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慰安婦テーマの「主戦場」めぐる裁判で監督と配給会社が全面勝訴、最高裁が上告棄却

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「主戦場」ポスタービジュアル

旧日本軍による従軍慰安婦問題を扱ったドキュメンタリー「主戦場」の出演者の一部が、監督のミキ・デザキと配給会社・東風(とうふう)に映画の上映禁止や損害賠償などを求めた訴訟の上告審の判決が明らかに。本日3月31日、最高裁判所は原告の請求を棄却し、デザキと東風ら被告側が勝訴した。

2019年4月に封切られた「主戦場」は、慰安婦問題における論争の中で疑問を抱いた日系アメリカ人の映像作家デザキが、日本、韓国、アメリカで渦中にいる人物たちを訪ね回り、イデオロギー的に対立する主張の数々を検証、分析したドキュメンタリー。同年5月の時点で「映画『主戦場』に抗議する出演者グループ」は「その製作過程や内容に著しく法的、倫理的な問題がある」とし、上映中止を求める抗議声明を発表し、6月には出演者である藤岡信勝、ケント・ギルバートら5人が上映差し止めと計1300万円の損害賠償を求め提訴した。原告はデザキから大学院の卒業制作を目的としたインタビューを依頼され撮影に応じたが、商業映画として一般公開されたと主張。内容も中立的でなく、撮影時の合意に違反するとしていた。

2022年1月27日の第1審、同年9月28日の控訴審では原告らの訴えをすベて棄却する判決が下されていた。そして本日3月31日、最高裁は「1. 本件上告を棄却する」「2. 本件を上告審として受理しない」「3. 上告費用及び申立費用は上告人権申立人らの負担とする」と主文を言い渡し、デザキと東風ら被告側が勝訴した。

作品公式Twitterは全面勝訴したことを報告し、デザキはコメントを発表。「日本の表現の自由にとっても大きな勝利であると私は信じています」とつづり、「アーティスト、映画製作者、そしてメディアは、物議を醸すような話題やタブー視される問題、特に社会から疎外された層や人々、犯罪の被害者が声をあげることになる話題を取り上げることによって、訴えられたり攻撃されたりすることを恐るべきではないし、恐れる必要もありません。私と映画『主戦場』を応援してくださったすべての方々に感謝します」と伝えた。

なお「主戦場」は4月1日にPrime VideoとU-NEXTにて定額制動画配信サービスでの配信がスタートする。

(c)NO MAN PRODUCTIONS LLC