坂本龍一が死去、「ラストエンペラー」で日本人初のアカデミー賞作曲賞に輝く
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坂本龍一
音楽家の坂本龍一が3月28日に死去した。71歳だった。
所属レーベル・commmonsが本日4月2日に発表した文書では「2020年6月に見つかった癌の治療を受けながらも、体調の良い日は自宅内のスタジオで創作活動を続け、最期まで音楽と共にある日々でした」と伝えられた。葬儀は本人の強い遺志により近親者のみで執り行ったという。また「最後に、坂本が好んだ一節をご紹介します」とし、古代ギリシアの医学者ヒポクラテスの著書「箴言」の一部をラテン語訳した「Ars longa, vita brevis. / 芸術は長く、人生は短し」を掲載している。
1952年1月17日生まれ、東京都出身の坂本は1978年にアルバム「千のナイフ」でソロデビュー。細野晴臣、高橋幸宏とYELLOW MAGIC ORCHESTRA(YMO)を結成し、シンセサイザーやシーケンサーなどの電子楽器を使用した“テクノポップ”と呼ばれる音楽スタイルで一世を風靡する。
1983年、大島渚の監督作「戦場のメリークリスマス」に日本軍陸軍大尉のヨノイ役で出演。坂本はデヴィッド・ボウイ、ビートたけしらと共演した同作の音楽も自ら志願して手がけ、第37回英国アカデミー賞で作曲賞を受賞した。
坂本はYMOの“散開”後も多方面で活躍。1987年製作のベルナルド・ベルトルッチ監督作「ラストエンペラー」の音楽を評価され、アカデミー賞の作曲賞を日本人として初めて獲得した。なおこの作品にも俳優として参加しており、軍人の甘粕正彦を演じている。
その後もベルトルッチの「シェルタリング・スカイ」「リトル・ブッダ」などの音楽を担当。ペドロ・アルモドバルの「ハイヒール」、ブライアン・デ・パルマの「スネーク・アイズ」などの映画音楽を手がける。1999年公開の松田龍平の俳優デビュー作「御法度」では「戦場のメリークリスマス」以来の大島とのタッグが実現した。
そのほかの音楽を手がけた映画作品は「トニー滝谷」「星になった少年/Shining Boy & Little Randy」「シルク」「一命」「母と暮せば」「レヴェナント:蘇えりし者」「怒り」「天命の城」「MINAMATAーミナマター」「さよなら、ティラノ」など。2023年6月2日に公開される是枝裕和の監督作「怪物」では、体力面の問題がありスコア全体を手がけることはできなかったが、ピアノ曲2曲を新たに提供。同作では、坂本のアルバム「12」の楽曲やそのほかの過去に発表した曲も使用された。
環境や平和問題にまつわる言及・活動も多く、地雷撤去運動や脱原発運動に積極的に参加。映画ファンでもあり、映画の未来を拓き世界へ羽ばたこうとする若く新しい才能に贈られる大島渚賞の審査員長を務めた。今年4月14日に開業する予定の東京・東急歌舞伎町タワー内にニューオープンする109シネマズプレミアム新宿では、全シアターの音響監修を担当した。