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超特急 タカシ&シューヤ スペシャルインタビュー「お互いがリスペクトしあえる存在」

音楽

インタビュー

ぴあ

左から)シューヤ、タカシ 撮影:奥田耕平

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3月22日にアルバム『B9』をリリースするメインダンサー&バックボーカルグループ「超特急」。
9人の新体制となり、新しい超特急の魅力が爆発したアルバムのボーカル、タカシさんとシューヤさんに超特急のバックボーカルとしての今の思いを伺いました。

阿吽の呼吸になりつつあるバックボーカル

――アルバム『B9』について、ボーカル面において、タカシさんとシューヤさんにじっくりとお話をお伺いできればな、と思います。『宇宙ドライブ』以降、Re-ver.を経て、今回のアルバムだと思うんですけど、レコーディングを重ねていく中でお2人の変化についてはいかがですか。

タカシ それこそ『宇宙ドライブ』のときと比べると、やっぱり自分たちの中である程度、レコーディングに向けての流れは決まってきました。それまではちょっと板についてない感じとか、どうやるのが自分たちにとってやりやすいのか探りながらやっていたのを、アルバムでは綺麗な流れで仕上げまでできるようになってきたというか。まずそこは一つの変化ではあるのかな、と思います。

シューヤ 本当に数も数で慣れてきたというところがお互いあって。お互いのやり方じゃないですけど、どういうふうに合わせてやっていけば、合わせやすいな、だったりとか。最初の頃と比べれば、阿吽の呼吸じゃないですけど、そんな感じで今はできてるな、というのはあります。

――レコ―ディングを重ねていく中でどんどんすり合わされていく感じなんですね。

タカシ やっぱりユニゾンでやるには本当にすり合わせ命だと思っているので。僕もそうですけど、シューくんから教えてもらうことも本当にたくさんありますし。それこそ、レコーディング当日にいろいろ曲に対して、せめてサビだけはこういうふうに歌おうとか、ここで切ろうとか。っていうのは統一するようにはしてますね。

――さっき、合わせていく、というワードが出ましたが、具体的にどういうふうにすり合わせはされているんでしょうか。

シューヤ 2人の歌い方をどっちがいいのか、2人で話し合って決めることが多くて。だから僕はこう歌おう、と思っていたけど、タカシくんのを聴いて「やっぱりこっちだね」ってなったりとか。逆もしかりですけど、そういう感じで、本当に自分たちの中で歌い方、切り方、ここでブレス取るとか、譜割りもそうですし、ちょっと食ったりとか、そういうところまでユニゾンって合わせなきゃダメだと思ってるので。

そういうところはもちろんちゃんと合わせるんですけど、各々自分で歌ってるところは自分の色を出すために、そんなに合わせないという形で歌っていますね。

濃密なレコ―ディング期間

――今回のアルバムについてなんですけど、一番苦戦した曲というところをまずお聞きしたいです。

タカシ もちろんそれぞれの曲、本当に苦戦したところいっぱいあります。意外に、というところで言うと、アルバムの通常盤に入ってる『君と、奏で』。この曲の2Aメロの「それも人生だって 笑ってたい」という箇所があるんですけど、その「笑っていたい」のリズム。あんまり具体的には言えないですけど、思ってたよりも難しいというか。そのテンポがちょっと食い気味なのかな?

シューヤ うん。

タカシ テンポでそこがいきなりぐんと何かイレギュラーなものが入ってくる感じがすごくて。レコーディングのときに想定してたよりも苦戦して、時間がかかっちゃいましたね。

――一番時間がかかったのが『君と、奏で』ですか?

タカシ いやそれは本当にピンポイントだったので。一番時間かかったとなると、『KNOCK U DOWN』とか。コーラスも含めて、録る数も多かったんで『KNOCK U DOWN』は群を抜いて時間がかかりましたね。

あとは日数になってくると、『MORA MORA』に関しては1回レコーディングしたんですけど、少し納得いかない部分もあってもう1回録り直したいなって、チームの皆さんとも話し合って、録り直しました。結果、全部時間かかってますね。

――全体でどれぐらいの期間だったんですか?

タカシ どれくらいだったかな。でもタイに行くまでに(JAPAN EXPO THAILAND 2023.)全部録り切ったから……丸々約1ヶ月ぐらいはかかったかな。毎日のようにレコーディングはしていたので、結構凝縮はしてましたけど。

――超特急さん自体がその期間お忙しいですもんね。

タカシ そうなんですよね、ありがたいことにいろいろイベントも呼んでいただいたり、ということもあるので、そのリハーサルだったり、振り付けの合間を縫って、やらせていただいたりということもしばしばありましたね。

――シューヤさんは一番苦戦した曲についてはいかがですか。

シューヤ 『Typhoon』ですかね。曲がめちゃめちゃ速いんですよ。超特急の曲って、僕が入ってから今までラップというラップがそんなになかったんですけど、今回のアルバム全体を通して、ラップ調といいますか、そういう楽曲が多いんです。その中でも一番高速なのが『Typhoon』で。そこを粒立てるのが自分なりになかなか苦戦はしましたね。

タイトなスケジュールではあるので、本当に毎日レコーディングだったんですよね。3日間やって1日他のお仕事をさせていただいて、また3日間とかレコ―ディング、とか。楽曲も本当にギリギリまでより良いものを作ってくださっていたので、僕たちにおりてくるのが1日前とかなんですよ。

――えーっ!

シューヤ それが結構続いてたので、練習するとなっても前日の夜に聴いてレコーディングという形になるんです。2人で前もって練習はあんまりできないんですけど、レコーディング前に早めに集まって、2人で歌うのが毎回の流れになっていましたね。その中でも『Typhoon』は速いので慣れるまでに時間がかかりました。

――タカシさんは『Typhoon』についてはいかがですか?

タカシ 今回のテーマはCool & Stylishなんですけど、他の楽曲と比べたらワイルドな要素もあったりするので、これは自分の何か今持ってる引き出しの中でも、このアルバムでは出してないものを出す必要性があるな、って思いました。他の曲とかぶらないように、違った味つけにしようという感じで挑んではいましたね。でもラップ、基本的に早口言葉は僕もすごく苦手ではあるんですけど、1回そう思っちゃうと僕もなかなか抜け出せなくなっちゃうので。

毎回、毎回レコーディングは『Typhoon』だけに限らないですけど、自信満々で行くようにはしてますね(笑)。

――ライブで歌うのが楽しみな曲はあります?

タカシ どの曲もすごい甲乙つけがたいんですけど『Typhoon』はそれこそライブ曲になるんじゃないかなと思いますね。それこそダンサーのみんなもわりとがっつりラップに参加してくれてますし、見せ方がなんかおもろい感じになりそうやな、っていう。

シューヤ そうですね、『Typhoon』もそうですけど、一つだけなのであれば『君と、奏で』が何か見えるな、というのはありますね。激しい曲ではなくて、8号車に向けて、メッセージ性のある曲でもありますし、みんなで手を振ってる絵が見えるので。どうなるかわからないですけど、そういうビジョンが一番見える曲ではあるなとは思いますし、歌で見せられる曲というか、伝えられる曲だな、というのはあります。

アリーナツアー前は「ナイーブになった」(シューヤ)

――シューヤさんは加入されて半年強になります。ここまで感じた壁や、それをどうやって乗り越えたか、というところはお聞きしたいな、と思うんですけど、アリーナツアーあたりはやっぱり大変だったのかな、という印象はありますが。

シューヤ 大変でしたね!

――すごい、カラッとされてる(笑)。

シューヤ 全曲知っているわけではないので、歌詞も23曲ぐらい? 覚えなくちゃいけないし。歌詞、曲を覚えて、振りを覚えて、構成を覚えてってなるとさすがにちょっと……僕も今まで経験はあったんですけど、それを超える凄まじさがありました。

でも1回ちょっと立ちくらみする時期があって。その時もタカシくんに相談したら、優しい言葉で励ましてくれて乗り越えたっていうのはありますね。

――体力とかメンタル面といったところなんでしょうか?

シューヤ そういうのは別にないんですけど、ただ単に覚えるのがすごかったな、って。僕はメンタルと体力は強い方なので。

――それでもちょっとしんどいなってなるぐらい。

シューヤ ナイーブになりましたね。やっぱ覚えられない。歌詞も20何曲も一気にだと、さすがに入らないし。やばい、どうしようっていうのがすごくあったので、それが一番大変でしたね。

――そこを乗り越えてちょっと楽になったというのはありますか。

シューヤ あります。

――今は気持ち的にはどうですか。

シューヤ ハイです!

――素晴らしい!(笑)

シューヤ (笑)。これからツアーがありますし、新曲はどの曲をやるかまだわからないんですけど……ほぼパフォーマンスすると思うので、これからがまた同じような感じになるんじゃないかなとは思ってます(笑)でもすごく楽しみというか。また全く違うライブができるんじゃないかな、と。

――タカシさんは、今回のシューヤさんのような状態のときの寄り添い方はご自身の経験を踏まえて、というところがあるんですか?

タカシ そうですね。それこそ自分も同じような状況になったことももちろんあるし、あとは予期せぬことが起きたりとかしたときに、どうやったら自分は耐えられるのか、乗り越えるのか、みたいな場面って、あんまりいうのもあれですけど、結構あったので。そういうときは少しでも心が軽くなると、かなり救われる感覚には僕もなったことがあるので。それぐらいですけど。このメンバーの中でだと、今でこそ、あんまり分け隔てなく喋れたりしますけど、加入してすぐにスッと言えるのは僕だったと思うので。という面では何かできたらいいな、という感じでしたね。

――タカシさんは、シューヤさんが加入されてからの自分の歌声で新たに発見した部分ってありますか?

タカシ 変わったな、と思うことはいっぱいあって。まず特徴的なところで言うと、僕って結構前から、自分の声ってどっちつかずだな、って思っていた時期があって。

――ええっ!?

タカシ 「特段と高いわけでも、特段と低いわけでもないし」って、勝手に自己解釈していたときがあって、普通だなって思った時期があったんです。前にですよ? 結構前。なんですけど、やっぱりユニゾンで歌っていくことによって、それぞれ特徴って違うじゃないですか。例えば、同じキーが高い曲を歌ったとしても、「自分って意外とここぐらいまでは出せるんだな」って、今回『B9』の収録してる曲で、自分の中で発見できたり、あとは逆にここまで低い声も出せるんだなって気づけたり。まず声のレンジが広がっている気がします。広がっているのか、元々備わっていたものなのかそれはちゃんと正確に計測したことないのでわかんないんですけど。……ということが気付けたり。

あとは、何か一つ一つの音だったり、歌だったりをより細かいところまで聴くようになりましたね。例えば今までだったら全部自己解釈でやってきたけど、2人で共有して、2人で合致させて進めていきたい部分もあったりするから、2人のうち1人が理解できてないと、前に進めないこともいっぱいあるんです。だからより曲に対しては繊細に、この音をとって歌ってるんだなとか、主軸となるリズムだったり、メロだったりがあるから、それにのっとった上で、歌っていきながらも、どこで遊びを入れようかな、とか。そういう、より歌に対する遊び心は、入れていきたいな、というのはある種変化かもしれないです。

――2人になったからこそ分かった楽しさというか。

タカシ そうですね。もちろん、今までも楽しかったけど、あんまりそれを頭の中でこれをそうしよう、という感じではなかったというか。

――何か可能性が広がった感じがすごくしますね

タカシ それは大いにあると思います。

僕たちは僕たちだっていうものを、これからも表現できたら(タカシ)

――最後に、今だから感じるお互いの歌の好きな部分についてお聞きしたいです。

タカシ 好きな部分で言うと、例えばかっこいい曲が得意な人ってコミカルな曲にあんまり免疫がないかもしれないんですけど。もちろんね、シューくんも最初はそういうのはあったと思うんですけど、20何曲を一気に凝縮して頭の中のSDカードにぶち込んでもらって、やっぱ超特急というのはこういう感じのグループなんだ、っていうのがちゃんとわかっているから、どんな曲でもスッともう入り込めるようになってきて。そこの馴染みの早さは僕以上に早いと思うので、そういうところはやっぱり尊敬できます。

歌で言うと、「今こういうふうに思っているんだろうな」とか、「こういう表情で歌ってるんだろうな」とか「優しい気持ちで歌ってるんだろうな」とか、あとは「悲しいんだろうな」とかいろんな感情を、耳で聴いているだけですぐ読み取れるんですよ。でもそれって、ボーカリストにとってすごく重要なこと。

「この人、歌うまく歌ってるけど、どういう感情で歌ってるかわからない」のが、一番もったいない。伝えなきゃいけないのに伝えられてないっていうのが、一番あってはならないことなんですけど、そういうのが全くないんですよね。あと、めっちゃ細かいところで言うと、基本的に母音の「う」がつくフレーズはすごい好きで、個人的に。

シューヤ (笑)。

タカシ 僕、今具体的に出てこないので、このインタビューを読んだあとに母音の「う」があるフレーズを探して欲しいんですけど(笑)。

シューヤ ははは!

――皆さんに(笑)。

タカシ その歌い方の表現という発声の仕方も含めてだと思うんですけど、言ってしまえば、特別な個性じゃないですか。だからそういうのも、含めて表現としてめちゃくちゃいいなって思う部分ですね。

シューヤ (無言でペコリ)

――シューヤさんからはいかがでしょうか。

シューヤ タカシくんがレコーディングするときは、僕たいがい聴いてて。こういう感じで行くから次こうやって歌おうとか、その流れを見ていたり、歌い方を聴いてるんですけど、だんだんニヤけてくるっていう。

――ニヤけてくる?

シューヤ なんだろうな、特に明るい曲だったり、爽やかな曲だと、本当にそれこそ絵が見えるっていうか。ずっと見てるからそうかもしれないんですけど、だんだんこっちもなんかニヤニヤしながら聴いてるっていう。8号車の方から見れば贅沢なんですけど(笑)。画面見てたら本当にタカシくんは笑ってるし、そうするとまた僕も笑っちゃうし、みたいな。

――和やか!

シューヤ 本当にそういう雰囲気でやってるし、かっこいい曲こそ、『Typhoon』とかそうなんですけど、僕は今までかっこいい曲しか歌ってこなかったんですけど、ここまで激しい曲は超特急史上も多分あんまりないないと思うんですけど、

タカシ ないですね。

シューヤ 何て言うんだろうな。全然上からとかではなく、飲み込みというか、やってこなかったはずなのにこんな歌い方できるんだっていうのがあって。いいところを僕も奪おうっていうのが毎回、絶対にレコーディングのときにあるんですよ。

『Typhoon』のサビの「巻き起こせ」のところの「ま」のところがめちゃめちゃ好きで。聴いてください。何ていうのかな、言葉じゃやっぱ言えなくて。うわ、こっちもいいなってなるし、僕にはないものを補ってくれてるというか、もう全て、2人で網羅してるっていう感じではあるんですけど。本当に聴いていて、かっこいい曲もそうですし、聴かせる曲もそうですし、毎回何か勉強させてもらっているな、と思います。

――リスペクトし合ってる感じがすごくします。

タカシ でも間違いなくそうですね。やっぱりお互いリスペクトし合えるような存在ってすごく大事だと思うんですよね。そうじゃないと多分長くやってたとしても、なあなあになってきちゃうと思うし、なあなあになった歌はどうしても長くは続かないと思うので。他のボーカルにはない色を出したいし、他のボーカルと同じだと、それもそれでやっぱり僕たちは違うなと思うから。僕たちは僕たちだっていうものを、これからも表現できたらいいな、と思います。

取材・文:ふくだりょうこ 撮影:奥田耕平

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