バイオレンスな女王蜂、オーディエンスの歓声浴びて新次元へ歩を進める
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女王蜂(撮影:森好弘)
女王蜂の単独公演「バイオレンス」が、3月2日に東京・東京ガーデンシアターで開催された。
昨年より全国ホールツアー「MYSTERIOUS」を開催し、ツアーと並行して12月には配信シングル「バイオレンス」、今年2月にはニューアルバム「十二次元」をリリースするなど、精力的な活動を繰り広げている女王蜂。今回のライブではこれらの活動を総括するような圧巻のパフォーマンスを繰り広げ、2023年のさらなる加速を感じさせるステージとなった。
開演時刻を迎えて場内が暗転すると、ステージ前にかけられた幕の下からスモークが漏れ出していく。ゆっくりと幕が開き、アヴちゃん(Vo)、やしちゃん(B)、ひばりくん(G)、サポートメンバーのみーちゃん(Key)、福田洋子(Dr)の姿が現れると、客席からは歓声が沸き起こった。アヴちゃんはゴミ袋に取り囲まれたお立ち台に腰を下ろし、貫禄たっぷりに「バイオレンス」を歌い上げた。
コロナ禍を受けての制限が取り払われ、声を出せるようになったオーディエンスは「DANCE DANCE DANCE」でメンバーとともに合唱。アヴちゃんの高笑いに続いて会場を支配するかのようなパフォーマンスが繰り広げられた「BL」では、ひれ伏すかのように客席中のジュリ扇が波を打った。アルバム「十二次元」から「ハイになんてなりたくない」が披露されたあとは、アヴちゃんが口上を繰り広げる「長台詞」へ。物語の主人公を演じるようにさまざまな声色で語るアヴちゃんに、オーディエンスは息を呑んで見入った。
静寂から一転、続いて披露された「火炎」で再び会場の熱気が高まっていき、「ヴィーナス」のイントロではアヴちゃんの「覚えてる?」という問いかけに観客が熱い歌声で応える。「P R I D E」のひばりくんのギターソロに乗せてアヴちゃんが堂々とステージを闊歩すると、待ってましたとばかりに歓声と拍手が送られた。より妖艶さを増したアレンジで届けられた「KING BITCH」のあと、アヴちゃんは「どうぞたっぷりと女王蜂をご堪能ください」と言い残してステージをあとにする。残るメンバーが演奏したのは「鏡」。それぞれのセンスが光るセッションに観客が魅了される中、アヴちゃんは真紅のロングドレスに衣装を改めて再登場した。
1人きりでステージに残ったアヴちゃんは「十」をアカペラで歌い、会場内に荘厳な空気をもたらす。観客の視線を釘付けにするアヴちゃんと同じく赤い衣装に身を包んだメンバーが再びステージに現れ、それぞれの音を鳴らし始めると場内の張り詰めた空気がゆっくりと解けていった。そこからは再び強固なバンドサウンドによって、オーディエンスとの一体感が高まっていく。アルバムのタイトル曲「十二次元」では、アウトロのカウントをアヴちゃんが「11、12……13!」と1つ増やして叫び、「MYSTERIOUS」へとつなげる。「催眠術」でアヴちゃんが衣装のロングスカート部分を剥ぎ取り、ミニ丈にチェンジするとそのパフォーマンスはよりアグレッシブに。やしちゃんのパワフルなベースが炸裂した「デスコ」で、会場の狂乱状態はピークに達した。
メンバーもファンも楽しそうに「返せ! 返せ!」と合唱した「油」、みーちゃんの奏でるきらびやかなシンセの音色が場内を満たした「HALF」に続き、最後に披露されたのは1曲目と同じ「バイオレンス」。すべてのパフォーマンスを終え、メンバーを見送ったアヴちゃんは「『バイオレンス』の世界を一夜限りで顕現させました。今日は来てくれてありがとう。ここからブチ上がっていきたいと思います」と笑顔で話す。そして「今日、このあと素敵なお知らせがあります。『これを手に入れるために続けてきたんだな』と思っています。これを手に入れてどう戦うのか見といてください」とオーディエンスにほのめかし、マイクを投げ捨ててステージを去っていった。
終演後の会場内サイネージや会場前壁面の大型ビジョンには女王蜂の新曲「メフィスト」がテレビアニメ「【推しの子】」のエンディングテーマに決定したこと、さらにこの曲のシングルリリースや全国ツアー開催を告げる特報映像が流れ、帰路に向かっていた観客たちは大喜び。女王蜂が届ける新たな世界への期待を高める洒落た演出でライブの余韻が彩られた。