「ドライブ・マイ・カー」アジア・フィルム・アワードで最多3冠!宮沢氷魚、是枝裕和も受賞
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最優秀作品賞を受賞した「ドライブ・マイ・カー」のキャストとスタッフ。
第16回アジア・フィルム・アワードの授賞式が香港・香港故宮文化博物館で現地時間3月12日に行われ、「ドライブ・マイ・カー」が最優秀作品賞、「ベイビー・ブローカー」の是枝裕和が最優秀監督賞、「エゴイスト」の宮沢氷魚が最優秀助演男優賞に輝いた。
アジア・フィルム・アワードはアジア映画を対象とする映画賞。東京国際映画祭が主催の1団体として名を連ねる。16回目の今回は、チャン・イーモウが審査員長を務めた。
最優秀作品賞に「ドライブ・マイ・カー」が選ばれると、監督の濱口竜介は授賞式に参加しているスタッフ・キャスト全員を舞台上に呼び込む。濱口は「特にこの場で讃えたいのはキャストです。皆さんが本当に信じられるような感情をスクリーンの中で見せてくれた。俳優が本当に何かを感じているから、観客も何かを感じることができるんだ、というシンプルな原則を私は信じています」と真摯に言葉を紡いだ。同作からは石橋英子が最優秀音楽賞、山崎梓が最優秀編集賞を受賞。石橋は「素晴らしい作曲家たちの中にいられることに感謝しています」、山崎は「この映画がたくさんの国で上映されていることを実感して、とても誇らしい気持ちになっています」と喜びを語った。
主演男優賞にノミネートされていた西島秀俊は受賞を逃したものの、記者会見の際に司会者から「(最優秀主演男優賞を獲得した)トニー・レオンが『西島さんの演技も見ていたので自信がなかった』と言っていました」と聞かされると西島は「本当ですか!」と声を張る。彼は「トニー・レオンさんの演技を見て育ったので会場でご一緒できるだけで光栄でした」と感慨深げに述べた。
最優秀助演男優賞を獲得した宮沢は主演の鈴木亮平、監督の松永大司と笑顔で抱き合ったのち、ステージに登壇。宮沢は「この映画は新しい人生の形、人との接し方など、さまざまな扉を開いてくれると信じています」と英語でコメントし、客席で涙を流す鈴木と松永に感謝を伝える。続けて「この映画には、人々に手を差し伸べるきっかけとその力があると信じています。またここに戻ってくることを楽しみにしています」と話した。
当日レッドカーペットを歩いた参加者から選ばれるAFA X STI ベスト・ドレッサー・アワードには阿部寛が選ばれ、受賞が決まっていたExcellence in Asian Cinema Awardと合わせて2つのトロフィーを手にした。阿部は「多くの国で、多くの才能ある人たちと共演してきたことは、素晴らしい冒険でした。その中でも香港は特に私の心に残っています」とこれまでの仕事を振り返り「私の旅を支えてくれたすべての人にお礼を言いたいです」とスピーチを締めくくった。
最優秀監督賞の是枝は「すみません、まったく想像していなかったんで何も考えていなかったです。ベストドレッサーだったらスピーチを考えてたんですけど」と阿部の受賞に触れて会場に笑いを起こす。彼は「これからもこういう国際共同制作のような、文化や言語を超えた映画作りを続けていけという激励だと思いますので、がんばっていきたいと思います」と力強く宣言した。
なお「別れる決心」が最優秀主演女優賞、最優秀脚本賞、最優秀美術賞を獲得し「ドライブ・マイ・カー」と同数で最多受賞となった。そのほかの結果は下記の通り。
第16回アジア・フィルム・アワード 受賞結果
最優秀作品賞
「ドライブ・マイ・カー」
最優秀監督賞
是枝裕和「ベイビー・ブローカー」
最優秀新人監督賞
ジグメ・ティンレー「一人と四人」
最優秀主演男優賞
トニー・レオン「Where the Wind Blows」
最優秀主演女優賞
タン・ウェイ「別れる決心」
最優秀助演男優賞
宮沢氷魚「エゴイスト」
最優秀助演女優賞
キム・ソジン「非常宣言」
最優秀新人俳優賞
MAK Pui Tung「The Sparring Partner」
最優秀脚本賞
チョン・ソギョン、パク・チャヌク「別れる決心」
最優秀編集賞
山崎梓「ドライブ・マイ・カー」
最優秀撮影賞
リュー・ソンイエ「一人と四人」
最優秀音楽賞
石橋英子「ドライブ・マイ・カー」
最優秀衣装デザイン賞
Karen YIP、ドーラ・ン「アニタ」
最優秀美術賞
リュ・ソンヒ「別れる決心」
最優秀視覚効果賞
Chas CHAU, LEUNG Wai Kit, KWOK Tai「未来戦記」
最優秀音響賞
トゥ・ドゥーチー「アニタ」
Excellence in Asian Cinema Award
阿部寛
特別功労賞
サモ・ハン・キンポー
アジア映画貢献賞
トニー・レオン
AFA Next Generation Award
チ・チャンウク
AFA X STI ベスト・ドレッサー・アワード
阿部寛