「悲劇喜劇」賞に下山久・名取敏行が喜び「今後も演劇を通して、“沖縄”を発信していきたい」
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第10回ハヤカワ「悲劇喜劇」賞の贈賞式より。(c)公益財団法人早川清文学振興財団
第10回ハヤカワ「悲劇喜劇」賞の贈賞式が、去る3月31日に東京都内で行われた。
受賞作品の「カタブイ、1972」は、エーシーオー沖縄が沖縄本土復帰50年企画として展開しているシリーズの第5弾として、エーシーオー沖縄と名取事務所が共同制作する3部作の1作目。受賞に際し、エーシーオー沖縄の下山久は「復帰五十年経っても、沖縄の構造的なものがちっとも変っていないなということを改めて感じました。ですから、今後も演劇を通して、沖縄というものを発信していきたいと思っております。そういう意味で、このような、復帰五十年の企画の中でこのような大きな賞をいただけたことを大変うれしく思っております」とコメント。
名取事務所の名取敏行は「演劇の本来の仕事の一つに『異を唱える』ということがあると思います。レパートリーを選ぶ時の基準にしていますが、そういうところが一致して、今回下山さんと一緒に作品を作ろうということになりました。沖縄の問題は、一作だけではなかなか語り尽くせないところがあるので、三部作という形で全体を見せます。三部作の第二作目への後押しをしてくれる、非常に大きな力になったと思っております」と思いを述べた。受賞作には、正賞として雑誌「悲劇喜劇」にちなんだ賞牌、副賞として100万円が贈呈された。
「悲劇喜劇」賞は、選考委員と批評・評論家の劇評意欲を刺激する優秀な演劇作品を顕彰することを目的とした賞。「カタブイ、1972」の受賞は、鹿島茂、辻原登、杉山弘、濱田元子により決定された。選考過程の採録と、選考委員それぞれが推薦する作品の劇評は、4月7日発売の「悲劇喜劇」(早川書房)5月号と、公益財団法人 早川清文学振興財団の公式サイトに掲載される。
「カタブイ、1972」は、内藤裕子が脚本・演出を手がけ、昨年11・12月に沖縄と東京で上演された作品。劇中では、1972年の沖縄を舞台に、サトウキビ農家を営む波平家の物語が描かれる。なお、シリーズ2作目となる「カタブイ、1995」は、来年3月に上演予定。