「ザ・ホエール」ブレンダン・フレイザー来日、オスカー受賞をある人物が予言していた
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ブレンダン・フレイザー
「ザ・ホエール」の来日記者会見が本日4月6日に東京のザ・リッツ・カールトン東京にて行われ、本作で第95回アカデミー賞の主演男優賞を受賞したブレンダン・フレイザーが出席した。
ボーイフレンドのアランを亡くし、現実逃避から過食状態になった男チャーリーの最期の5日間が描かれる本作。心不全が悪化し、死期が近いと悟った体重272kgのチャーリーが、家族を捨ててから音信不通だった娘エリーとの絆を取り戻そうとするさまがつづられる。フレイザーがチャーリーを演じ、Netflixシリーズ「ストレンジャー・シングス 未知の世界」のマックス役で知られるセイディー・シンクがエリーに扮した。
「ハムナプトラ3 呪われた皇帝の秘宝」のプロモーション以来15年ぶりの来日となったフレイザー。フレイザーは「これから公開されるということで、日本の皆さんが新しい観客になってくれることにワクワクしています」と挨拶。2日前に日本入りしたという彼は「昨日は時間があったので、街を見たり、しゃぶしゃぶをいただきました」と笑顔で報告した。
主演男優賞の受賞について問われたフレイザーは「いまだに自分が受賞したことに驚いています」と話し、「ほかの候補全員が才能あふれる素晴らしい演技をされていたので、皆さんとオスカー像を分かち合ったつもりです」と謙遜する。また、「ゴッド・アンド・モンスター」で共演したイアン・マッケランと授賞式の3週間前にロンドンで再会したことを振り返り「別れるときにイアンが僕の耳元でささやきました。『もう君はオスカーを獲っている』と。もし金色の小さな像が手元に来なくても、自分にはオスカーが来たと思えていたと思います」と明かして、記者陣を沸かせた。さらに作品賞など最多7冠となった「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」チームとの授賞式での再会にも触れ、「僕は『エブエブ』も大好き。ミシェル・ヨーとは『ハムナプトラ3 呪われた皇帝の秘宝』ぶり、キー・ホイ・クァンとは30年ぶりに会えて『僕たちまだここにいるね』と話したんです」とうれしそうにしていた。
監督を務めたダーレン・アロノフスキーについてフレイザーは「動じない」「観客に対しても、スクリーンで表現することから目を背けないことを要求する人」と表現。「初めて会ったときは、クリエイティブな意味で少し脅威を感じました。紳士ですが、どのキャストにも要求するレベルが高い」と説明する。続けて「ここまで自分の脆さを表現してくれと言われたことはなかった。こうして監督と1つの旅ができて人生が変わったと言えます」と回想した。またチャーリーという役柄については、肥満症の患者や家族を支援する団体・OAC(Obesity Action Coalition)との仕事を含め「たくさんのリサーチをしました」と述懐する。そして「彼らのミッションは“肥満症の方へのバイアスを終わらせる”こと。こういった作品を作ることは大胆でリスクのあることを承知していましたが、それこそがアートであり映画。不安があるからこそ大きな成長を望めると思いました」と力説した。
ハリウッドの表舞台から姿を消していた時期もあったフレイザー。オスカーの受賞やこの作品が、落ち込んでいる人や復活したいと考えている人にどんなものを与えられるかと聞かれた彼は「勇気を持ってほしい。勇気を持つというのは、目の前に壁があることを認識することです」と力強く口にする。そして「日本の観客の皆さんに『ザ・ホエール』を観ていただいたときには、チャーリーをそのような勇気ある人間だと感じてほしい。まったく想像していなかったかもしれないけど、彼はヒーローなんです」と語った。
「ザ・ホエール」は明日4月7日より東京・TOHOシネマズ シャンテほか全国でロードショー。なおフレイザーは東京・TOHOシネマズ 六本木ヒルズで開催される初日舞台挨拶にも登壇する。
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