フレンズ、誰もが楽しめる親近感たっぷりのステージング 大充実のTDCホール公演を見て
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2018年4月に日比谷野外音楽堂でワンマンライブを開催。8月に1stフルアルバム『コン・パーチ!』をリリースするなど、順調な活動を続けているフレンズが11月29日、全国ツアー『~コン・パーチ!Release Tour~ シチュエーション・コメディ season3』の最終公演をTOKYO DOME CITY HALLで行った。9月30日に予定されていたこの公演は(もともとはツアー初日公演でした)台風の影響で延期され、2カ月後のこの日の開催に。会場を埋め尽くす観客の前で5人は、優れたポップネスに溢れた楽曲をたっぷりと披露し、まさにフレンドリーな雰囲気のステージを展開した。
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「“ツアー初日”、最高の1日にしようね!」(おかもとえみ/Vo)という声に導かれたオープニングナンバーは、アルバム『コン・パーチ!』の1曲目に収録された「常夏ヴァカンス」。切なさ混じりのラテン系サウンドとともに、おかもと、ひろせひろせ、三浦太郎(Gt&Vo)のボーカルが呼応し、観客もハンドクラップで応える。さらに「NO BITTER LIFE」ではコール&レスポンスが生まれ、グルーヴィーなポップチューン「コン・パーチ!」ではフロアがダンスフロアに変貌。オーディエンスをどんどん巻き込んでいく、フレンズらしいステージが冒頭から体現されていた。
ライブ中盤では、このバンドらしいサービス精神、エンターテインメント性に満ちた演出も。まずステージ後方にジャングルの映像が映され、サルの着ぐるみを着たダンサー(?)4人が登場。メンバーをひとりひとり大きな葉っぱで扇いで退場させた後、三浦がひとりでステージに戻って「元気D.C.T~憧れのマチュピチュ~」へ。曲の途中で挿入される「太郎さん、100円貸して」(長島涼平/Ba)「いいよ! …あれ、財布がない!」(三浦)といったセリフのやりとりもステージ上でそのまま再現し、観客の笑いを誘う。さらに「fisherman」ではメンバーが魚の被り物でパフォーマンスし、「またねFOREVER」では“おかもとえみコーラス隊”という女性のマネキン(髪型も衣装もおかもとと同じ)が置かれて、まるでコーラスグループのようなスタイルに。ほとんど寸劇のようなステージだが、このユルい雰囲気もまた、フレンズのライブの魅力だ。
ほんわかとハッピーな空気を一変させたのは、「シルエット」だった。おかもとえみの作詞・作曲によるこの曲は、〈忘れられない恋のエピソード/永遠に続いてほしかったよ〉という哀切なフレーズがじんわりと胸に沁みるバラードナンバー。シリアスな感情をたっぷりと込めた歌声は、彼女のシンガーとしての奥深い魅力を改めて証明していた。鍵盤とボーカルだけのシンプルなアレンジも、この曲の切なさを際立たせていたと思う。
MCでは「みなさん、どこから来たんですか?」からはじまり、ツアーの思い出(福岡に前ノリして、メンバーみんなで『ボヘミアン・ラプソディ』を観た)など、約10分に渡ってゆったりトーク。この気の置けないムードもまた、フレンズの親近感につながっているのだろう。
「なんでこんなにグダグダしゃべってるかというと、ここから後半ラストスパートだから。バーン! とはじめたいので、ふだん叫ばない人に叫んでもらいましょう」(ひろせひろせ)という流れから、「Hello New Me!」へ。さらにヒップホップを取り入れたダンスチューン「Love,ya!」、心地よい疾走感に溢れたポップナンバー「オールタイムラブ!」、揃いの振り付けで盛り上がった「塩と砂糖」も。センスと技術を併せ持ったメンバーたちによる質の高いバンドサウンド、そして、おかもと、ひろせ、三浦の個性的なボーカルも素晴らしい。
「無事に振替公演ができて、本当に嬉しいです! 私はみんなを引き連れて東京ドームに行きたい。みなさんが楽しくなれるように歌い続けて、演奏し続けるから、これからもよろしくお願いします。まずは、みなさんの明日がすごくハッピーになりますように」(おかもと)という言葉に導かれたのは、「ベッドサイドミュージック」。フレンズ結成のきっかけとなった楽曲がゆったりと広がるなか、本編は終了した。
切ない手触りのバラードナンバー「DON’T STOP」からはじまったアンコールも、楽しさいっぱい。三浦の物販紹介コーナー(ひろせとの掛け合いが絶妙でめちゃ笑いました)を挟み、「夜にダンス」「ビビビ」というダンサブルなナンバーを連発、ライブのエンディングを心地よい高揚感で染め上げた。
90年代のJ-POP、ヒップホップ、ギターロック、ファンクなどを自然に融合させた楽曲、プレイヤーの個性を活かしアンサンブル、そして(音楽の趣味に関係なく)誰もが楽しめる親近感たっぷりのステージング。ライブの最中はもちろん、1週間後、半年後、1年後に思い出したときに“楽しかったな”という実感が蘇ってくるであろう、豊かで温かい空間が確かにそこにあった。ライブ中に何度も話していた通り、フレンズの目標は東京ドームのワンマンライブ。まだまだ先は長いが、5人は大きな目標に向かって確実に歩みを進めている――そんな手応えがはっきり伝わってくる大充実のライブだった。(森朋之)