アクション、プロポーズ、牛の暴走…鈴木拡樹らが「SPY×FAMILY」の名シーン再現
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ミュージカル「SPY×FAMILY」より。(製作:東宝)(c)遠藤達哉/集英社
ミュージカル「SPY×FAMILY」が3月8日より東京・帝国劇場で上演されている。ステージナタリーでは、同日に行われたゲネプロの様子をレポートする。
本作は、遠藤達哉によるマンガ「SPY×FAMILY」(集英社)の、初のミュージカル版。劇中では、〈黄昏〉のコードネームを持つスパイの男ロイド・フォージャー(森崎ウィン、鈴木拡樹)、殺し屋の女ヨル・フォージャー(唯月ふうか、佐々木美玲)、超能力者の少女アーニャ(池村碧彩、井澤美遥、福地美晴、増田梨沙)が、お互いの正体を隠しながら“仮初めの家族”になる物語が描かれる。なお3月8日のゲネプロではロイド役を鈴木、ヨル役を唯月、アーニャ役を増田、そしてヨルの弟ユーリ役を瀧澤翼が務めた。
今回のミュージカル版では、ロイドがアーニャ、ヨルと出会って“仮初めの家族”となり、アーニャを名門イーデン校に入学させるために奮闘する様子が描かれる。舞台にはフォージャー家が暮らす東国〈オスタニア〉の街並みをイメージした建物や、イーデン校の重厚感ある佇まいを表す階段などが組まれた。舞台中央の細長いLEDディスプレイにはナレーションやセリフ、モノローグが映し出され、これによってロイドと同僚がスパイにしかわからない言語でやり取りする場面や、アーニャが超能力で相手の本心を読み取るさまなどが表現された。
劇中では、かみむら周平が手がけたジャズ調のスタイリッシュな楽曲群に乗せて、物語がスピーディに展開。ロイドが手投げ弾のピンを指輪に見立ててヨルの薬指にはめながらプロポーズするシーンや、面接のためにイーデン校を訪れたフォージャー家の面々が暴走する牛と対峙するシーン、また入学試験を終えたアーニャへのご褒美のため、ロイドたちが城を借り切って全力でごっこ遊びをするシーンなど、原作の名場面がちりばめられている。
本作の主要な登場人物たちの多くは、人に言えない秘密を抱えて暮らしている。キャストたちは、そんなキャラクターたちが秘密を隠し通しながら、各々の目的を達成しようとする姿を生き生きと演じた。
“子供が泣かない世界”を目指して暗躍するロイドは、スパイとして冷徹に振る舞おうとしながらも、アーニャやヨルとの出会いによって人間味が増していく。鈴木はキレのあるアクションでロイドの強さを体現しつつ、ときに柔らかくなる表情や態度から彼の心情の変化をのぞかせた。唯月は戦闘シーンで鋭い突きや蹴りを次々に繰り出して、殺し屋としてのヨルを具現化。その一方で唯月は、鈴木や増田とテンポの良い掛け合いを繰り広げ、ヨルの天然ボケな一面をかわいらしく描き出した。
アーニャ役の増田は、澄んだ歌声と軽やかなダンスを披露しながら、原作でもおなじみの「ちちー!」「ははー!」「おでけけ おでけけ」といったセリフを聞かせる。疲れてソファで横になったロイドの隣に、アーニャがコロンと丸くなって眠る場面では、その愛らしさで観客を魅了した。
またイーデン校の教師ヘンリー・ヘンダーソン役の鈴木壮麻が見せる、威厳がありながらもどこかコミカルで“エレガント”な演技や、ロイドの上司シルヴィア・シャーウッド役の朝夏まなとによるスタイリッシュなパフォーマンスにもぜひ注目しよう。
上演時間は休憩を含む約2時間55分を予定。本作の東京公演は3月29日まで行われ、その後は4月11日から16日まで兵庫・兵庫県立芸術文化センター KOBELCO 大ホール、5月3日から21日まで福岡・博多座でも上演される。
ミュージカル「SPY×FAMILY」
2023年3月8日(水)~29日(水)
東京都 帝国劇場
2023年4月11日(火)~16日(日)
兵庫県 兵庫県立芸術文化センター KOBELCO 大ホール
2023年5月3日(水・祝)~21日(日)
福岡県 博多座
原作:遠藤達哉(集英社「少年ジャンプ+」連載)
脚本・作詞・演出:G2
作曲・編曲・音楽監督:かみむら周平
キャスト
ロイド・フォージャー:森崎ウィン、鈴木拡樹
ヨル・フォージャー:唯月ふうか、佐々木美玲(日向坂46)
アーニャ・フォージャー:池村碧彩、井澤美遥、福地美晴、増田梨沙
ユーリ・ブライア:岡宮来夢、瀧澤翼(円神)
フィオナ・フロスト:山口乃々華
フランキー・フランクリン:木内健人
ヘンリー・ヘンダーソン:鈴木壮麻
シルヴィア・シャーウッド:朝夏まなと
ドミニクほか:楢木和也
新井海人、大津裕哉、小倉優佳、鎌田誠樹、栗山絵美、桑原柊、柴田実奈、島田彩、丹宗立峰、堤梨菜、般若愛実、深掘景介、福田えり、藤岡義樹、湊陽奈、宮野怜雄奈、元榮菜摘、山野靖博、ユーリック武蔵、LEI'OH
ロイドの幼少期:齋藤詠真、米本吉之介
男子児童:大澤空翔、齋藤潤