Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play
Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play
ぴあ 総合TOP > ぴあ映画 > JO1・與那城奨が沖縄を舞台に“真逆の役”に挑戦。「いい意味でみなさんを裏切れるのは楽しい」

JO1・與那城奨が沖縄を舞台に“真逆の役”に挑戦。「いい意味でみなさんを裏切れるのは楽しい」

映画

インタビュー

ぴあ

與那城奨 撮影:川野結李歌

続きを読む

フォトギャラリー(8件)

すべて見る

2022年に本土復帰50年を迎えた沖縄。ひとつの節目を越えた現在も、世界最大規模の米軍基地を抱えることからくるさまざまな問題は続いている。そんな背景をベースに、ドラマ『アンナチュラル』などで知られる脚本家・野木亜紀子が、東京から来た雑誌ライターと沖縄で育ったブラックミックスの女性が性的暴行事件の真相を追う姿を描いたドラマ『連続ドラマW フェンス』がWOWOWで放送・配信中だ。

総勢50人を超える沖縄出身キャストが集められた本作の中で、米軍基地従業員の仲本颯太を演じたのが、グローバルボーイズグループ・JO1でリーダーを務める與那城奨。颯太は、米兵から受けた性的暴行の被害を訴えるブラックミックスの女性・桜の元恋人で、物語の行方にもカギを握る重要な役柄だ。もちろん沖縄出身でもある與那城は、自らのルーツにもつながる本作にどのように臨んだのか。たっぷり語ってもらった。

自分が出演することで沖縄の問題を
伝えられるのではないか

――ドラマ『フェンス』は沖縄の社会問題に切り込んだディープな作品でしたが、最初に脚本を読んだときの感想を教えてください。

與那城 僕は沖縄出身なので、このドラマに出てくるさまざまな問題を知っているんです。だからこそ、中途半端にはできませんし、現実として起きているこれらの問題を、僕が出演することによって、伝えられることがあるんじゃないかなと思ったんです。なので、そこは覚悟を決めて、頑張ってみようと思いました。ただ、初めてドラマ出演をさせていただいたドラマ『ショート・プログラム 交差点前』(Amazon Prime Video)がコメディに近い役で、こういったシリアスな役を演じたことがなかったので、最初は「自分で大丈夫かな?」と不安でしたね。

――特にどんなことで悩みましたか?

與那城 僕の颯太という役は、かなりキツいセリフが多かったんです。普段はそういった言い方はあまりしないので、言い慣れなくて……。

――どう乗り越えたのでしょうか。

與那城 「もう振りきるしかないな」と思ったんです。JO1で音楽の活動はしていますが、役者としてお仕事をいただいたのであれば、そこを振りきり、思いきってやらなくてはいけないと思いました。

――振りきるためにどんな準備をしましたか?

與那城 家の中で、セリフを思いきり叫びました(笑)。悪口ではなく、ちょっと悪いイメージがあるセリフを大きな声で叫ぶことで、その言葉に対しての躊躇をなくすようにしたんです。ただ、なかなか言わないセリフなので、言い慣れるまで大変でしたね。

――その効果はありましたか?

與那城 あったと思います。沖縄の方言って、“投げる”感覚なんです。相手に投げるというイメージなので、それを身体に染み込ませていきました。

――與那城さんから見て、颯太はどんな人物だと捉えていましたか?

與那城 妹がいるお兄ちゃんで、米軍の基地で働いています。そこには基地の問題もあるし、家庭環境での問題も抱えていて、常に板挟みなんですよね。それもあって、いつも葛藤している人物だと捉えていました。なので、颯太がどんなテンションでいるのかを、監督さんと相談しながら演じていました。

――どんな役作りをしていきましたか?

與那城 台本では“うちなーぐち”という沖縄の方言を話していたんですが、僕があまり方言を喋らないので、イントネーションが間違っていないか不安だったんです。なので、沖縄に行き、方言のレクチャーを受け、セリフを練習していきました。ただ、昔から耳にはしていた言葉だったので、懐かしく思うこともありましたね。

――颯太は、言葉が強いけれども、根はやさしいお兄さんですよね。

與那城 そうですね。本当は優しくしたいけど、なかなかできない。常に葛藤があるから、ちょっと強く言ってしまうところがあるのかもしれないですね。

――そこに対しての共感はありましたか?

與那城 僕も弟と妹がいるので、共感するところはありました。颯太は妹との会話をしていく中で、本当は優しくしたいのに、最初の方は自分のその気持ちさえ認めたくないと思ってしまうんです。でも、歳を重ねていくうちに次第にどんどん仲良くなっていく部分はすごく分かりました。兄妹って、年齢がいけばいくほど仲良くなれるんですよね。

――実際の妹さん、弟さんとは仲良しですか?

與那城 仲良しです。19歳と21歳と、もう大人なので、よりいろんな話ができます。僕が出演しているバラエティやドラマも見ていてくれるんですが、「もっとこうした方がいいよ」ってアドバイスを言ってくるんです(笑)。それを聞いて、「そ、そっか~。頑張るね~」って返しています(笑)。

――あはは。

一度外に出たからこそ
沖縄の良さを感じることが多い

――さて、今作は出演者のみなさんが、沖縄にルーツがある方が多かったですよね。

與那城 はい。みなさんと地元が一緒なので、昔話を良くしていました。撮影場所も、僕が通っていた学校の近くだったので、ものすごく懐かしかったです。さらに、このドラマ撮影の前に、沖縄復帰50周年を迎え、『池上彰と復帰50年を総決算スペシャル』(琉球放送)に出演させていただき、あらためて沖縄のことを知ることができたんです。その直後の撮影だったので、すっと入ることができましたし、すごくいい機会だったなと思っています。

――沖縄の馴染みのある場所で撮影する感覚はいかがでしたか?

與那城 すごく面白いですよね。今まで遊んでいたり、わ~って走っていた場所でお仕事をするなんてなかなかないですよ。撮影の時間が少し空いたときも、「ちょっと散歩してきますね」と言って、懐かしい場所を回ったりしたのですごく不思議な感覚でした。でも、演じている役は自分とはまったく違う役ですし、このドラマに出演することで今まで見えてこなかった部分を知ることができたので、すごく良かったなと思っています。

――そのうえで、今作で伝えたいことはどんなことですか?

與那城 実際に起きている問題がテーマになっているんですが、僕らの世代って、そこに対しての興味や関心がどうしても薄いと思うんです。でも、僕らより上の世代の方々が問題に直面し、それに対して何か発言をしたり、改善していこうとアクションを起こしていることをあらためて知ったんです。このドラマが、僕らの世代もそういった問題に関して興味を持つきっかけになってもらえたらいいなと思っています。

――與那城さんにとっても考えるきっかけになったんですね。

與那城 はい。沖縄のイメージって、明るくて楽しい場所というものが先行していると思うんですが、沖縄に限らず、ダークな部分は表裏一体であると思うんです。それをあらためて知っていただくことが、この先の明るい未来に繋がっていくんじゃないかなと思っています。

――與那城さんは沖縄に関してのお仕事がとても多いですが、意識されていることはありますか?

與那城 あまりないんですが、周りには空気感やテンポが違うよねって言われます(笑)。僕には、その違いが分からないんですけどね。メンバーにもいまだに言われますよ。でも、沖縄を出て上京してから、沖縄出身であることがすごく意味のあるものだと感じるようになりました。今年の年始も帰省したんですが、帰るごとにあらためていろいろなことを知ることができますし、一度外に出たからこそ、沖縄の良さを感じることが多いですね。

――例えばどのようなことでしょうか?

與那城 空気感もそうですし、雰囲気がとても素敵なんです。沖縄で昔を思い出し、それを東京に持ち帰ることができるのは嬉しいですね。ポジティブな意味で、東京に染まることもないですし、常に沖縄を感じながら仕事ができているように思います。

――今年の年始に帰省したときはどんなことを発見しましたか?

與那城 毎度帰るたびに、ゆかりのある場所を散歩して、昔とどう変わっているかを比較しているんです。その度にちょっとセンチメンタルな気持ちになっています(笑)。

――よくメンバーを連れていきたいと話していますが、沖縄に連れて行ったときはどんなことをしたいですか?

與那城 まず、海に連れていきたいですね。ごはんもたくさん食べさせたいんですが、あまり決めずに歩くのが良いのかなと思っています。かしこまる場所でもないですし、楽しんで何も考えずにゆっくりしたいですね。

ダークな部分を演じることの方が
自分には合っているかもしれない

――最近では個人でのお仕事も多いですが、JO1のときと、ひとりでお仕事をするときはどんな違いがありますか?

與那城 実はどちらもモードの違いはないんです。最初は緊張しますし、どういう感じでみなさんと話していこうかなとは考えるんですが、そこさえ乗り越えたらあとはスムーズにコミュニケーションが取れるタイプです。ただ、今回はみなさんに迷惑をかけてはいけないと思っていたので、「間違えちゃいけない、間違えちゃいけない」と唱えていました(笑)。

――JO1のリーダーとしても、長くなりましたが、意識は変化していきましたか?

與那城 僕はみんなを引っ張っていくようなタイプでもないですし、みんなもやるときはやるんです。それに、僕がある程度しっかりしすぎると、みんながだらけちゃう部分もあるので、今くらいがちょうどいいのかなと思っています。それが、それぞれ自立していくきっかけにもなるだろうしと、ポジティブに考えています(笑)。

――メンバーのみなさんには天然だと言われることもありますよね。

與那城 僕は天然だとは思っていないですけどね(笑)。それに、取材などは、グループでやるときは、極論を言えば僕がまとめて言えば事足りるんです。でも、それをしたら面白くないし、メンバーの成長もないので、要点を言ってヤジを飛ばすくらいがちょうどいいのかなって最初の頃に気づいたんです。それなのに天然と言われることもあって……(笑)。まぁ、言ってなさいよって感じですね(笑)。

――あはは。

與那城 僕が変なことを言うと、みんなが「いやいや、これはこうで」とちゃんと言ってくれるので、それはそれで助かっています(笑)。

――さて、お芝居のお仕事を重ねる中で、どんな楽しさを感じるようになりましたか?

與那城 もともとみなさんには、JO1の僕たちのイメージがあると思うんです。今回はそのイメージとは真逆の役を演じることで、いい意味でみなさんを裏切れるのは楽しいですね。それに、僕は主人公よりも、ダークな部分を演じる方が合っているんじゃないかなと思ったんです。

――それはどうしてでしょうか。

與那城 僕が思うセリフと、監督のセリフって、少なからず差異があって、そこを埋めていく楽しさがありました。それも役によって全く違ってきますし、今回のように振りきるような役は、すごく面白さを感じて、「みなさん、これが楽しくてやっているのかな」って思いました。

――今は他のメンバーもお芝居の仕事が増えていますが、どのように感じていますか?

與那城 僕、他のメンバーが撮影をしている現場に行きたいんですよ。僕たちがいない場所で、どんな振る舞いをして、どんなお芝居をしているのかを見たいんですよね。「はい、カット!」と言われて落ち着いたときに「ウッス~!」って声をかけにいきたいですね。きっと、みんなJO1のときとは違う顔をしていると思うので(笑)。

――ということは、與那城さんも違う顔をしている……?

與那城 そうですね、もちろん。でも、僕は他のメンバーと一緒にお芝居することもすごく興味がありますし、みんなが振りきっているところをそばで見たいですね。

――以前、豆原一成さんの『めざましテレビ』の撮影をサプライズで見に行っていましたよね。

與那城 ありましたね(笑)。単純に身内が頑張っている姿を見たいという好奇心があるんです。

――俳優のお仕事をすることで、グループの成長にも繋がりそうですね。

與那城 本当に、そう思います。『ショート・プログラム』は、僕たちの初めてのお芝居をいろんな人に見てもらって、さまざまな可能性を広げるという意味合いがありました。それが、他のドラマへと繋がっているのですごく嬉しいです。メンバー自身も自分に対して自信がついてくるだろうし、この後、チームに戻って来たときに、今までよりもいいパフォーマンスができると思うんです。めちゃくちゃ恵まれている環境にいると思います。

――ちなみに、今忙しい中でも絶対に外したくない時間はありますか?

與那城 コーヒーを淹れる時間ですね。これがないと、自分の中の調整ができなくなってしまうほどです(笑)。コーヒーを淹れて、飲むとすごくリラックスできるんですよ。そこでオンとオフを作る時間はすごく大切にしています。

――今は、メンバーはみなさん忙しいからこそあまり会えていないのではないでしょうか。

與那城 そうなんですよね。でも、ひとりの時間が増えた分、お風呂にゆっくりと浸かるようになりました。これまで浸かる習慣はなかったので、しっかりと癒されています。そこで、考えていることを整理することが多いですね。

――メンバーに会えないのは寂しくないですか?

與那城 う~ん……。みんな動いていることが分かるのでさみしさはあまりないですね。逆に、次に会えるときはどうなっているんだろうと考えることはあります。絶対にこの経験を経てパワーアップしていると思うので、今は、みんなに会うのが楽しみです!

取材・文:吉田可奈
撮影:川野結李歌
ヘアメイク:西尾さゆり
スタイリスト:増田翔子

<番組情報>
『連続ドラマW フェンス』

WOWOWにて毎週日曜午後10時より放送中【全5話】
WOWOWオンデマンドにて全5話配信中【無料トライアル実施中】

ぴあアプリでは與那城奨のアプリ限定カットをご覧いただけます。ぴあアプリをダウンロードすると、この記事内に掲載されています。

フォトギャラリー(8件)

すべて見る