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虫を白日の下に晒したくなる衝動のように…デラシネラ新作「気配」開幕

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ナタリー

カンパニーデラシネラ新作公演「気配」より。

カンパニーデラシネラ新作公演「気配」が、昨日3月23日に東京・北とぴあ ペガサスホールで開幕した。

本作では夏目漱石の「門」をモチーフに、“見たことがないのにそこにあるもの、目に見えなくても信じているもの”に焦点を当て、自分を取り巻く“気配”を視覚化する。演出を小野寺修二が手がけ、出演者には浅井浩介、田中佑弥、兵藤公美、藤田桃子、そして小野寺が名を連ねた。

小野寺は「門」を読んだ感想を「一読しパタンと本を閉じた時、あまりの色彩の薄さに、そしてそれが成立していることに逆に興味を覚え、ここでの何も起こらなさの意味について、考えたくなりました」「これまで扱った作品は、革命を起こすかのような強い意志を持った『青年』が多く、目的も理由も勝ち取りたいものも正解もくっきりと浮かんだ人物と共にいた気がしますが、今回静かにもがく人物こそが自分と共にずっといた等身大でした」と語り、「気配」については「石を持ち上げるとその下にいた虫が逃げ惑い、それらを白日の下に晒したくなる衝動のように。じっと見ていると、諦念しているかと思えるその下に人が潜んでいる気がして、その裏側を引き伸ばし、よくよく見たいと思いました」と述べた。

上演時間は1時間30分。公演は3月26日まで行われる。

小野寺修二コメント

今作は、夏目漱石著「門」をモチーフにした作品です。主人公は清々しい程にどこか諦めている男で、何もかもが中途半端で煮え切らず、なし崩し的に時間をやり過ごしているのですが、それら日々の微妙さが、ゾッとするほど身に覚えがありました。一読しパタンと本を閉じた時、あまりの色彩の薄さに、そしてそれが成立していることに逆に興味を覚え、ここでの何も起こらなさの意味について、考えたくなりました。

これまで扱った作品は、革命を起こすかのような強い意志を持った「青年」が多く、目的も理由も勝ち取りたいものも正解もくっきりと浮かんだ人物と共にいた気がしますが、今回静かにもがく人物こそが自分と共にずっといた等身大でした。どこかで感じている閉塞感や先の見えなさ、決断から逃げよう逃げようとする本性は、今を生きる自分と合致しています。

石を持ち上げるとその下にいた虫が逃げ惑い、それらを白日の下に晒したくなる衝動のように。じっと見ていると、諦念しているかと思えるその下に人が潜んでいる気がして、その裏側を引き伸ばし、よくよく見たいと思いました。

カンパニーデラシネラ新作公演「気配」

2023年3月23日(木)~26日(日)
東京都 北とぴあ ペガサスホール 

演出:小野寺修二
出演:浅井浩介、田中佑弥、兵藤公美、藤田桃子、小野寺修二