けんかのあとはキスしかない?花乃まりあと小田井涼平が明かす「ザ・ミュージック・マン」稽古の裏側
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左から小田井涼平、花乃まりあ。
ブロードウェイ・ミュージカル「ザ・ミュージック・マン」に出演する花乃まりあと小田井涼平の合同取材会が、本日3月24日に東京都内で実施された。
「ザ・ミュージック・マン」は、1957年にアメリカで初演されたミュージカル。このたびの上演では、演出にダニエル・ゴールドスタインを迎え、マーチングバンドの先生に成りすまして大量の楽器や制服を売りつける詐欺師ハロルド役で坂本昌行が主演を務める。花乃はハロルドが起こす騒動に巻き込まれる図書館の司書マリアン・パルー役を、小田井はハロルドの旧友で今は“足を洗った”マーセラス・ウォッシュバーン役を演じる。
花乃は、現在進行中の稽古を振り返り、「今は振付とお芝居が一通り入ったところで、すごく楽しい作品になるという実感があります。また子役キャストたちが太陽のように元気を振りまいてくれていて、大人たちも笑顔になる瞬間がたくさん」、小田井は「本作はミュージカルではありますが演劇的な要素が多く、初めて出演させていただくミュージカルとしてありがたかった」と表情を緩める。
「外国から訪れた演出家との仕事は初めて」と言う花乃は、「ダニエルは明るくて、何をやってもとにかく『ビューティフル!』『グレート!』と褒めてくれます(笑)。稽古では、どこから出るかも伝えられない状態で『はい、まりあやってみて』と言われ、まず私が考えてきたものを披露するんですが、それを肯定したうえで提案してくれるので『今までの経験は間違っていないんだ』と自信につながります」と語る。マリアンについては「最初は考えが凝り固まっていますが、ハロルドに影響されて変化していきます。マリアンが自分を“よろい”でガチガチにしているのは、過去の経験が元で臆病になっているからだとダニエルと話しているので、背景も想像しながら観ていただけたら。意見をはっきり言うので一見キビキビとした女性に見えますが、実は怖がりなところが私と似ているかな」と説明した。
小田井は、「台本にはマーセラスの背景があまり書かれていません。ただ、副委員長とかリーダー補佐的なポジションで力を発揮するタイプだと解釈すると、いろいろな辻褄が合います。どちらかと言えば僕もサポートをするほうが得意ですが、一番似ているのはお調子者なところ。まだキャラクター分析の途中なので、本番で紳士的になっている可能性はありますが(笑)」と笑いを誘った。また「台本のト書きにマーセラスの表記がないのに稽古場に呼ばれることがあります。そういうときはダニエルに聞く前に、どこに出られるか自分なりに考えながらいったん稽古の様子を観ます。場面ごとにフォーカスが当たる部分があるので、それを邪魔しないように自分の存在感を出せるポイントを探っています」と明かした。
取材会では、坂本演じるハロルドの話題も。花乃は「ハロルドは、歌もセリフもテンポが速く、調子の良い言葉を次々に口にします。ただダニエルからはよく『実はマリアンのほうがハロルドより頭が良い』と言われます。さらにダニエルいわく『人はけんかをしたらもうキスするしかない』らしく(笑)、“2人は高い知性を使って互いにやり合うのを楽しんでいるんだ”という解釈は、演技のヒントになりました」と述べた。
また坂本自身について花乃は、「スーパースターです。技術的にも体力的にもあらゆる面で大変な役だと思うんですけど、軽やかにこなされている印象。一方、稽古場では座らずにずっと練習されているので、ストイックさに感銘を受けて『こんな大人になりたいな』と憧れます。また、宝塚退団後に男性とペアダンスする経験はあまりなかったのですが、坂本さんに身を任せるだけで勝手に踊れてしまって。『私これどうしたらいいですか?』と聞くと、坂本さんは『何もしなくて良いよ』と言ってくれました」と目を輝かせた。
坂本と同い年だという小田井は、「本当に自然体の人。舞台上ではまるで魚のように縦横無尽に駆け巡っていて、自分の出番以外ではセリフをつぶやいたり動き回ったり。(ずっと練習されているので)声をかけにくいことについては、ご本人も『いやあ、俺それよく言われるんだよ』と自覚されていて(笑)。プライベートな会話はもう少しあとにできたら」と期待を口にした。
最後に花乃が「『いろいろあったけど今すごく幸せ!』と思えるような、良い意味で考えすぎずに楽しめる作品になっています、小田井が「たくさんのキャストがステージを余すところなく登場し、歌い踊ります。今後もいろいろなお芝居を観るきっかけとなればうれしいです」と本作をアピールし、取材会を締めくくった。
公演は4月11日から5月1日まで東京・日生劇場、6・7日に愛知・御園座、13日から15日まで大阪・梅田芸術劇場 メインホール、20・21日に静岡・静岡市清水文化会館(マリナート)、26日から28日まで福岡・博多座にて。
ブロードウェイ・ミュージカル「ザ・ミュージック・マン」
2023年4月11日(火)~5月1日(月)
東京都 日生劇場
2023年5月6日(土)・7日(日)
愛知県 御園座
2023年5月13日(土)~15日(月)
大阪府 梅田芸術劇場 メインホール
2023年5月20日(土)・21日(日)
静岡県 静岡市清水文化会館(マリナート)
2023年5月26日(金)~28日(日)
福岡県 博多座
原作:メレディス・ウィルソン&フランクリン・レイシー
脚本・音楽・歌詞:メレディス・ウィルソン
演出:ダニエル・ゴールドスタイン
振付:エミリー・モルトビー
キャスト
ハロルド・ヒル教授:坂本昌行
マリアン・パルー:花乃まりあ
マーセラス・ウォッシュバーン:小田井涼平
チャーリー・カウエル:藤岡正明
トミー・ジラス:山崎大輝
ザニータ・シン:水嶋凜
ジョージ・シン町長:六角精児
ユーラリー・マッケクニー・シン:森公美子
ミセス・パルー:剣幸
今村洋一、植木達也、尾川詩帆、片岡栞、伽藍琳、後藤裕磨、今野晶乃、佐々木誠、管谷孝介、鈴木昌実、鈴木大菜、多岐川装子、常川藍里、富田明里、中村ひかり、新橋和、松谷嵐、門馬和樹、蘆川晶祥
ウィンスロップ・パルー:有澤奏、末次寿樹
アマリリス:森田みなも、山口菜々美
グレイシー・シン:設楽乃愛、田村朱麗
子役アンサンブル:小暮大智、星駿成 / 饗庭琉衣、小暮航ノ介 / 漆畑有里菜、本木麻由花
スウィング:高木裕和、松田未莉亜
※初出時より本文を変更しました。