山の手事情社が“私たちの現在”を演劇詩として立ち上げる「デカメロン・デッラ・コロナ」
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劇団山の手事情社公演「デカメロン・デッラ・コロナ」チラシ表
劇団山の手事情社「デカメロン・デッラ・コロナ」が、3月24日から26日まで東京・池上会館 集会室にて上演される。
これは、劇団山の手事情社が約3年ぶりに劇団員総出で取り組む公演。安田雅弘が構成・演出を手がける本作は、14世紀のイタリアで、ペストの流行から避難した男女10人が1人ずつ物語を披露し合う様子を描く、ボッカッチョの小説「デカメロン」に想を得ている。劇中では、「デカメロン」や安田の書き下ろしのテキストなどがコラージュされながら、コロナ禍における約3年間が現在の演劇詩として立ち上げられる。
安田は「『デカメロン』はペストの流行拡大から避難した貴族10人の話ですが、現代、コロナから避難する人たちが出たらどうなるだろうか、というのが今回の発想の出発点でした」と述べ、本作について「お芝居の方は、人々がコロナなのか、有事なのか、災害なのか、ともかく避難している場所が舞台です。かつて山荘だった廃墟です。その避難所の催しとして、人類の文明についての鼎談が開かれています。その鼎談の中に、鼎談の内容とは関係なく、『デカメロン』の物語の一部や、ダンスや得体の知れない言葉をつぶやく人々のシーンなどが挿入されます。シャガールの絵から着想しました。現実なのか夢なのかわからない生活という私の実感です。ボッカッチョ先生の助けもかりながら、私は私たちの現在を演劇詩として描きたいと思っています」とコメントした。
出演者には、山本芳郎、川村岳、山口笑美、越谷真美、安部みはる、谷洋介、中川佐織、名越未央、佐々木啓、松永明子、渡辺可奈子、高島領也、喜多京香、長谷川尚美、宮崎圭祐、有村友花、鍵山大和、草野明華が名を連ねた。上演時間は1時間30分を予定。
安田雅弘コメント
三年ぶりの劇団総がかりの本公演です。この三年間、演劇活動は続けてきましたが、一人芝居だとか、少人数芝居が多く、久方ぶりに二十名近くが出演する舞台です。
「デカメロン」はペストの流行拡大から避難した貴族10人の話ですが、現代、コロナから避難する人たちが出たらどうなるだろうか、というのが今回の発想の出発点でした。一つにはコロナで在宅時間が多くなり、YouTubeで本当だか嘘だかわからない、さまざまな情報に触れる機会が増えました。うすうすは感づいていたものの、テレビや新聞などのマスコミの情報が随分いい加減だなと、考えるに至りました。こんなものを長く信じていたのか、と。そうこうするうちにロシアのウクライナ侵攻。中国の尖閣諸島周辺でのふるまい。台湾有事の可能性。北朝鮮のミサイル実験。安倍元首相の暗殺。トルコの大地震……。何かはわかりませんが、不気味なものが私たちに迫ってきているような憂鬱な気分を抱いています。
お芝居の方は、人々がコロナなのか、有事なのか、災害なのか、ともかく避難している場所が舞台です。かつて山荘だった廃墟です。その避難所の催しとして、人類の文明についての鼎談が開かれています。その鼎談の中に、鼎談の内容とは関係なく、「デカメロン」の物語の一部や、ダンスや得体の知れない言葉をつぶやく人々のシーンなどが挿入されます。シャガールの絵から着想しました。現実なのか夢なのかわからない生活という私の実感です。ボッカッチョ先生の助けもかりながら、私は私たちの現在を演劇詩として描きたいと思っています。
劇団山の手事情社公演「デカメロン・デッラ・コロナ」
2023年3月24日(金)~26日(日)
東京都 池上会館 集会室
原作:ボッカッチョ ほか
構成・演出:安田雅弘
出演:山本芳郎、川村岳、山口笑美、越谷真美、安部みはる、谷洋介、中川佐織、名越未央、佐々木啓、松永明子、渡辺可奈子、高島領也、喜多京香、長谷川尚美、宮崎圭祐、有村友花、鍵山大和、草野明華
※宮崎圭祐の「崎」は立つ崎(たつさき)が正式表記。