時役を演じる早乙女は「この作品は武時と(鷲津)浅茅が主軸の話にはなっていますが、2人の周りの登場人物たちも奥行き深く描かれていて、観る方によっては武時と浅茅だけでなく、ほかの登場人物のストーリーにも共感できる部分があるのでは、と思います。いろいろな立場の人たちの、何気ないシーンに心惹かれる一瞬があり、本当に、たくさんの人たちのストーリーが見えてくる作品です」と作品を紹介。さらに「稽古が始まって1カ月半ほど経ちましたが、この時代に生きている人間のエネルギーと、その人たちの繊細な心情を、稽古場で皆さんと共にしっかりと作り上げてこられたと思いますので、早く皆様にお届けしたいと思います」と思いを述べる。
鷲津浅茅役の倉科は「この舞台は、武時と浅茅のストーリーでもありますが、群像劇にもなっていて、1人ひとりがいろいろなものを背負って生きている様は、今の時代にも共通する部分があると思います。武時と浅茅が、頂点に立って2人の気持ちが一致したところから、別々の方向に墜落していくシーンがお気に入りのシーンなので、どのシーンか皆さんに探していただけたらと思いますし、武時と浅茅はどの瞬間が一番幸せだったんだろう、と探しながら観るのも楽しみ方の一つかなと思います」と見どころを語った。
小田倉則保役の長塚は「作品は鷲津武時とその妻・浅茅が自分たちの本分を忘れ、自分たちが何者であるか、正体を忘れてより高みを目指してしまうということが大きなテーマになっていると思います。しかし、何かを得るともっと欲しくなるというのは人間の業のようなもので、シェイクスピアの『マクベス』と、黒澤明監督の『蜘蛛巣城』、そして22年前に齋藤雅文さんが戯曲化した作品に貫かれていることだと思います」と言い、「そういった普遍的な作品を私たちの時代につないでいく意味でも当劇場はこの作品を選びました。赤堀さんは一貫して市井の人々の機微を描く作品を手がけてこられましたが、何か違うスケールの作品をやっていただきたくて、本作を赤堀さんにお願いしました」と話す。さらに「私は、思いがけなく赤堀さんから出演依頼をいただいて、小田倉という大事な役を演じさせていただいております。本当に時間をかけて作ってきているので、良い作品にしたいと思っています。楽しみにしていてください」と観客にメッセージを送った。
上演台本・演出を手がけ、出演もする赤堀は「この作品は、黒澤明監督がシェイクスピアの『マクベス』を原案に映画化した『蜘蛛巣城』(三船敏郎、山田五十鈴出演)、そして、2001年に齋藤雅文さんが脚本・演出を手がけた舞台(中村吉右衛門、麻実れい出演)の台本をもとに、改訂して上演します。前作2作はそれぞれに魅力のある作品ですが、今回は、早乙女太一と倉科カナという若い夫婦のエネルギーでより生々しく青臭く、リアリティのある、今を生きるお客様の心に届く作品になれば、という思いで作っております。早乙女さんも倉科さんもとても繊細に大胆に力強く演じてくれているので、現代のお客様の心を揺さぶるような作品になっていると思います。ぜひ特に若いお客様に足を運んで観て頂きたいなと思っています」と手応えを語った。
「蜘蛛巣城」のKAAT神奈川芸術劇場 ホール公演は、2月25日から3月12日まで。本作はその後18・19日に兵庫・兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホール、25・26日に大阪・枚方市総合文化芸術センター 関西医大 大ホール、30日に山形・やまぎんホール(山形県県民会館) 大ホールでも上演される。
KAAT神奈川芸術劇場プロデュース「蜘蛛巣城」
2023年2月25日(土)~3月12日(日)
神奈川県 KAAT神奈川芸術劇場 ホール
2023年3月18日(土)・19日(日)
兵庫県 兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホール
2023年3月25日(土)・26日(日)
大阪府 枚方市総合文化芸術センター 関西医大 大ホール
2023年3月30日(木)
山形県 やまぎんホール(山形県県民会館) 大ホール
原脚本:黒澤明、小國英雄、橋本忍、菊島隆三
脚本:齋藤雅文
上演台本:齋藤雅文、赤堀雅秋
演出:赤堀雅秋
出演:早乙女太一、倉科カナ / 長塚圭史、中島歩、長田奈麻、山本浩司、水澤紳吾 / 西本竜樹、永岡佑、新名基浩、清水優、川畑和雄、新井郁、井上向日葵、小林諒音 / 相田真滉、松川大祐、村中龍人、荒井天吾(Wキャスト)、田中誠人(Wキャスト) / 久保酎吉、赤堀雅秋、銀粉蝶
※長田奈麻は病気療養のため降板し、佐藤直子が代役を務めます。