寛一郎、再演は「絶対に嫌ですね」 “最初で最後”の舞台『カスパー』開幕
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『カスパー』初日前会見より、左から)ウィル・タケット(演出)、寛一郎、首藤康之 撮影:内田涼
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すべて見る俳優の寛一郎が3月18日、主演舞台『カスパー』の開幕を前に、会場となる東京芸術劇場シアターイーストにて取材に応じた。映画、ドラマと映像のジャンルで活躍目覚ましい寛一郎にとって、本作は“最初で最後”を宣言している舞台出演となり、「題材に惚れこんだ部分もあるので、ネガティブな意味じゃなく、舞台はもういいかなと。本当に恵まれた環境なので、最後まで頑張りたい」と意気込みのコメント。再演の可能性を問われると、「絶対に嫌ですね。やりたくないです」と不退転の決意を示した。
ヴィム・ヴェンダース監督作『ベルリン・天使の詩』の脚本家としても知られ、2019年のノーベル文学賞受賞作家であるペーター・ハントケが、19世紀はじめに実在した謎多きドイツ人孤児のカスパー・ハウザーを題材に描いた問題作。生まれてから16年間、外界から隔離され、地下牢に閉じ込められていたカスパーが、“ことば”を知ることによって、文明社会に突然放り込まれる姿を通して、個人と社会、そして教育とは何かを現代に突きつける。
約1カ月間の稽古を経て、協力し合ったカンパニーに感謝を語る寛一郎は、「お芝居の作り方そのものは、映像も舞台も変わりないですけど、稽古から本番というシステムには、戸惑いや違和感もあった」と本音も。「瞬発性、持続性、持久性といったものを意識した」と舞台ならではの心構えも語った。
取材会には、寛一郎に加えて、共演する首藤康之と演出を手がけるウィル・タケットが同席。バレエやコンテンポラリーダンサーとしての華々しいキャリアを持ち、俳優としても活動する首藤は、カスパーをことばの世界へと誘い、調教する3人の謎の男“プロンプター”の一人を演じ「とても難しい題材ですが、日々稽古を重ねて、理解を深めている。きっと本番になっても学ぶことがある」と静かに闘志を燃やし、「情報過多な時代に生きる僕たちに、とても必要なテーマが投げかけられている。今こそ、みんながカスパーに戻らないといけないなと思った」と話していた。
また、渡辺謙主演の舞台『ピサロ』や、アダム・クーパー主演の『兵士の物語』など、多彩なジャンルの演出を手がけてきた英国人演出家のタケットは、「何をもって人間だと言えるのか。そして、社会の一員として生きることを問いかけている」と本作のテーマを語り、「言葉というものは、攻撃し合うことも、励まし合うこともできる」と語った。
主演を務める寛一郎については、「初舞台が僕と一緒だなんて、かわいそうだけど(笑)、すばらしい演技をするから、もう映像の世界には戻らず、もっと舞台に立ってほしい」とさらなる舞台出演に期待を寄せていた。
取材・文・撮影=内田涼
<公演情報>
『カスパー』
作:ペーター・ハントケ
翻訳:池田信雄
演出:ウィル・タケット
■出演
カスパー・ハウザー:寛一郎
プロンプター:首藤康之/下総源太朗/萩原亮介
カスパーの分身たち:王下貴司/高桑晶子(大駱駝艦)/小田直哉(大駱駝艦)/坂詰健太(大駱駝艦)/荒井啓太(大駱駝艦)
【東京公演】
2023年3月19日(日)〜3月31日(金)
会場:東京芸術劇場シアターイースト
【大阪公演】
2023年4月9日(日) 14時開演
会場:松下IMPホール
チケットはこちら:
https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventBundleCd=b2341442
公式サイト:
https://tspnet.co.jp/kaspar-2023/
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