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「陽春花形歌舞伎」は早替わり合戦!11年ぶりの御園座出演に中村勘九郎&七之助喜び

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左から中村勘九郎、中村七之助。

「陽春花形歌舞伎」に出演する中村勘九郎と中村七之助の取材会が、本日2月27日に東京都内で行われた。

愛知・御園座で4月に開催される「陽春花形歌舞伎」は昼夜2部制。昼の部には「お染の七役」、夜の部には「怪談乳房榎」がラインナップされている。「お染の七役」では、七之助が油屋娘お染、丁稚久松のほか、許嫁お光、後家貞昌、奥女中竹川、芸者小糸、土手のお六の7役を、「怪談乳房榎」では、勘九郎が菱川重信、下男正助、うわばみ三次の3役をそれぞれ早替りで勤める。

なお、2人が御園座に出演するのは約11年ぶりで、2018年に同劇場が建て替えされてからは初登場となる。勘九郎は「初代中村勘三郎が尾張の出身ということもあり、中村屋はそもそも名古屋にゆかりのある家。祖父の十七代目中村勘三郎は、(名古屋の)西川流の鯉三郎先生ととても昵懇(じっこん)でしたし、東京でなかなか役がつかなかったとき、名古屋に行くと良い役ができるということで、名古屋に育ててもらったと恩を感じていました。父(十八代目中村勘三郎)も名古屋と御園座が大好きでした。僕たちが子供の頃から連れて行ってもらっていたなじみのお店もありますので、今回久しぶりにそこに伺えるのも楽しみ」と笑顔を見せる。

七之助は「久しぶりに御園座に出られること、うれしく思っております。今日、道具調べがあったのですが、今回の早替わりのために新たにエレベーターを作ってくださるそうで! その設備が新たに御園座に追加されたことで、今後かかる演目にもプラスに働けば」と微笑む。

上演演目について、勘九郎は「久しぶりの御園座ということで、どんな演目が良いかな?と相談した結果、“早替り合戦”になりました。『お染の七役』の7役は、七之助が坂東玉三郎のおじさまから習った大切なお役ですし、『怪談乳房榎』の3役は、僕がうちの父から手取り足取り教わった役。いずれも名古屋のお客様に楽しんでいただける作品になると、自信を持っています」と述べた。

七之助が「お染の七役」を初役で勤めたのは、2012年1月の「平成中村座」。当時を「玉三郎のおじさまには、本当に毎日のように稽古していただきました。稽古大好きな父ですら『また稽古するの?』とびっくりしていたぐらいでした(笑)」と思い出と共に振り返り、玉三郎からの教えについて「『衣裳パレードのようになってはだめだよ』と。演じ分けが重要だと教わりました。また、声ではなく型で演じ分けなさい、ということも口酸っぱく言われましたね。例えばお染とお光では、首の傾け方が違うんです。ただ声の調子を変えるのではなく、身体のフォルムでわからせないといけない」と明かす。

「怪談乳房榎」は、“三世實川延若より直伝されたる 十八世中村勘三郎から習い覚えし”と銘打たれている。勘九郎は「父が延若のおじさまから直伝で習ったお役で、その稽古から帰ってきた父が『面白いことを聞いたよ』とすごくうれしそうにしていたのを覚えています。子供の頃からこれらの役に憧れていて、家でもホテルでも、シャワーがあれば必ずうわばみ三次の本水の立廻りのまねをしていました(笑)。七之助は磯貝浪江をやりたいと言っていて、いつか2人でやろうと約束していて。初めて勤めたときはうれしかったですね」と七之助と目を合わせる。「これまで何度も演じている作品ですけど、名古屋で上演するのは初めて。演じていても観ていても楽しい作品ですので、初めて歌舞伎をご覧になる方にもぴったりかと。今回、当日券限定ですが、2階以上の席が半額になる学割もあるようなので、ぜひ若い人たちにも観ていただければ」と語った。

さらに七之助は「いつもと違う点で楽しみにしているのは、『怪談乳房榎』で(喜多村)緑郎さんと夫婦役を勤めること。色悪と呼ばれる役どころの浪江を誰にお願いしようと迷っていたとき、『緑郎さんは?』と思い付いて。まあ無理だろうなとダメ元でお願いしたらOKをいただけたんです。緑郎さんが歌舞伎俳優だった頃、プライベートではよく飲みに行っていた仲ですし、2人で空気感を作り上げていくのがとっても楽しみ」と話し、勘九郎も「早替りは、相手役の方に間を埋めていただくのが大事。緑郎さんは(市川)猿翁のおじさまのもとに長くいらっしゃったので、阿吽の呼吸というものをよくわかっていらっしゃる。早替わりをマジックのように見せてくださるのでは」と期待を寄せた。公演は4月1日から22日まで。チケットの一般販売は3月2日10:00にスタート。

「陽春花形歌舞伎」

2023年4月1日(土)~22日(土)
愛知県 御園座

昼の部
「於染久松色読販『お染の七役』」

作:四世鶴屋南北
改訂:渥美清太郎

出演

油屋娘お染 / 丁稚久松 / 許嫁お光 / 後家貞昌 / 奥女中竹川 / 芸者小糸 / 土手のお六:中村七之助
鬼門の喜兵衛:喜多村緑郎
油屋多三郎 / 女猿廻しお作:中村虎之介
腰元お勝:中村鶴松
庵崎久作:市川男女蔵
山家屋清兵衛 / 船頭長吉:中村勘九郎

夜の部
「怪談乳房榎」

口演:三遊亭円朝

出演

菱川重信 / 下男正助 / うわばみ三次:中村勘九郎
重信妻お関:中村七之助
松井三郎:中村虎之介
重信弟子信鳥:中村鶴松
住職雲海:市川男女蔵
磯貝浪江:喜多村緑郎