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宙組トップ娘役・潤花、退団公演に向けての思い

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宝塚歌劇団宙組のトップコンビ、真風涼帆・潤花の退団公演となる『カジノ・ロワイヤル ~我が名はボンド~』が3月11日、兵庫・宝塚大劇場にて開幕した。イアン・フレミングの小説『007/カジノ・ロワイヤル』をもとに、脚本・演出の小池修一郎が宝塚歌劇版としてアレンジした今作。トップ娘役・潤花が演じるのは、ロマノフ家の末裔のひとりで大学院生のデルフィーヌ。「生きていてとても気持ちいい」という今回の役、そして作品の見どころについて、語ってくれた。

演じる役は「生きていて気持ちのいい女性」

華麗なるカジノを舞台に、密かにめぐらされる陰謀と策略を描いた『カジノ・ロワイヤル』。コードネーム「007」を持つイギリスの秘密情報部員ジェームズ・ボンドに、ル・シッフルと呼ばれるソ連のスパイを倒すよう指令が下される。そんな中、デルフィーヌが相続した財産を狙うル・シッフル。ボンドはデルフィーヌと関わりを持ち始める…。デルフィーヌは原作にはないオリジナルのキャラクターだ。「小池先生の作品には、意思の強い、行動力のある女性が描かれている印象がありますが、今回はより、生きていて気持ちのいいくらい、一生懸命に行動していく女性だと感じています。ロマノフ家の末裔という立場があるからこそ、自分にできることをがむしゃらに頑張っている。こういう女性って素敵だなとすごく思えるお役なので、しっかり作っていきたいです」。

役を作るときは稽古場での真風とのコミュニケーションが大きなカギとなるという。「いつも稽古場では時間があればお話をしてくださいます。今回もかなりの時間を一緒に過ごさせていただいていて、ゆりかさん(真風)からいただくお言葉で、役の道が開けていっています」。役や作品との向き合い方も、真風と出会うことで変化していった。「私もデルフィーヌのように、こうと思ったら突っ走ってしまうところがあるのですが、ゆりかさんと出会ってから、“ただただ頑張っても、見えているところが狭くなっちゃうよ”と教えていただいて、公演ごとに自分の頑張り方を変えていきました。今も変わらずお稽古での濃い時間は必要ですが、周りが見えなくなるほどがむしゃらにというのは、段々となくなってきたと思います」。

2021年にトップ娘役に就任。『Hotel Svizra House ホテル スヴィッツラ ハウス』で初めて相手役を務めたときの真風の言葉が印象深く残っているという。「相手役としてずっと一緒に作品を作っていくにあたって一番大切にしてほしいことは、人と人として向き合うということ。ゆりかさんは上級生で私は下級生という関係性ではありますが、ありのままでぶつかってきてほしいと言っていただき、感動しました。これから作品の中で一緒に生きていく時間は、すごく価値のあるものになるだろうなと、そのときにすごく感じました」。

「ひっくり返るほど素敵」な真風涼帆のジェームズ・ボンド

真風が演じるジェームズ・ボンドの印象を尋ねると「皆さん、観ていただいたら椅子ごとひっくり返ると思います。それくらい、おかしいほど素敵。原作を好きな方も、宝塚をご存じない方も、きっとゆりかさんが演じられるボンドのファンになられるんじゃないかなと。セリフを言うところも、歌われるところも、ひとつひとつの仕草がゆりかさんボンドとして仕上がっていて。銃やハットなどの小道具の使いこなしも、たくさんの大好きポイントを見つけられるんじゃないかなと思うので、楽しみにしていただきたいです」。

2016年に入団し、雪組に配属。2020年に宙組へ組替えとなった潤。この約7年の宝塚生活で「出会いの奇跡をすごく感じた」と話す。「この世界に入らなければと出会えなかった方々がたくさんいて。雪組の皆さんも、宙組の皆さんも、先生方やスタッフの方々も、いろんな方々との出会いの奇跡を思うと、毎日幸せを感じます」。そんな奇跡を感じながら、最後の公演に向けて「最後の最後まで、宙組の皆さんと一緒に熱量を持って進んでいきたい」と力を込める。その姿を劇場で見届けたい。

取材・文:黒石悦子

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<公演情報>
宝塚歌劇団宙組
アクション・ロマネスク『カジノ・ロワイヤル ~我が名はボンド~』

【兵庫公演】
2023年3月11日(土)~2023年4月17日(月)
会場:宝塚大劇場

【東京公演】
2023年5月6日(土)~2023年6月11日(日)
会場:東京宝塚劇場

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