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RYUTistがNegiccoと歌声響かせた“古町前夜祭”、そして感謝の気持ち届けた佐藤乃々子ラストライブ

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「RYUTist SEASON3 LAST TOUR『会いにいきます』」新潟・新潟テルサ公演の様子。

RYUTistが4月2日に新潟・新潟テルサでライブツアー「RYUTist SEASON3 LAST TOUR『会いにいきます』」のファイナル公演を開催。この公演をもってリーダー佐藤乃々子がグループを卒業した。

メンバーのキャラクターに由来する緩やかな空気感をまといつつ、綿密に作り込まれた良質な音楽を新潟から世界へと発信しているRYUTist。2011年の結成時よりオリジナルメンバーとして在籍し、ひたむきな姿勢で活動に貢献し続けてきた佐藤の卒業は、グループにとって大きな節目となる。卒業とともに芸能界を引退する佐藤が悔いなく旅立ち、ファンもその過程をしっかり目に焼き付けられるよう、4人体制最後のツアーとして「RYUTist SEASON3 LAST TOUR『会いにいきます』」が行われた。

RYUTist SEASON3 LAST TOUR “古町前夜祭” 約束の場所

ツアーファイナルの前日4月1日には、RYUTistのデビュー時からのホームである新潟古町モール7番町でフリーライブイベント「RYUTist SEASON3 LAST TOUR “古町前夜祭” 約束の場所」が開催された。アーケード商店街内に吊り下げられたRYUTistの特大写真と、その前に設置された特設ステージ。この特別な空間に大勢の観客が集まると、古町全体が佐藤の門出を祝っているかのような温かいにぎわいが生まれた。オープニングではRYUTistが、これまでに何度も訪れてライブを行い、遠い距離を隔てて交流を深めてきた北海道西興部村の“西興部村バンド”とともにステージへ。西興部村非公認ゆるくないキャラ・コッパーさんによる指揮のもと、両組にとっての思い出の楽曲「きっと、はじまりの季節」を披露した。

さらにこの日は、楽曲提供を通してRYUTistと親交のあるアーティストもゲスト出演。まずは柴田聡子がアコースティックギターを手に登場し、RYUTistの最新アルバム「(エン)」に提供した「オーロラ」などを弾き語り。今やRYUTistの代表曲の1つとなっている「ナイスポーズ」では、メンバー4人とのコラボを実現させ、アコギの音色と観客のクラップの上に鮮やかな歌声を乗せる。柴田同様にアコギ1本でステージに上がった君島大空も、RYUTistへの提供曲「水硝子」をセルフカバーし、巧みな演奏で聴衆を魅了した。

主役であるRYUTistのライブでは、柴田や君島が提供した最新アルバムの楽曲が続いたかと思えば、「夏の魔法」などの初期曲もセットリストに。このイベントでは声出しに関する制限が設けられておらず、ファンが叫ぶコールが古町にこだました。そしてこの日一番の盛り上がりを見せたのが、アーティスト名を伏せた状態でアナウンスされていたサプライズゲストの登場。日が暮れてきた頃、RYUTistの同郷で、新潟発の先輩グループであるNegiccoが佐藤の卒業に華を添えるべくステージに駆け付けた。メンバーそれぞれ結婚、出産を経たNegiccoが3人そろってステージに立つのは約4年ぶり。ともにポップミュージックで高い評価を得ている2組は、Negiccoの楽曲「Falling Stars」を並んで歌唱した。「Falling Stars」は古町を舞台に別れと希望を歌った楽曲で、2005年の「第1回古町音楽祭」でグランプリに輝いたことでも知られている。Nao☆とともに落ちサビを歌った佐藤は、「Negiccoさんのように愛されるグループになりたい」という目標を抱いていたことを本人に伝え、特別なコラボに喜びをあらわにした。

「RYUTist SEASON3 LAST TOUR『会いにいきます』」新潟テルサ公演

前夜祭の興奮が冷めやらぬ中で当日を迎えたRYUTistの4人体制ラストライブ。会場のロビーには「『 "のんの"ありがとうね、ほんとうにね 』お花で乃々子さんをお祝いしよう!」プロジェクトを通して集まった花が並び、さらにNegiccoをはじめとするゆかりのアーティスト、ファンによるスタンド花も華やかな空気を漂わせていた。客席に期待感と緊張が入り交じる独特なムードが流れる中、開演時刻になるとSEとともに北川勝利(G / ROUND TABLE)、沖井礼二(B / TWEEDEES)、末永華子(Key)、山之内俊夫(G)、原”GEN"秀樹(Dr)という5人のバンドメンバーがまず登場。軽快な演奏が始まると手拍子が自然と沸き起こり、この日のために用意された新衣装に身を包むRYUTistが手を振りながら姿を現した。

ライブの幕開けを飾ったのは、TWEEDEES提供のナンバー「青空シグナル」。メンバーの目には早くも涙がにじんでいたが、バンドが生み出す疾走感あふれるサウンドに合わせて4人の笑顔がきらめいていく。初期曲「Arrivals and Departures」ではそんな彼女たちのさわやかな歌声と、「ここが到着地 そして出発地」という歌詞が観客にセンチメンタルな感情を抱かせた。最初のブロックが終わると、バンドメンバーは一旦退場。佐藤の「大切な“ともだち”との曲を歌わせていただきたいと思います」という言葉を合図に「ともだち」が披露された。この曲は2020年に活動を終了したレーベルメイト・ハコイリ♡ムスメとのコラボユニット・柳♡箱名義で発表されたナンバー。過去の思い出を丁寧にたどっていくような温かいパフォーマンスが繰り広げられた。

ライブはその後もバンド編成のブロックと、RYUTistの4人のみのブロックが交互に展開される。前日の4月1日に誕生日を迎えた宇野友恵をバンドメンバーや観客とともに祝うひと幕を挟みつつ、次のバンド編成パートでは「水硝子」「無重力ファンタジア」「神話」など、RYUTistの楽曲の中でもとりわけ神秘的な雰囲気をまとうナンバーが6曲連続で届けられた。「オーロラ」ではステージ後方に飾り付けられた布の幕が照明によってオーロラのように光り、4人のしなやかな歌やダンス、バンドの絶妙な演奏とあいまって幻想的な光景が広がった。こういった独自の世界観を持つオリジナル曲のほかに、RYUTistのレパートリーには初期によく披露していたカバー曲も多数あり、今日までの活動を総括するうえで欠かせない存在。再びステージに4人だけで立った彼女たちは、そのカバー曲の中からフジファブリックの代表曲「若者のすべて」を歌唱。郷愁がにじむ歌詞をウエットな歌声で響かせた。

続く「Beat Goes On! ~約束の場所~」で観客と一緒に手を左右に振り、会場全体を心地よい一体感で満たしたRYUTistは、このライブが4人体制最後のステージになることについてを改めて心境を口に。佐藤は「いつもと変わらなすぎて、逆にびっくりしちゃう」と卒業の実感がないことをあっけらかんと話す。横山実郁は「ライブ前にマネージャーさんが4人だけで話す時間を作ってくれて。5分くらいあったんですけど、みんなその時間、ずーっとMCと振りの確認をしてました(笑)」と本番が近づいてもいつも通りの時間が流れていたことを明かしたが、ステージに向かって歩いている途中に涙があふれてきたという。五十嵐夢羽も「メイクがぼろぼろになるくらい泣きました」とその話に続いた。

いつものワンマンライブ以上に長尺となったこの公演も、いよいよ終盤のブロックへと突入。RYUTistは「今の私たちを存分に焼き付けてください」と客席に語りかけたのち、「心配性」をじっくりと歌い始めた。じっと佇み、調和の取れた歌声をマイクに乗せるメンバーの後ろで鳴るのは、柔らかで繊細なピアノの音色のみ。息をこらして歌に聴き入る観客からは鼻をすする音が漏れていたが、4人は「心配性」を1コーラスだけ歌うと、続く「しるし」で視界が広がるような晴れやかな歌声を響かせる。ライブ本編の最後には「ナイスポーズ」をパフォーマンスし、曲名通り笑顔で“ナイスポーズ”を決めてステージをあとにした。

アンコールで再びステージに上がったRYUTistは、結成時からの歩みを振り返ることができるベストアルバム「RYUTist 2011-2023」が受注生産限定で発売されることを告知。そしてこのベスト盤より、清浦夏実(TWEEDEES)が作詞、北川と沖井が作編曲を手がけた新曲「ターミナル」を初披露した。佐藤の旅立ちを祝うべく制作され、別れと始まりを描いたこの曲を4人は朗らかな表情で歌い、ステージ上でハイタッチを交わすも、続く「口笛吹いて」を肩を寄せ合いながら歌っている最中、思わず目を潤ませる。卒業する当人ながら4人の中で唯一涙を見せない佐藤は「12年間ずっと続けてきたことって、終わりがくる実感が湧かないものなんだなって」とその心境を語り、横山がこの日の直前まで「辞めるのやめよう」と言ってきたことを笑いながら明かした。

ここでRYUTistは再度ステージから退場するが、ダブルアンコールを求める拍手に応え、4人だけでもう一度観客の前へ。佐藤は「ここまで続けて来れたのはスタッフの皆さん、メンバー、家族、ダンスの先生、RYUTistに関わってくださるすべての皆さんの支えと、そしてファンの皆さんの応援があったからです」「そして何より、私がRYUTistという居場所がすごく好きだったからですね。特にメンバーと一緒にいる時間が大好きで」とメンバーへの思いを言葉にしているうちに、目から涙をあふれさせていく。「大好きなリーダーでいさせてもらって、すごく幸せでした」と語ったあとは、ファンへの感謝の思いも言葉に。彼女は「私のこの12年間はRYUTistで埋め尽くされていたので、明日からは心にぽっかり穴が空いてしまうのではないかと思いますが、少しゆっくり休んでからまた歩き出そうと思います。これから会えなくなってしまう人もいらっしゃるとは思いますが、皆さんどうかずっとお元気で、幸せでいてください。そして、これからのRYUTistのこともよろしくお願いします。12年間ありがとうございました」と挨拶を述べ、客席に向かって頭を下げた。佐藤の言葉を受け、メンバーも頬を涙で濡らす。宇野が「ずっと友達でいてください……」と消え入りそうな声で話すと、佐藤は「おばあちゃんになってもね」と笑顔で返答。ラストナンバーの曲振りを担当する横山は「次の曲を歌ったら終わっちゃうから、ちょっと待って」と4人体制ラストライブの終演を惜しんだ。

そして佐藤がメンバー1人ひとりとハグしたあと、RYUTistがこのライブの最後に披露したのは、初期から数え切れないほど歌い続けてきた楽曲「ラリリレル」。4人が一瞬一瞬を噛みしめるようにして届ける歌声を、観客はしっかりと心に刻む。ラストのサビ前には「幸せな時間をありがとう」という佐藤のメッセージ入りの銀テープが客席の頭上を舞ったが、これはかねてからこの演出に憧れていた彼女へのサプライズ。「銀テープできないって聞いてたのに。お金がないから」「何かに使うからってメッセージを書いたの」と喜びを語った佐藤は、大きな花束とファンからのメッセージカードを受け取り、幸せそうな笑顔を浮かべてステージ袖へとはけていった。

本公演の生配信が行われたZAIKOでは4月9日までアーカイブ映像を配信中。またRYUTistは4月14日に東京・タワーレコード渋谷店B1F CUTUP STUDIOで行われる「南波一海のアイドル三十六房特別編~RYUTist 新体制初ライブ&トーク・スペシャル~」に出演し、3人体制の初パフォーマンスを披露する。5月6日には東京・青山RizMで単独ライブ「RYUTist LIVE SEASON4“はじまりの季節”」が開催される。

RYUTist「RYUTist SEASON3 LAST TOUR『会いにいきます』」2023年4月2日 新潟テルサ セットリスト

01. 青空シグナル
02. Arrivals and Departures
03. Majimeに恋して
04. パーティーを続けよう!
05. ともだち
06. センシティブサイン
07. ALIVE
08. 水硝子
09. オーロラ
10. 無重力ファンタジア
11. 神話
12. 好きだよ…
13. Blue
14. 若者のすべて(オリジナル:フジファブリック)
15. Beat Goes On! ~約束の場所~
16. 心配性
17. しるし
18. 黄昏のダイアリー
19. ナイスポーズ
<アンコール>
20. ターミナル
21. 口笛吹いて
<ダブルアンコール>
22. ラリリレル

南波一海のアイドル三十六房 特別編~RYUTist 新体制初ライブ&トーク・スペシャル~

2023年4月14日(金)東京都 タワーレコード渋谷店B1F CUTUP STUDIO
<出演者>
南波一海 / 嶺脇育夫
ゲスト:RYUTist
※入場無料

RYUTist LIVE SEASON4 "はじまりの季節"

2023年5月6日(土)東京都 青山RizM
[第1部]OPEN 13:30 / START 14:00
[第2部]OPEN 17:30 / START 18:00