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バンドメンバー決定! ミュージカル『スクールオブロック』生徒役の最終オーディションに潜入

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左)デューイ:西川貴教 with チームコード 右)デューイ:柿澤勇人 with チームビート

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2023年8・9月に日本版が初演される、ミュージカル『スクールオブロック』の生徒役キャストが決定した。これに先駆け、ぴあアプリ編集部は東京都内で行われた最終オーディションの様子を取材。8~13歳、身長152cm以下の男女を対象としたオーディションの応募総数は1452通にのぼり、書類・映像選考を通過した約200名(二次・三次審査)から約35名に絞られ、昨年12月中旬に最終オーディションが実施された。

売れないロッカーが名門進学校の臨時教師になりすまし、生徒たちにバンドを組ませるアメリカの学園コメディ映画として2003年に製作され、2015年にはアンドリュー・ロイド=ウェバーのプロデュース・音楽によって米ブロードウェイでミュージカル化された本作。新型コロナウイルス感染拡大によって全公演中止となった2020年版と同様に、鴻上尚史が日本版の演出を手がけ、ロックを愛する破天荒な熱血バンドマンのデューイ・フィン役を西川貴教と柿澤勇人がWキャストで担当する。

臨時教師として担任したクラスの子どもたちに音楽の才能があると気づいたデューイは彼らにロックを演奏させ、バンドバトルに出場する──というストーリー展開から分かるように、生徒役には楽器や歌のできる役者が求められた。現時点で判明している配役は、

①フレディ(ドラム)
②ザック(ギター)
③ローレンス(キーボード)
④ビリー(衣裳:スタイリスト)
⑤メイソン(技術:ステージエンジニア)
⑥ジェイムズ(警備:セキュリティ)
⑦ケイティ(ベース)
⑧サマー(マネージャー)
⑨トミカ(ボーカル)
⑩マーシー(コーラス)
⑪ショネル(コーラス)
⑫ソフィー(楽器セッティング・運搬:ローディー)

の12名。最終オーディションに集まった応募者は、すでに楽器演奏や歌唱の様子を収めた映像や実技審査をパスした“つわもの”揃いだ。

最終オーディションにおいて、まず楽器演奏のできる応募者10名弱は300平方メートル強の広いスタジオに集められた。ギターやベース、ピアノの音色が響き、ドラムがリズムを刻む練習をしているかと思えば、目を離した隙に仲良くなった者同士で奇声を発しながらスタジオ中を駆け回る大らかな姿も見受けられる。「スタジオの外には出ないように」と注意しながらスタッフが点呼していると、審査員として演出の鴻上と音楽監督の前嶋康明が現れた。

鴻上は、劇中に登場する「You’re in the Band」の一節をバンド編成で演奏させる。各楽器とも数名の応募者がいるため、メンバーの組み合わせを変えながら入れ替わり立ち替わり数パターン。感染予防でマスクを外せる時間は限られているため、演奏中に見せる彼らの表情をじっくり確認しているようだった。ひと通り演奏が終わったあと、ベースの女子にそっと耳打ちする。もうワンセッション行うと、ガラリと変わった表情をどんどん繰り出した。

ギターの男子も負けてはいない。ロック舌はもちろん、瞳を大きくかっ開き腕をぶん回しながら、前回より“魅せる”ことを念頭に置いたパフォーマンスにブラッシュアップされていった。鴻上も笑顔で「いいね!」と応募者を煽って気持ちを乗せていくと、パフォーマンスの自由度がギターとベースより低いであろうピアノ(キーボード)とドラムの男子からも笑みがこぼれ、迫力の演奏に拍車がかかる。

どのバンドからも熱量の高い演奏を引き出したあと、鴻上は「楽器を弾きながら芝居をするんだから、(原作の)映画を観ておいて」と全体に語りかけた。特にやんちゃな一面を覗かせていた応募者とは早くも関係性が芽生えたのか「君の楽器の役はセリフが多いんだよ、やれるか?」と鼓舞する。堅苦しい審査というよりカジュアルな対バンライブの場に居合わせる感覚で、楽器チームの演奏力チェックは和やかに終わった。

続いて行われたのは、歌・芝居チームの応募者25名弱が加わった演技審査。『スクールオブロック』の中でバンドメンバーになる生徒のうち、

サマー(マネージャー)
ザック(ギター)
マーシー(コーラス)
ケイティ(ベース)
ビリー(衣裳:スタイリスト)
フレディ(ドラム)

が登場する、オーディション用に鴻上が作成したオリジナルの台本がその場で配布され、6名1組になって審査に応じた。学校の創立記念日に、クラスの出し物として何を行うか話し合う──という短い台本は前回のオーディションでも取り組んだ内容だが、どんな出し物を自分がやりたいのか、つまり「なぜサッカーや合唱、ファッションショーをやりたいのか」という相手を納得させる“理由”を述べる点が変更になっていた。この理由をいかに自分の言葉で説得力ある形で提示できるか──。これが審査のポイントになりそうだ。

歌・芝居チームはパイプ椅子を机に“理由”を個人で考え台本に書き込むのに対して、楽器チームは隣席の相手と話しながら理由を決めていたのが興味深い。鴻上の「しゃべっているお前さんたちは準備できているのかい?」という問いかけにも「うん、早くやろうよ!」といった豪胆さを見せ、ミュージカルのオーディションに心得がありそうな歌・芝居チームの面々を驚かせていた。

やりたい役に挙手して、鴻上から指名された者からアクトエリアに進み出る。自分で考えた“理由”を述べる場面では「チームワークが鍛えられるから」と自分たちにメリットがあることを提示する子、「お客さんや両親に喜んでもらいたいから」と他者への気遣いを覗かせる子、出し物自体の魅力を訴える子、理由はないが「ただやりたい」という気持ちであふれ返っている子など多様な回答が見受けられた。いずれにせよ提示した理由に添った的確な演技で、数分のシーンを展開する。

一方、本オーディションで初めて芝居をする子たちは、自分とまったく異なるキャラクターの表現が分からず諦めかける子も。鴻上はそうした参加者を突き放すことはせず、「芝居は自分とは違う人物になれるのが魅力。一瞬でも他人の人生を生きてみたら、きっと楽しいんじゃない?」と優しく語りかける。するとその言葉を受け取った子は自然と台本から目を離し、座り直して相手に体を向けながら楽しそうにセリフを発するようになった。

台本を2回繰り返し行う中で、鴻上は1回目のあとに演出をつけた。「自分はこの出し物がやりたい!なぜかと言うと……のあと、理由を伝えるときは熱意とパワーが必要なんだよ。自分のアイディアが優れている、と相手に思わせるように仕向けないとね」など説得力あるセリフの伝え方について教え諭し、参加者に自身の演技を考えさせるひと幕も。いずれの組も演出を受けて創意工夫した跡が見受けられ、2回目はぐっと魅力的に映った。選考の場である一方で、参加者にとってはワークショップのような学びの多いオーディションだったであろう。

最終的にどのようなキャストが選ばれ、日本初演のステージを踏むことになったのか。結果は以下の2チーム24名に決定した。

■ビートチーム(五十音順)
トミカ(ボーカル)=大久保実生
ソフィー(ローディー:楽器セッティング・運搬)=加藤悠愛
ショネル(コーラス)=木村律花
ローレンス(キーボード)=熊田たまき
ザック(ギター)=後藤日向
ビリー(衣裳:スタイリスト)=佐藤凌
マーシー(コーラス)=シーセンきあら
サマー(マネージャー)=中川陽葵
ケイティ(ベース)=三宅音寧
フレディ(ドラム)=村井道奏
ジェイムズ(警備:セキュリティ)=宮島伊智
メイソン(技術:ステージエンジニア)=屋鋪琥三郎

■コードチーム(五十音順)
ローレンス(キーボード)=小川実之助
マーシー(コーラス)=桑原広佳
ケイティ(ベース)=飛田理彩子
メイソン(技術:ステージエンジニア)=中込佑協
フレディ(ドラム)=中嶋モモ
ジェイムズ(警備:セキュリティ)=平岡幹基
ビリー(衣裳:スタイリスト)=前田武蔵
ソフィー(ローディー:楽器セッティング・運搬)=真木奏音
トミカ(ボーカル)=三上さくら
ザック(ギター)=三宅音太朗
ショネル(コーラス)=宮﨑南帆
サマー(マネージャー)=山崎杏

子どもたちのエネルギーに触れ、約8ヵ月前の段階から開幕が待ち遠しくなるオーディションだった。公演は、東京・東京建物 Brillia HALL(豊島区立芸術文化劇場)にて行われるほか、大阪公演も予定されている。

取材・文:岡山朋代

<公演情報>
ミュージカル『スクールオブロック』

2023年8・9月
東京建物 Brillia HALL(豊島区立芸術文化劇場)
※大阪公演あり

[音楽]アンドリュー・ロイド=ウェバー
[脚本]ジュリアン・フェロウズ
[歌詞]グレン・スレイター
[日本版演出・上演台本]鴻上尚史
[訳詞]高橋亜子

[出演]
デューイ・フィン=西川貴教 / 柿澤勇人(Wキャスト)
ロザリー・マリンズ=濱田めぐみ

ネッド・シュニーブリー=梶裕貴 / 太田基裕(Wキャスト)
パティ・ディ・マルコ=はいだしょうこ※ / 宮澤佐江(Wキャスト)

阿部裕、神田恭兵、栗山絵美、多岐川装子、俵和也、丹宗立峰、ダンドイ舞莉花、中西勝之、西野誠、湊陽奈、安福毅(五十音順)
スウィング:AYAKA、森内翔大
※はいだしょうこ:ロザリー・マリンズ役カバー

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