今月のお笑い 10本目 ウエストランド井口と作家飯塚と令和ロマンくるまが語る「2023年2月のお笑い、どうだった?」
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ウエストランド井口と作家飯塚の「今月のお笑い」。
ウエストランド井口と構成作家・飯塚大悟が、毎月のお笑い界の出来事を勝手に振り返る連載「今月のお笑い」。2023年2月のお笑いは、FANY Online TicketやZAIKOを駆使していろんなライブを鑑賞し、先輩たちからも意見を求められることが増えてきているという令和ロマン高比良くるまを迎えて語り合った。くるまいわく、2月最大のトピックは「マンゲキ6組の東京進出」。東京ライブシーンに訪れる、大転換期とは? 「THE SECOND」への期待やテレビ・ラジオの改編についても。
構成 / 狩野有理 ヘッダーイラスト / 清野とおる
※取材は3月1日に実施。
ANNとJUNK、ラジオのお祭り
──今回はゲストに令和ロマン高比良くるまさんをお迎えしますが、スケジュールの都合で途中からの参加となります。まずは井口さん、飯塚さんのお二人で「2月のお笑い」を振り返りましょう。
飯塚 2月で一番大事な出来事と言えば、「はんにゃ、『はんにゃ.』に改名」ですかね?
井口 いやいや、大事じゃないっしょ!とも言いづらいんで(笑)。イジってる人もまだあんまりいなさそうですけど……?
飯塚 「三四郎のオールナイトニッポン0(ZERO)」(ニッポン放送)に金田さんがゲストで出ていましたけど、特に何も語られていませんでしたね。
編集部注:「占いなんて信じない」(テレビ東京)で占い師から「1画増やすことで運気が上がる」とのアドバイスを受けて「はんにゃ.」に改名。「ピリオド」を打ち「ここからまた始まる」という前向きな意味が込められている。読み方は今まで通り「ハンニャ」。
飯塚 はんにゃ.金田さんは「チャンスの時間」(ABEMA)の「ダウ90000を助けたい!」(2月5日配信回)でも面白かったし、これからさらに注目されそう。
飯塚 「オールナイトニッポン」と言えば、55周年特番(参考記事:ナイナイが熱唱「オールナイトニッポン」55時間特番幕開け、このあとはANN0の5組)。ウッチャンナンチャンの2人のフリートークが聴ける機会は近年ほぼなかったから貴重でしたね。ご本人も「向かい合って話すの恥ずかしい」とおっしゃっていて。
井口 以前テレビの番組の告知で「内村&南原、ダブル出演!」と書いてあったことあったんですけど、それウッチャンナンチャンだから(笑)。それくらい珍しいことというか。「オールナイトニッポン」もそうですし、TBSラジオ「JUNK」は25周年ライブがあって、2月はラジオのデカいイベントが続きましたね。「他力本願ライブ」(※)には僕らも出させてもらいましたけど、超満員のLINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)はすごかったです(参考記事:みちおがJUNKオブジェに突進、6組がリスナー投稿ネタ披露「他力本願ライブ6」)。
※編集部注:リスナーの書いたネタを芸人が舞台で実際に披露するライブ。「アンタッチャブルのシカゴマンゴ」のコーナーから派生し、「山里亮太の不毛な議論」のイベントとして開催されている。
飯塚 配信を買って観たけど、井口くんカッコいいこと言ってたね。当日、会場に入るまで台本を見ていなかったって。来て、(台本を)見て、やりました、みたいな。
井口 いやいや。来て、見て、できるやつを選んだだけなんですよ。ラジオリスナーの悪口をめちゃくちゃ言うネタだったのでやりやすかったです(笑)。台本に書いてあるってことにしてアドリブでけっこう足しちゃったんですけど、書いてくれた方とライブのあとにちらっとお話ししたら、すごい喜んでくれていて。思うことありそうでしたよ、その人が。
──そのリスナー自体がラジオリスナーに思うことがあった。
井口 「これ、密告なんで」って言ってました(笑)。僕がラジオリスナーに対して思っていることを、同じように感じているリスナーもいるんでしょうね。
飯塚 「他力本願ライブ」みたいに、他人が考えたことにして自分が言いたいことをネタの中で言うのは新しいやり方じゃない? 今後のウエストランド、それでいけそう。
井口 台本のせいにして思い切り自分の気持ちを言えるのはいい手法ですよね。
飯塚 「爆笑問題カーボーイ」(TBSラジオ)を聴いていたら、(ANN55周年特番の)「電気グルーヴのオールナイトニッポン」がよほど面白かったのか、太田さんがピエール瀧さんの語った留置所でのいい話を丸々話していたんだよ。「あれおもしれえんだよな」って同じくらいの尺で全部しゃべってた(笑)。
井口 すごいことしてますね。「オールナイトニッポン」の話を「JUNK」で言ってる(笑)。
飯塚 “ラジオのお祭り”という感じがしてよかった。「秋元康と佐久間宣行のオールナイトニッポン」では「オールナイトフジ」(フジテレビ)の復活版のMCを佐久間さん、さらば青春の光・森田さん、オズワルド伊藤さんの3人でやることを総合プロデューサーの秋元さん本人がバラしていました(参考記事:佐久間宣行MC、さらば森田とオズワルド伊藤が脇固める「オールナイトフジコ」金曜深夜に生放送)。公式発表前なのに(笑)。でもすごい話だよね。水曜の夜に「オールナイトニッポン0」をやって、金曜も毎週生放送で「オールナイトフジ」をやるなんて。
井口 佐久間さんの勢いが止まらないですね。
飯塚 森田さんと伊藤さんもここでまたランクが1つ上がるのかなと思った。「オールナイトフジ」の復活もそうですけど、3年ぶりの「27時間テレビ」に千鳥、ダイアン、かまいたちを起用したり(参考記事:千鳥、ダイアン、かまいたちの3組で司会「FNS27時間テレビ」今夏放送決定)、フジテレビがお笑い×生放送のお祭りみたいな、元気な頃のテレビをもう1回取り戻そうとしている雰囲気もあるよね。
「タモリ倶楽部」終了発表で母からLINE
──テレビやラジオは改編が発表され始めています。
飯塚 「タモリ倶楽部」(テレビ朝日)が終わりますね。井口くん、タモリさんと最近共演したことは?
井口 「笑っていいとも!」(フジテレビ)以来なかったので、会えるとしたら「タモリ倶楽部」だなと思っていたんですよ。でも、このタイミングで出るのもなんか嫌じゃないですか。あと何回くらい収録があるかわからないですけど、急に僕らが行くのも違うだろうなって。自分が視聴者だったら「昨日今日の奴らがなんだよ」と思いますもん。
──河本さんの資格にちなんだマニアックな企画だったら違和感なく出られそうですが。
飯塚 玉掛け特集とか。
編集部注:ウエストランド河本はつり上げ荷重1トン以上のクレーンなどの玉掛け業務を行うことができる「玉掛け技能」の資格を保有。「さんまのお笑い向上委員会」(フジテレビ)で話したところ、MCの明石家さんまが興味津々だった。
井口 まさに「タモリ倶楽部」っぽいですけど。4月で終わりですか?
飯塚 3月ですね。
井口 じゃあ無理でしょ!(笑) 「タモリ倶楽部」とか、子供の頃からやってたバラエティってもうほとんどなくなりましたね。
飯塚 「タモリ倶楽部」みたいに“狭くて面白い”番組がなくなるのってテレビ界の痛手だと思うし、新しく似た路線の番組が始まってもここまで浸透するのは無理だと思う。だから本当は「○○倶楽部」を引き継げるといいよね。「探偵!ナイトスクープ」(ABCテレビ)みたいに。
井口 「ナイトスクープ」はそれが強みですよね。「何代目局長」という形で続けていけるので。「タモリ倶楽部」は急に「誰々倶楽部」になっちゃったら違和感あるでしょうけど、「局長が変わった」は多少反発があるにせよ、受け入れられやすいというか。その都度話題にもなりますし。
──井口さんのお母さんは「タモリ倶楽部」に出てほしいとおっしゃっていましたよね。
井口 ああ、「タモリ倶楽部終了」のニュースが出てから親からLINE来ましたよ。(母親が)タモリさんのことすごい好きなので。
──ちなみに「ナイトスクープ」は新探偵が発表されました(参考記事:霜降り明星せいや&ゆりやんレトリィバァ「探偵!ナイトスクープ」の新探偵に)。
井口 僕は地元が岡山でめちゃくちゃ見ていたので、このニュースに「わー、そうなんだ!」と思いましたけど、東京の人とはやっぱり温度差ありますね。
飯塚 今はTVerで観ている人が増えたと思うけど、どうしても関西よりは馴染みは薄いとは思う。
井口 だから思い入れは違いますよね。“探偵”になれるって関西の人間にとっては勲章みたいなものだと思うので。
飯塚 ロケだけじゃなくスタジオ出演もあって、しかも大阪収録だろうから大変だと思うんだけど、せいやさんもゆりやんさんもこれだけ忙しいのに引き受けたのはすごく高い熱を持っているんだろうなと思う。
井口 関西出身の芸人だったらどうしてもやりたいって思いますよ。
飯塚 松本(人志)さんの番組だしね。テレ東で去年、「霜降り明星の校内放送ジャック」という番組に僕も関わらせてもらったんだけど、霜降りと一般の人の絡みがすごくよくて。特に若い子との交流が。だから、せいやさんは向いてるんだろうなと思う。
井口 でも探偵って意外なチョイスが多いじゃないですか。スリムクラブ真栄田さんとか。今回は王道ですよね。
飯塚 たしかに。松本さんが局長になったこともそうだけど、ちゃんともう一度全国に向けてやっていこうとしている感じがする。
井口 子供の頃はとにかくローカル色が強かったので。僕らですらそこでしか見ないような方々というか……(笑)。
飯塚 西の「探偵ナイトスクープ」、東の「噂の!東京マガジン」(TBS)。そこでしか見ない人たちを見られる2大番組だった。
井口 最近はTVerがあるから全国向けのキャスティングになってきているんですかね。
飯塚 ”神回”と呼ばれるエピソードが放送後にTVerでバーっと広がるから、話題になりやすくなったよね。
新パーソナリティの座に就くのは誰だ
飯塚 「たまむすび」(TBSラジオ)の後続の帯番組「こねくと」で、でか美ちゃんが火曜を担当するんだけど(参考記事:東京03飯塚、パンサー菅、TBSラジオ昼の新番組「こねくと」曜日パートナー就任)、でか美ちゃんって実はめちゃくちゃラジオやってるんだよ。BSの番組でMCとかもやっていて、いつかTBSラジオの帯をやるんじゃないかと睨んでる。
井口 そういえば、この間会ったときすごい気まずそうにしていましたよ。「芸人にすり寄るアイドルって私ですよね」って。グラビアアイドルの方とかにもよく言われます、「すいません、水着でサウナ入ってて」とか。親から「あんたのこと言われてるよ!」みたいに連絡が来るらしくて(笑)。別にみんなやっているし、僕は特定の誰かのことを言っているわけではないんですけど。
編集部注:ウエストランドの漫才の中に「芸人にすり寄るアイドル」「水着でサウナに入っている謎のグラビアアイドル」などが出てくることがある。
飯塚 ちなみにこの改編シーズンで、ラジオのレギュラーの話はウエストランドには来ていないの?
井口 ないです。「ぺこぱのオールナイトニッポン0」が終わることになって「次はウエストランドか?」みたいな声もあるみたいですけど、一切ありません。「(1月に単発で放送された)ウエストランドのオールナイトニッポン」の評判はよかったはずなのになあ。
飯塚 マヂカルラブリーのANN0は「M-1グランプリ」優勝のタイミングで始まってるんだけどね。「ウエストランドは急いで抑えに行かなくていいか」って思われているのかも。
井口 まだ僕らは「ぶちラジ!」をやり続けることになりそうです。
──「Creepy Nutsのオールナイトニッポン」の終了も決まっています。
井口 まったく新しい人が入る可能性もあるし、2部から1部への動きもありますからね。
──例えば勢いの止まらない佐久間さんが1部に上がるなんてこともあるんでしょうか。
井口 みんな佐久間さんのことをどう見てるんだろうな? 僕らは直接仕事する間柄でもありますけど。
──一般の人はタレントとして見ている?
井口 名プロデューサーみたいな捉え方なんですかね。そういう人が表に出てしゃべるのは時代にも合っている感じがしますし。
飯塚 かつては林(修)先生とか、マツコ・デラックスさんとか、非タレントがメディアを席巻してきたけど、そういうモードに入っているよね。
井口 弁護士が出てきて、塾の先生が出てきて……。誰が人気者になるかわからないですからね。
飯塚 最近はマネージャーさんもおなじみの存在として知られているよね。かまいたちのマネージャーの樺澤さんとか。
井口 「向上委員会」のモニター横にマネージャーキャラの奴(世間知らズ西田扮する味あじ美)がいて、さんまさんが「もうちょっとちゃんとしたほうがええぞ!」みたいに普通に注意してました。本当にマネージャーが表に出ることもあるからわけわかんないことになってきているんですよ(笑)。
芸人のドラマ化
飯塚 あとは、南海キャンディーズ山里さんとオードリー若林さん(のユニット「たりないふたり」)の連ドラ「だが、情熱はある」(日本テレビ)が発表された。
井口 飯塚さんは関わっているんですか?
飯塚 「たりないふたり」のライブや番組は手伝わせてもらっていたけど、ドラマにはまったく関わっていないので普通に楽しみ。脚本は、シソンヌ、ニューヨーク、相席スタートとかの単独ライブに携わっていて、「チャンスの時間」にも入っている作家の今井太郎さん。今井さんも参加していた(日本テレビ「ZIP!」内ドラマ)「泳げ!ニシキゴイ」と同じチームが手がけるみたいです。
──トンツカタン森本さんやヒコロヒーさんも出演されます(参考記事:ヒコロヒー&トンツカタン森本が日テレ連ドラ出演、同い年なのに親子役)。
飯塚 若干、おもしろキャスティング感はありますよね。山里さん役がSixTONESの“森本慎太郎”さんで、そのお兄さん役がトンツカタン“森本晋太郎”くん。間違い探しみたいになってる。
井口 ふざけてるなー。
飯塚 森本くんはフワちゃんのバーターから森本(慎太郎)さんのバーターっていう、新しい食い扶持を見つけた感がある(笑)。
井口 渡り歩いてますね(笑)。
飯塚 でも、(ビート)たけしさんみたいなレジェンドならともかく、現役バリバリの中堅芸人の話がこうやって連ドラになるって、この連載でもたびたび言っていた「芸人大ドキュメンタリー時代(byニューヨーク)」の新しいフェーズに入ってる気がする。
井口 僕らもいろいろな番組で再現ドラマが放送されて、ちょっとした感動を呼んでいるみたいでしたけど、芸人のドラマって視聴者が感情を乗せやすいんでしょうね。「売れてない」から「売れる」が明確ですし。
飯塚 やっぱりまだ“芸人”がフリになっているんだと思う。「芸人さんってこんなに一生懸命考えてるんだ!」って。
井口 そうなんですよ。だって、めちゃくちゃ僕のことを嫌いだった人が「金スマ」(TBS)での再現VTRを観て「好きになった」とか言うんですよ。
飯塚 出だしは嫌われていたほうがいいのかもしれないね。ちょっとしたいい話で印象がひっくり返るから。
井口 僕は「M-1」でかなり嫌われたんで、そこからはよくなる一方であってほしいです。
「ブラッシュアップライフ」すごい面白い
飯塚 お笑いの話題と言っていいかわからないんですけど、ドラマ「ブラッシュアップライフ」(日本テレビ)がすごい面白いです。
──バカリズムさん脚本で、バカリズムさんやココリコ田中さん、ドランクドラゴン塚地さんも出演されているのでお笑いの話題としましょう。
飯塚 なんらかの賞とかも絶対獲るはずだし、脚本家バカリズムの代表作と言えるんじゃないかなと思っているんですけど、観ていると申し訳ない気分になってくる部分もあって。
井口 申し訳ない?
飯塚 バカリズムさんとは「家事ヤロウ!!!」(テレビ朝日)でご一緒していているんだけど、こんな面白いドラマを書きながら「家事ヤロウ」のロケも1日かけてやって、Twitter見たら「単独まであと1カ月」と言っていて……。自分ももっとがんばんなきゃダメだなって思わされる。勝手に勇気づけられるというか、発破かけられてる気分になる。しかもバカリズムさん、この春「私のバカせまい史」(フジテレビ)のレギュラー化も決まっていて、仕事ぶりがすごすぎて誰も正しく褒められていないと思う(参考記事:バカリズムMC「私のバカせまい史」レギュラー化「未知の領域です」)。
M-1ツアーのお散歩ツイート
──ここからくるまさんが参加します。
くるま よろしくお願いします!
井口 この連載は読んだことあるの?
くるま ないです。
飯塚 話が来て、「1回くらい読んでおこう」は?
くるま 「1回くらい読んでおこう」も、してないです。
井口 読めよ!(笑)
飯塚 あはははは(笑)。くるまさんとはたまたま一昨日、食事の席で一緒になったので初めましてではないんですよね。
──井口さんとくるまさんはどのくらいのご関係なんですか?
井口 令和ロマンはデビュー直後くらいからK-PROライブに出ていたので、けっこう一緒になっていました。
くるま 井口さんって1年目とかにも等しくしゃべってくれるマジで珍しい人なんですよ。普通は同世代でしゃべるじゃないですか。井口さんは最初から「学生お笑いってどうなの? どんなのがいるの?」って話しかけてきて。全方位に関心を持っているんです。
飯塚 くるまさんは1年目の頃から意図的によしもと以外のライブに出ようとしていたんですか?
くるま 僕は生まれがK-PROといいますか、もともと学生お笑いでK-PROに出ていたので、その流れで自然とですね。むしろホームという感じです。
井口 なので令和ロマンとかナイチンゲールダンスは昔から知っています。最近のK-PROライブにはよしもとの芸人は出ていないんですけど、くるまは「出たほうがいい」ってずっと言っているんですよ。
くるま 井口さんにはずっと「大学お笑い歴を芸歴に入れるべき」という理論を展開していただいてます。
井口 で、僕らのフリー期間は入れないから、ほぼほぼ同期だって言い張ってますね(笑)。
くるま この話、もともと仕上がっていたんですけど、M-1ツアーの各会場でするからさらに完成度が増していて。井口さんの芸歴漫談(笑)。
飯塚 芸人さんたちのM-1ツアーのツイート、めちゃくちゃ楽しそうだなって思いながら見てます。
井口 M-1ツアーはご賞美みたいなものですね。2月からはちょこちょこ営業に行くようになってきていて、朝がしんどいにせよ、基本的には合間に収録とかもないし、芸人に会えるので本当に楽しくて。M-1ツアーは1年中やっててほしい。ほかの営業はサンドウィッチマンさんとか、ナイツさん、東京03さんとか先輩がいて、もちろんみなさんめちゃくちゃ優しいけど、M-1ツアーは先輩がいないから気が楽なんです。出番が終わったら何もないですし、とにかく最高。ただ、僕らが大トリなので、毎回終わったら誰も残っててくれないんですよ。それは本当にやめてほしい。
くるま 井口さん、これを毎回本気で愚痴ってるんですけど、ついにネタの中で言ってました。
飯塚 あはははは(笑)。「じゃあ待たなくていっか」って思いますよね。ネタにしてるなら。
井口 この前も無理やり合間にくるまとかとラーメンを食べに行ったんですけど、信じられないくらい話しかけてくる店主で。
くるま しゃべるというか、来たことのある芸人の名前をただ羅列していくっていう(笑)。
飯塚 Twitterで流れてくる写真を見ていると「この人とこの人、仲いいんだ!」とか、うれしくなる。
井口 みんなで散歩に行っている写真は人気ですよね。
くるま 普段あんまり社交的じゃない芸人もみんなで出かけて写真を撮るんですよ。M-1ツアーマジックで。
井口 地方だしね。気分も高揚しているし。僕もからし蓮根の伊織とか、カベポスター永見くんとか、M-1ツアーでしかしゃべらない人たちと行きました。
くるま 身長差ある人たちと行くなあ(笑)。
東京のよしもと劇場、大転換期
飯塚 くるまさんに聞いてみたいのは、大阪のよしもと漫才劇場からこの春、6組上京してくるじゃないですか(参考記事:ロコディ、シカゴ実業、ニッ社、マユリカ、マルセイユ、紅しょうががマンゲキ卒業発表)。それについて東京の芸人さんはどう思っているんですか?
くるま 「2月のお笑い」で言うとそれが一番デカいです。衝撃的でしたね。ここまで集団で来ることは今までなかったので。僕はライブシーンの大転換点になると思っています。まず単純に、上京組がどの劇場の所属になるかわからないという問題があって、ヨシモト∞ホールの芸人たちが戦慄しているんですよ。ムゲンダイの所属になってバトルに参加するんじゃないかと。今のシステムだと2カ月に1回、1組だけ一番上のランクに上がれるんですが、もし全組がムゲンダイ所属になったらもともとムゲンダイにいた芸人が約1年間、誰も上がれなくなるかもしれない。
飯塚 なるほど。
くるま あと、今って出演する劇場が固定されていないので、1劇場あたりの芸人があふれてきているんです。春には工事でルミネtheよしもとが一時的に閉まりますし(参考記事:ルミネtheよしもとが4月から5月まで休館、都内別会場で出張版ライブ開催)、いよいよ劇場関係なくなるなという危機感はありますね。「ここにいたら安泰」みたいな場所がない。全部の劇場の枠を争う事態になってきています。神保町よしもと漫才劇場も、前は好きなだけライブを打てましたけど、みんなが台頭してきているから月に1本、単独ライブだけしかできないような状態になっていて。
井口 よしもとはライブで食える道があるから、それが絶たれる怖さはあるね。
くるま 今リアルにそれが迫ってきていますね。自分で出稼ぎしないといけない。逆に大阪は枠がスカスカなわけじゃないですか。ニューヨークさんとかオズワルドさんはめっちゃ大阪の劇場に出ていますけど、売れないと大阪にも行けないわけで。もしかしたら、これによって最近停滞気味になっているネタのレベルが上がるかもしれないです。
飯塚 「M-1」とか「キングオブコント」とか、近年は「レベルが高い」とよく言われている気がしますけど、くるまさん的には今は停滞しているんですか?
くるま 「M-1」に関しては停滞していると思うんです。
井口 くるまはずっと言っているよね。2年連続よしもと以外が優勝したのもあるし、ファイナリストもよしもと以外の割合が増えてきてる。だからK-PROとも交流したほうがいいって。よしもとの人は知らないんですよ、外の若手を。だから「そのスタイルもういるよ?」みたいなことになっているらしくて。
くるま K-PROのライブを見ていても思います、「同じボケやってる人いるよ!」って。「M-1」でいきなりかち合っちゃうんです。それが一番悲しいじゃないですか。1年かけて仕上げて、ネタかぶるって。
飯塚 磨いて磨いて、かぶるのはつらいですね(笑)。
井口 僕からしたら「よしもと芸人の東京進出」は、「どうでもいいよ!」と言うとウケるから、しばらく言い続けたいです。「ダイヤモンドno寄席」(※)に出ている奴に文句言うのと同じ手法で。
くるま 当事者に言わないでくださいよ!(笑) 馴染めてないけどはしゃいんでるんですから。一緒にはしゃがないとダサいのかなと思って。
※編集部注:2023年の「ダイヤモンドno寄席」には、令和ロマン、Aマッソ、真空ジェシカ、ママタルトが出演。その際に繰り広げられたノリから別名「ちゃんぴおんずno寄席」と呼ばれ、井口はM-1ツアーでそのノリに対する文句を言っている。
井口 逆に言うと、そのカウンターが効くくらいそっちがメインになっているんだよね。M-1ツアーも、お客さん2000人のうち1950人くらいはよしもとのファン。いないんだから、僕らのファンなんか。みんなよしもと芸人のステッカーと写真撮ってる。
くるま ステッカーが出てないからですよ、タイタンの。
井口 誰が買うんだよ(笑)。「ダイヤモンドno寄席」の悪口で2000人が大爆笑するんだから、よしもとのすごさをまざまざと感じる。
飯塚 「ダイヤモンドno寄席」とか、真空ジェシカの「まーごめ」のノリとかをわかっていないとダサくて、それをテレビでオンエアすると「攻めてる」と評価される風潮があるよね。ちょっとでも水を差そうもんならしらけるから、そのノリがわからないおじさん芸人もわかっているフリをしないといけない。
くるま ギャングみたいになってますよね、お笑いファンが。ヒップホップとかの感じで「これ知ってるのいいね」っていう。オタク度が高まっている。普通に、人って減っているじゃないですか。お笑いファンの人数も絶対減っているのに、お笑いファン1人ひとりがめっちゃ強火になることで「お笑いファンは減ってない」という主張をしている気がします。そこにたまたま”配信”という文化が組み合わさって、拡大した感じ。
飯塚 今って大人から子供までみんな楽しめる国民的アニメよりもアニメ好きが喜ぶアニメが増えていますけど、お笑いもそういうふうになっていくんでしょうね。“お笑い好きに深く刺さるお笑い”に流れがきている。その先頭集団には令和ロマンがいるんじゃないですか?
くるま いや、その先頭集団に、指先だけで必死に捕まっているだけですよ(笑)。意味わかってないですから。ちゃんぴおんずをみんなでやるノリとか。僕はまだ心から「ダイヤモンドno寄席」を楽しめていないんです。
井口 それより僕らの世代が大変。ノリもわかんないし、入れてももらえないわけだから。
飯塚 井口くんはそういうノリも「わかんねえよ!」って言えるからいいけど、言えるキャラじゃないおじさん芸人は大変だろうなと思う。
井口 だから僕はもうちょっとためておいて、大事な場面で言ってやろうと思ってます。
くるま 不満をためてる状態なんですね。
井口 (ウエストランドのネタの中で言う)YouTuberと一緒だから。いいタイミングで言えば共感されるんじゃないですか。
テレビに出るのが好きか、お金が欲しいか
飯塚 よしもとかよしもと以外か、の話だと、DMM TVの「インシデンツ」も「大脱出」もよしもと芸人が1人も出ていない。
井口 Netflixの「名アシスト有吉」も出ていませんね。
飯塚 配信の権利とか、きっといろんな事情があるんでしょうけど、こういう分断って進んでいくのかどうか気になっています。テレビって成熟しない間にルールが決まっちゃった部分もあるから、特に若手芸人さんってギャラが安いじゃないですか。配信も広がってきた中で改めて整備しようという流れにはなっていると思うんですけど、今はまだ整いきってない。
くるま 若手はテレビギャラを安いと感じていると思います。よしもとの劇場でライブ打って、満席で配信チケットも500枚くらい売れたときと比べちゃうと。ちゃんと説明しないと「配信(ライブ)でいいや」ってなりかねない。
飯塚 ひと昔前は、テレビは名前を売る場所で、ギャラが安くでも出る。その代わり知名度が上がれば営業だったりCMだったりで稼げるっていう考え方はあったと思うけど、今は状況が変わりつつあるんじゃないですか。これから芸人になる人の中には、テレビに固執しない人も現れてくるだろうし。
井口 「どうなりたいか」だけですけどね。健全かはわからないけど、テレビに出たいなら今はそれでやるしかない。単純にお金が欲しいならテレビに足突っ込まないほうがいいと思いますし。
くるま でも、この先ずっとライブが売れるわけでもないから、難しいですね。若手は対価主義というか、「これくらいもらえるってことは俺はこれくらい評価されているんだ」と考えてしまいがちなんですけど、「それだけじゃないんだよ」とは言いたいです。お笑いをやっている時点でそうじゃないから。
飯塚 「テレビに出るのが好き」「収録の現場が好き」っていう人はいいかもしれないけど。「芸能人が好き」とか。
井口 千鳥のノブさんも言ってましたけど、ミーハーじゃないとやってられない部分はありますね。「M-1」優勝前は特に「あっちでは重宝してくれたけど、こっちではこんな扱いか」という場面が多々あって。「見てる人も違和感あるだろ、絶対!」みたいな。そういうストレスはとんでもないので。
飯塚 テレビマンが「このコーナーに若手をちょっと呼んでネタやって帰ってもらおう」みたいに言うことがあるんだけど、僕からすると「その芸人さんけっこう人気だけどな」と思ったり。「そんなちょい役で本人もおいしいと思うかな?」とか、「ファンが見たら『この番組、こんな雑な扱いするんだ』って思わないかな?」とか心配になる。まだ「テレビだから呼べば来るだろう」と思っている人もいるんだろうなと。
くるま でも、ちょい役だとしても意外とお客さんはそうは思っていなかったりしますよ。テレビに出ること自体に大騒ぎしてくれます。テレビを観ていない若い人にとってテレビは距離の遠いものになっていて、だからこそ「とんでもないステージに映っててすごい!」となるんだと思います。
「THE SECOND」の32組
飯塚 くるまさんは「THE SECOND」に出ている芸人さんを見ていた世代なんですか?
くるま 僕はちっちゃい頃はお笑いを見ていなくて、お笑いをやり始めてからお笑い好きになったのでリアルタイムでは見ていないです。
井口 新「M-1」からしか詳しくないもんな。
くるま あんまりそんな奴いないんですけど(笑)。旧「M-1」はクイズ用に知っているという感じです。
井口 「THE SECOND」に出場しているのは「THE MANZAI」世代だからね。三日月マンハッタンの仲嶺さんが(予選通過して)一番喜んでましたよ。
くるま 一昨日、飯塚さんにお会いした席に仲嶺さんもいらっしゃって。ずっと「SECONDだよ。俺、THE SECONDだよ」って言ってました。
飯塚 “2(=SECOND)キャラ”を仕上げようとしてた。いろんなことを2にして言うっていう。
くるま それが別に全然うまくないんですよ、乾杯のことを「カンパ2(ニ)」とか言うだけなんで。
井口 つまんないなあ!(笑)
くるま 昨日生配信されていたノックアウトステージの抽選会では、三日月マンハッタンさんが「派手なところと戦って散りたい」と言ってツーナッカンさんと当たっていたのがめちゃくちゃ盛り上がってました。このブロックだけ渋すぎる(笑)。でも、ツーナッカンさんめちゃくちゃ面白いんだよなあ。
飯塚 僕は「M-1」ラストイヤー後にタモンズを好きになって、密かに応援してたんですけど、三四郎と当たっちゃった。三四郎にもがんばってほしいから、我々としては。
井口 前回の「M-1」でモグライダーが決勝に行き、今回は僕らが優勝させてもらって、(三四郎も)思うところはあったと思います。開催が発表された瞬間に「出る」と言っていましたから。そこから急激に面白くなったというか、もちろん今までも面白かったんですけど、バチバチやってた頃の三四郎に戻ってきた感じ。ネタ見た瞬間に100%(ノックアウトステージまで)残ると思いました。
飯塚 「出なくてもいいんじゃないか」って意見もあったと言っていたけど、本人たち的にはもちろん出るという気持ちだったみたいだね。
井口 ただこのブロック、めちゃくちゃ激戦じゃないですか! 流れ星☆、プラス・マイナス、タモンズ、三四郎って。
くるま 後輩が言うのもおこがましいですけど、プラス・マイナスさん、もうひと進化しそうなんです。関係性がわけわかんないことになっていて。でも、やっぱりこの中だと囲碁将棋さんが正直、頭一つ抜けてると思います。
飯塚 もちろんネタはずっと面白いし、ラジオが注目されていたり、根建さんのキャラクターがドッキリとかで浸透し始めていたり、いろんな面からキテる感じがしますしね。そういうのも追い風になると思う。
くるま 囲碁将棋さんって寄席でも”寄席のネタ”やらないんですよ。万人にウケるネタをしない。尖っているわけじゃなくて、それしかできないからこそ、6分ネタ(※)の筋肉はムキムキになっていると思います。
※編集部注:「THE SECOND」は予選・トーナメントラウンド共にネタ時間6分以内。
飯塚 開催が発表されたときは「大丈夫な大会なの?」と思ったお笑いファンもいると思うけど、こうやって32組が並でいるのを見たらすごい楽しみになったと思う。
井口 なんでこんなに楽しみなんだろうと思ったら、もう自分が出なくていいからなんですよね。これにまた来年から出なきゃいけないと思ったら地獄ですけど。
くるま 「M-1」と「THE SECOND」いっぺんに卒業したのウエストランドさんだけですよ! 一番気持ちいい抜け方。
「R-1」漢字の人が優勝したら平場終わる
井口 「R-1」はこの記事が出る頃には優勝者が決まっているんですよね(参考記事:田津原理音が「R-1グランプリ2023」優勝)。
飯塚 くるまさんは「R-1」出ていましたか?
くるま 出てました。全身タイツのリズムネタして、追加合格で準々決勝出て、落ちました。全身タイツのリズムネタは通すか落とすかにしてくれ。なんで1回揉んだんだ……。
井口 決勝はどう見ているの?
くるま 話題になっているのは田津原理音さん。ネタは一番しっかり2本仕上がっていて、めちゃくちゃ面白いんですけど、「平場弱すぎる問題」が大阪で会議になっていて(笑)。
飯塚 あはははは(笑)。
くるま 「世界で一番平場が弱い」と言われていて、決勝進出者発表会見でもあのアインシュタインゆずるさんを凍結させてましたから(参考記事:10年目のサツマカワRPG、R-1会見でラストイヤー制度の撤廃を直訴)。ビスケットブラザーズの原田さんが本気で心配して、普通、ファイナリストになるとネタを叩くライブを緊急で入れてもらうじゃないですか。そうじゃなくて、平場を叩くライブを入れたほうがいいということで、自分が出ないライブの“平場の出番”を入れてもらって特訓させられているんですよ。
井口 そんなことあるんだ(笑)。僕らは「R-1」の直後の「ENGEIグランドスラム」に出させてもらうんですけど、トップバッターで「R-1」とのつなぎの絡みもあるらしいんですよ。ただ営業からの飛び込みだから「R-1」がどうだったか見られなくて、田津原理音だったら終わります(笑)。一番優勝してほしくない。あと寺田寛明もめちゃくちゃウケたって聞いたけど、漢字の名前の人には優勝してほしくないです。
くるま 漢字の名前の人って呼ばないでくださいよ(笑)。
井口 漢字の人とはキツいでしょ、絡みが。それにお見送り芸人しんいちもいるんだから。大変だぞ。
くるま そうか。今年の優勝者はしんいちさんとセットで戦わなきゃいけないのか。理音さんや寺田さんとしんいちさんの地獄みたいな絡みも見てみたいですけど(笑)。でも、「R-1」に夢があるかどうかで盛り上がっているのは本当に井口さんのおかげですよ。
井口 嫌だよもう。優勝者が決まって「夢はありましたか?」とか聞かれても困るから、(コンビで実績を残している)永見くんとかコットンきょんが勝って、「お前が勝ったらどうしようもねえじゃねえかよ!」っていうお茶の濁し方にしたい。
「ナベンジャーズ 泣いた」で検索
飯塚 「NAVENGERS」(ナベンジャーズ)は観ました? けっこう話題にもなっていたみたいですけど。
編集部注:ワタナベエンターテインメント所属のファイヤーサンダー、Gパンパンダ、金の国、ゼンモンキーによるユニットコントライブ。1月末に行った第2回公演は好評で2月中旬まで配信延長されていた。
くるま 観ました。こういうユニットコントの配信が売れて、みんなに還元できたらいよいよすごい世界ですよね。東京03さんのようにコントで食べていくってことを仲間内でやれたらすごい。コント師は特に「売れたい」と言うより「コントがやりたい」って気持ちが強いと思うんですけど、それが叶う時代になってきたというか。
飯塚 面白くてクオリティの高いユニットコントってこれまでもいくつかありましたけど、それがコント番組になったりするのはレアケースで、演者とお客さんの素敵な思い出にはなるけど、ビジネスになりきっていなかったと思う。でも今は配信があるから、それだけで成立する光も見えてきた。よしもと以外の事務所で、人気、実力ともに拮抗している4組のコント師がお互い高めあってコントライブをやってる状況って、かなり珍しいですよね。
くるま ワタナベの中で結束しているのは感じますね。よしもと以外の人たちは事務所ライブっていうホームがあんまりないから、それを芸人たちが自力で構築しだしたなと。
井口 タイタンでやろうと思ってもできないからね。人がいないし。一応、「ナベンジャーズ 泣いた」とかで調べてみたんだよ。やってんじゃないかなと思って。“感動”みたいなことやってそうだったから。
くるま あはははは(笑)。でも僕も、眩しすぎて泣いちゃいました。うらやましくて。なんてキラキラしてるんだろうって。
井口 青春なんだろうね。だから、僕が嫌い系ですよね。
くるま 僕が嫌い系(笑)。
誰か褒めてよ
──そろそろお時間ですが、言い残したことはありませんか?
井口 これからオンエアになると思うんですけど、「あるなしクイズ」ネタをいろんなところで作って披露しているので、それはぜひ観てほしいです。すごい気軽にお願いされるんですよ。簡単に作れると思われているのか。
くるま ミルクボーイさんのときくらいのありがたみを感じてほしいですね(笑)。
飯塚 絶対ミルクボーイより簡単に作れそうだと思われてる(笑)。
井口 しかも全然褒められないし。なんで僕だけ褒められないの? 「ラヴィット!」(TBS)の温泉ロケでも、めちゃくちゃがんばったのに全然放送されてなくて。放送しない面白さとか、知らないんだよ! 放送しろよ! (ロケに一緒に行った)アルコ&ピースさんはスタジオにも出てたけど、こっちは出てないんだから。
くるま 「ラヴィット」は恐ろしいです。1回出ただけですけど怖かったです。それこそ、テレビに出ていなかった人たちの溜まってたエネルギーが大爆発しているじゃないですか。ミーハー大爆発番組。あと、ファンも怖いんですよね。
井口 「ラヴィット」ファンは、「ラヴィット」をみんなが好きだと思い込んでるからね。「出演おめでとうございます!」って、何がめでたいんだよ。「ダウンタウンDX」(読売テレビ)に出るほうがめでたいだろ!
くるま (笑)。その感じが強くなりすぎて、僕らはコットン西村さんの紹介で出させてもらったんですけど、僕がニューヨークさんと近い関係だから「ニューヨークの曜日じゃないのはなんで!?」と言う人もいて。「なんで西村さんが呼んだの? 屋敷さんが呼ぶに決まってるでしょ」みたいな。
飯塚 本当にそんな人って存在するんですか?
くるま Twitterではある程度確認しました。
井口 もう怖いよ。あの時間にテレビ観てツイートしてる奴、誰なんだよ。
くるま でも「ラヴィット」のおかげで早起きできるようになった人はいっぱいいますからね。ヤーレンズの楢原さんとか。
井口 ヤーレンズはもっと取り上げてほしい。あれだけ毎日ツイートしてるんだから。
──ではこのへんでお開きです。
くるま ダイノジさんが福岡に移籍する話はしなくていいですか?(参考記事:ダイノジ、福岡よしもとに移籍「残りの芸人人生、九州のために」)
飯塚 ああー。でも、博多華丸・大吉さんもよくおっしゃいますよね。いつかは福岡に戻りたいって。
井口 東京に来ている大阪芸人も「いつか大阪で」とか言いますね。戻る道があるならいいですけど。僕は戻りようもないし、戻りたくもない。地元になんて。
くるま 戻りたくもない(笑)。
井口 東京が一番いいんだから。
井口浩之(イグチヒロユキ)
1983年5月6日生まれ、岡山県出身。2008年、河本太(コウモトフトシ)とウエストランドを結成。2013年4月に「笑っていいとも!」(フジテレビ)のレギュラーに抜擢され、最終回まで不定期で出演した。2012年、2013年に「THE MANZAI」認定漫才師、2020年に「M-1グランプリ」ファイナリストとなる。2022年、「M-1グランプリ」優勝! チャンピオンとして大忙しの日々を送っている。ラジオ形式の番組「ウエストランドのぶちラジ!」をYouTubeなどで配信中。タイタン所属。
飯塚大悟(イイヅカダイゴ)
1982年4月13日生まれ、新潟県出身。テレビ、ラジオの構成作家。現在の担当番組は「ヒルナンデス!」(日本テレビ)、「サンドウィッチマン&芦田愛菜の博士ちゃん」(テレビ朝日)、「水曜日のダウンタウン」(TBS)、「トークィーンズ」(フジテレビ)、「オードリーのオールナイトニッポン」(ニッポン放送)など。「ヤギと大悟」(テレビ東京)は4月からレギュラー化されることが決定している。書籍「深解釈 オールナイトニッポン~10人の放送作家から読み解くラジオの今~」(扶桑社)。
高比良くるま(タカヒラクルマ)
1994年9月3日生まれ、東京都出身。慶應義塾大学在学時、お笑いサークル「お笑い道場O-keis」の先輩だった松井ケムリと「魔人無骨」を結成。2017年、NSC東京校(23期生)に入学。「NSC大ライブ」で優勝し、首席となった。芸歴1年目で当時のヨシモト∞ホールのランキングシステムにおいて最上位のファーストクラスメンバーに昇格したことも。2019年4月に「令和ロマン」に改名した。「M-1グランプリ2022」敗者復活戦では2位に。stand.fmで「令和ロマンのご様子」配信中。吉本興業所属。
※高比良くるまの「高」ははしご高が正式表記。