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1930年代から80年代にわたる日本写真史の一断片を紹介『「前衛」写真の精神:なんでもないものの変容』4月8日より開催

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牛腸茂雄《幼年の「時間」1》1980年頃 新潟市美術館蔵

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詩人で美術評論家の瀧口修造(たきぐち・しゅうぞう、1903-79)、画家の阿部展也(あべ・のぶや、1913-71)、写真家の大辻清司(おおつじ・きよじ、1923-2001)と牛腸茂雄(ごちょう・しげお、1946-1983)という、これまでつなげて紹介されることのなかった4人の作家の作品と思想を「前衛」という視点でとらえ直す展覧会が、4月8日(土)から5月21日(日)まで、千葉市美術館で開催される。

2023年は、瀧口の生誕120年、阿部の生誕110年、大辻の生誕100年、牛腸の没後40年の節目の年だという。年齢の異なる4人だが、様々なかたちで交流があった。瀧口と阿部は戦前に詩画集を共作し、1938年にともに「前衛写真協会」を立ち上げている。また瀧口の評論は大辻に写真家になるきっかけを与え、戦後はともに「実験工房」の活動に参加。また阿部と大辻は、《美術家の肖像》の演出・撮影で共作をしている。その大辻に写真家として見出されたのが牛腸である。

同展は、この4人の交流と創作をたどることで、1930年代から80年代にかけての日本の写真史の一面を紹介するものだ。1930年代、技巧的な前衛写真が活発に発表された時代にあって、戦前からシュルレアリスム運動の紹介につとめた瀧口は、写真におけるシュルレアリスムとは「日常現実のふかい襞のかげに潜んでいる美を見出すこと」だと語ったという。

この瀧口に共鳴した阿部は、街の風景にカメラを向け、『フォトタイムス』の表紙写真などを手がける。このふたりに強く影響を受けた大辻は、1960年代末頃から「なんでもない写真」と題したシリーズを手がけ、大辻の愛弟子である牛腸は、自身の周囲の人々や風景を独自の視点でとらえた。「見過ごされてしまうかもしれないぎりぎりの写真」と牛腸自身が語る表現は、1960年代後半から70年代前半にかけて流行した、何気ない日常をさりげなく撮影したスナップショット的なスタイル「コンポラ写真」を代表するものとされている。

シュルレアリスムの影響を受けて「前衛」写真の始まりとなる作品を生んだウジェーヌ・アジェから、スナップショット的な「なんでもない」写真に至る流れを、約270点の作品でたどっていく同展。技巧的なイメージを超えた「前衛」の在り方を示し、現在まで引き継がれる「前衛」写真の精神を探る意欲的な試みとなるだろう。

<開催情報>
『「前衛」写真の精神:なんでもないものの変容 瀧口修造・阿部展也・大辻清司・牛腸茂雄』

会期:2023年4月8日(土)~5月21日(日)※会期中展示替えあり
会場:千葉市美術館
時間:10:00~18:00、金土は20:00まで(入場は閉館30分前まで)
休館日:5月1日(月) 休室日:4月17日(月)
料金:一般1,200円、大学700円
公式サイト:
https://www.ccma-net.jp/

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