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【対談企画①】never young beach×ハナレグミ「永積さんは、いつも僕の話をまじめに聞いて一緒に考えてくれるんですよ」

音楽

インタビュー

ぴあ

左から)永積崇(ハナレグミ)、安部勇磨(never young beach) Photo:山川 哲矢

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ハナレグミ、森山直太朗、くるりといった3組のアーティストをゲストに迎えたツーマンツアーを東名阪で行うnever young beach。ツアーの開催に先駆けて、ネバヤンのフロントマン・安部勇磨と対バン相手の対談を3回連続でお届けする。第1弾のゲストはハナレグミ。普段から親交があるという両者だけに、それぞれが理想とする“いい音”論や東京人特有のブルース感覚など、初回からディープな会話が繰り広げられた。

──おふたりはプライベートでも親交があるそうですね。

安部 はい。ごはんに行ったり、いろいろ相談に乗ってもらったりしています。

永積 最初に会ったのはフジロックの会場だよね?

安部 そうです。

永積 僕が昔やっていたバンド(SUPER BUTTER DOG)のコーラスだったMegが安部ちゃんのボイストレーナーをやってたんだけど、彼女から「never young beachがフジロックに出るんだけど、ボーカルの安部ちゃんが永積くんと話をしたがってるよ」って連絡を受けて。で、バックステージで会って話をしたんだけど、会うなり安部ちゃんが30分くらいノンストップで喋り続けて。

安部 はははは。そうでしたね(笑)。ボーカルのニュアンスや楽器のこととか、気になることを凄い勢いで一気に聞いちゃいました。

永積 夜の11時くらいに暗闇の中でふたりで話したね。

安部 それこそ、「こないだのライブで使ってたストラトは何年製ですか?」とか、根掘り葉掘り聞かせてもらって(笑)。

永積 パッションが印象に残ったね。でも自分にもそういう素養があるから、すごくわかるなーと思って。

安部 あまりにも一方的に喋りすぎたから、ホテルの部屋に戻って反省しましたよ。「初対面でがっつきすぎたな……」って(笑)。

永積 いやいや、好きな話題だから楽しかったよ。その次に会ったのはいつだったっけ?

安部 たぶん、くるりさんの「京都音楽博覧会」だと思います。

永積 ああ、そうかも。

安部 そのときも舞台袖で、くるりが使ってるアンプについて話しましたよね?

永積 同じような話をね(笑)。

安部 その後もライブで競演するたびに機材の話とかをさせてもらって、そこから、だんだん仲よくしてもらえるようになって。

永積 安部ちゃんとは興味の対象が近いんだよね。「機材を買ったはいいけど、全然使いこなせないんです」とか言われて、「すげー、わかる!」みたいな(笑)。楽器や機材とか、安部ちゃんは何事にも入り込み度合いが凄くて。「凄い」というか「重い」(笑)。

安部 はははは。

永積 愛情の重さっていうのかな。その重さが凄く自分に近い。

安部 今はリイシューモデルもたくさん出てるし、わざわざ年代物のギターを買うのとかお金が勿体なくない?みたいな意見も耳にするんですけど、僕の中ではやっぱり本物を触ってみたいっていうのがあるんです。自分でも面倒くさいんですけど。

永積 いいでしょ? こういう熱いところ(笑)。

安部 60年代や70年代の音楽が好きなので、どうしてもそこに憧れがあって。無理してでもまずは本物に触れたい気持ちになってしまう。試奏して「うわ!すご!なんだこの音!」ってなるあの感じ。凄く興奮しますよね。

永積 本物を知ることって、実際に触ってみないとわからないよね。単なる情報じゃなくて。だから安部ちゃんは本当に知りたいんだと思う。

安部 当時のサウンドがどうやって生まれたのか、すごく気になるんですよ。

──細野晴臣さんの音楽に興味を持ったときも、まず「HOSONO HOUSE」のオリジナル盤のレコードを買ったんですよね?

安部 はい。ちょっと高値だったんですけど、そこもヴィンテージ楽器とかと一緒で。ある人から見たら無駄な行為かもしれないですけど、迷いに迷って欲しいものに辿り着くという、一連の流れも含めて僕にはすごく楽しいし、意味のあることなんです。やっぱり音が好きなんですよね。曲を作るのも好きなんですけど、単純にいい音って、風が吹く音とかもそうなんですけど、それだけで気持ちいいし。

──ちなみに安部くんが考える“いい音”とは?

安部 歌い手やプレイヤーの気配みたいなものが、ちゃんと封じ込められているような音が、僕にとっての“いい音”ですね。最近はジャズが好きになってきて。空気感があるものが好きです。

永積 僕も一緒かな。自分は音源を作るという行為が、いまだになかなか難しくて。基本的にライブの人間なんだろうね。頭で考えたものではなくて、体から自然と生まれてきた音が録れていたとしたら、それが僕にとっての“いい音”なんだと思う。でもそれって、すごく良い楽器でハイクオリティな音を鳴らしてるというのとは、また別の話で。音質が悪くても、「いいな」と思う作品はたくさんあるし。

安部 作り手のフィジカルを感じるものというか。

永積 そうそう。やっぱり“人”を感じたいんだよね。最近の音楽を聴いてると、たまに不安な気持ちになることがあって。脳みその一部にだけ、ものすごく濃いエキスをぶち込まれて、凄く刺激的ではあるんだけど、自分が置き去りにされてるような気分になってしまうというか……うまく言葉にできないんだけど。

安部 でも、すごくわかります。

永積 そういう意味で言うと、安部ちゃんが作る音楽を聴くと自分が今どこにいるか、ちゃんと確認できる感じがして安心する。だから僕の中でネバヤンは、すごく“いい音”を鳴らしてるバンドなんだよね。

安部 (しみじみと)うれしいなあ。永積さんは、いつも僕の話をまじめに聞いて一緒に考えてくれるんですよ。

永積 いつも安部ちゃんは、僕が何か喋るたびに、ちっちゃい声で「優しいなあ、優しいなあ」って言ってるよね(笑)。

安部 ははは。いつもじっくり話を聞いてくれるので。

永積 僕は「イエーイ! どう? 調子いい?」みたいなタイプじゃないしね(笑)。どちらかといえば、じっくり話したいし、会話に間ができちゃうくらいの感じが好きなんだよ。

安部 以前、森山直太朗さんに「安部ちゃんはヅミくん(永積)に似てるよね」って言われたことがあるんですよ。「ヅミくんも、結構考え込むタイプなんだよ」って。

永積 僕はMegに同じこと言われた(笑)。「安部ちゃんって、タカシに似てるんだよね」って。

安部 永積さんが悩んでることを僕に話してくれることもありますよね。「安部ちゃんは、いつもどんなふうに曲を作ってるの?」とか。

永積 そうそう(笑)。

安部 同じ目線で接してくれるから、凄く話しやすくて。「僕よりキャリアのある、永積さんみたいな人でも、モノを作るときに同じように悩んでるんだな」とか思うと気が楽になるんですよね。なかなかこういう感覚を共有できる人って少ないんです。人によっては「なんでそんな小さなこと気にしてるの?」で終わっちゃうこともあるけど、永積さんとは同じテンションで話せるので。

永積 目を借りるような気持ちっていうのかな。僕と安部ちゃんは同じものを見ても違って見えてると思うんだよね。簡単に言えば生まれた年代も違うし。でもそれって上と下じゃないんだよね。俺、年齢って前じゃなくて、横に進んでいくものだと思ってるの。1本1本、稲を植えていくみたいに。例えば今のタイミングで見る太陽の位置って、安部ちゃんとは確実に違うよね?

安部 そうですね。

永積 安部ちゃんは32本目を植えてて、俺は今、49本目を植えているっていう。その位置から同じ太陽を見て、それがどう見えてる?っていう話を俺は聞きたいんだよ。同じ太陽なんだけど、安部ちゃんの位置からは何が見えてるの?って。カメラマンの奥山由之くんが撮影したネバヤンのミュージックビデオで高円寺の街の風景が映ってるやつがあるよね?

──「うつらない」のMVですね。

永積 俺のよく知ってる高円寺の街並みなんだけど、奥山くんや安部ちゃんたちが見ている風景とは何かが絶対に違うの。1、2枚くらいフィルターが違うというか。そこはずっと埋められない距離なんだと思う。でも、それが面白い。だから、いろいろ話を聞きたいし、変にカッコつけることもない。同じ太陽の話をしたいだけなんだからさ。安部ちゃんとは、そういう話ができるし、ちゃんと答えてくれるから。

安部 うれしいです。

永積 あとね、これは乱暴かもしれないけど、同じ東京人だっていうことが大きいかもしれない。

安部 あー!

永積 なんか俺、地方も東京もないかなって、ずっと思ってたの。でも、ふとした瞬間に、違うかもなと思ったんだよね。一言、二言で共感できる何かがある気がする。もしかしたら、東京に漂っている空気を身をもって知ってる者同士だから共感できる何かがあるのかなって。だから気楽なんだよ。言葉を積まなくていいし。

安部 東京出身者同士のほうが、笑いのツボとかも含めて、馴染むのが早いというのはあるかもしれませんね。

永積 あと東京出身者には、生まれながらに虚無感みたいなものもある気がする。俺は安部ちゃんの歌詞に若干それを感じてて。それは冷めてるというか……なんて言うんだろうな。でも俺はそれをブルースだと思ってる。心のどこかに空白を抱えてるというか。ネバヤンはライブも凄くエネルギッシュだし、1曲1曲に熱いものが込められていると思うんだけど、どこかにものすごく俯瞰な自分がいるのかなとも思う。そこに色気を感じるというか。そこが見逃せないんだよね、俺は。

安部 地方から東京に出てきてる人って、そもそも明確な意識を持っているから、そこはやっぱり生まれながら東京に住んでる僕らのような人間とは違うのかもしれないですね。その行動力みたいな部分に、僕は憧れてしまうんです。東京生まれだからこそわかる東京の良い部分はもちろん、良くない部分もあると思うので。そこにブルースを感じてしまうというか。ちょっとヒネくれてる部分があるんでしょうね。

永積 東京生まれの人間って、そういう視点を持つことで、やっと熱くなれるところがあるのかも。そうしないとニュートラルな感覚で日々を過ごせちゃうもんね。これだけたくさんの物に囲まれて、何不自由なく過ごせちゃうわけだから。自分というものを引き上げるときに、人によっては「金稼ぐぞ」とか「成り上がるぞ」とかで熱くなれると思うんだけど、僕らは自らを俯瞰で見ることによって、少し自分を引き上げようとしているのかもしれないね。

安部 ああ、そうかもしれないです。

永積 だからネバヤンの歌詞って沁みちゃうんだよね。だけど、「こういう気持ちになってほしい」とか、そういう感じはしないじゃん? 自分の目の前をスーッてカメラが通り過ぎていく感覚。聴き手をどこにも連れ去らないっていうか。そこがいいよね。すげー好きなんだよ、ネバヤンの詞が。

安部 ありがとうございます。新しいアルバムの音源って、事務所から永積さんに渡ってますか?

永積 もちろん! 聴かせてもらったよ。またひとつ新しいスイッチが入ったなと思った。自分の中にある思いを伝えることに、より意識的になっているのかなって。

安部 そうですね。ソロアルバムの制作も同時進行してたんですけど、ソロとは違うアウトプットをしてみようと思ったので。

永積 ああいう言葉って、バンドだから言えるのかもしれないね。

安部 そうなんですよ。

永積 後ろに仲間がいるからこそ、放てる言葉というか。

安部 そうですね。バンドだからこそ出来る音楽を作りたかったので。

永積 バンド続けてよかったね。

安部 本当に今回のレコーディングは楽しかったです。でも、ずっと気になってたんですよ。永積さんは音源を送ると、いつもすぐにメッセージを送ってくれるので、今回はどうだったかな?って。

永積 実は今回、あえてすぐにコメントしないようにしたの(笑)。

安部 そうだったんですか(笑)!

永積 すぐに返事しちゃう自分が嫌になって、ちょっと時間を置いてみた(笑)。でも確実に音が変わったよね。

安部 音は変わりました。デレク&ドミノスとか聴きながら試行錯誤して。

永積 そこが不思議なんだよね。今、そっちに行くんだって。ビートルズとか、ちょっと前はT・レックスがいいとか言ってたもんね?

安部 サポートメンバーで入ってもらってるギターの岡田拓郎くんとかは、そのあたりの音楽を小学生の頃から聴いてたみたいなんですよ。でも僕は今ようやく、60~70年代の音楽の良さがやっとわかるようになってきて。時代と逆行してるみたいで、ちょっと恥ずかしいんですけど。

──でも、狙って逆張りしているわけではないですもんね。ごく自然なモードでそこに辿り着いたという。

安部 そうなんです。「なんでマーク・ボランのギターはこんなシンプルなビートなのに飽きないんだろう?」とか、そういう発見が楽しくて。時代背景も含め、音楽にはその時代の空気感が入っていると思うんで。今は無くなってしまったものだから、余計知りたいんですよね。みんなでザ・バンド聴きながら「ここ、ヤベー!」とか言ってるのが楽しかったんですよね。

──その空気感がアルバムに収められている?

安部 そうですね。土臭さというか。土臭い感じはもともと好きだったんですけど、そのフィーリングをさらに引っ張り上げてくれるメンバーと作業できたので。自分でも凄くいいアルバムが出来たと思います。だから永積さんがどう聴いてくださったのか、いつも以上気になって(笑)。

永積 俺、毎回「すげえ、いい」って言っちゃうんだけど、今回もやっぱり「すげえ、いい」としか言えない(笑)。

安部 ありがとうございます!

永積 メロディもいいし言葉もいいし……なんともゼツいなあ。

安部 うれしい!

永積 あんまり聴きすぎると、知らない間にパクっちゃいそうだから気を付けないと(笑)。

安部 いえいえいえ! 僕も永積さんが作る音楽に影響を受けまくってるんで。

永積 でも安部ちゃんが僕にヒントを与えてくれるようなこともあるよね。「永積さんが、あえて声を張らずに、1曲通して低い声で歌ったら、どんな感じになるんですかね?」とか。

安部 僕の知りたい永積さんがいるんですよ。一緒にお酒を飲んでるとき、午前3時くらいに永積さんが見せる、どこか陰りのある表情というか。

永積 「そろそろ閉店です」みたいな、シャッターが閉まる直前の表情ね(笑)。

安部 永積さんの独り言みたいな歌を聴きたいんです。あんなに明るくて表情豊かなパフォーマンスができるということは、心の中に言葉にならないような寂しさを絶対に抱えていると思うんですよ。

永積 はははは。

安部 「男はつらいよ」の寅さんとかもそうじゃないですか。すごく明るいんだけど、どこかに陰りみたいなものがあって。僕は人のそういう部分に惹かれてしまうんです。永積さんのブルースをもっと聴きたいなと思って。

永積 でもブルースは大事だよね。和のブルース。

安部 ブルースがないとツマんないですよね。ネガティブなものを抱えながら表現してる人の面白さに勝てるものはないというか。そういう人が奏でる音楽って、節々に何かしら滲み出てくると思うんで。不器用でうまくいかなくても、転がってる人って面白いですよね。楽器買う時もそんなこと考えながら「どうにでもなれ」って勢いでいってます。

永積 こないだも、とんでもない値段のギター買おうとしてなかった?

安部 そうなんですよ。このギターを使ったら、いい曲が生まれてくるんじゃないか?って。そういう衝動を抑えられなくなっちゃうんです。

永積 安部ちゃんは、たまにロックンローラーになることがあるんだよなー(笑)。

安部 それで失敗して、「あちゃー」ってなることも多いんですけど(笑)。でも、そういうすべてが作り手の表現につながってくると思うんです。ぱっと聴いたらポップなんだけど、一瞬だけ陰りが見えてハッとさせられるというか。心の奥の柔らかい部分を刺激されるような、そういう曲が僕はたまらなく好きなんです。

永積 わかる。俺もそうだよ。

安部 でも最近すごく思うことがあって。自分は悩みすぎじゃないか?って(笑)。だからもう「悩んでます」って言わないようにしようと思うんですよ。

永積 ははは。代わりになんて言うの?

安部 なんて言ったらいいんですかね(笑)?

永積 「悩んでます」じゃなくて、「探してます」とかは?

安部 あー! 「探してます」っていいですね(笑)。これからは「探してます」って言うようにします。

永積 安部ちゃんは、自分の中にあるコアファイターみたいなものを探してるんでしょ?

安部 そうです、常に探してるんです。

永積 「僕のコアファイター知りませんか?」みたいな(笑)。僕もずっとそんな感じだけどね。でも楽しいよ。年々楽しくなってきた。

安部 悩んではいるんですけど、その時間も大切だし、結果それが楽しくなるための前振りになるというのもわかってはいるんです。

永積 でも、安部ちゃんは今すごくいい時間を過ごしていると思う。それまでにかけてきた時間って、絶対に1音1音に表れると僕は思っていて。単にブルーノートを奏でたら悲しみが表現できるわけじゃなくて、普通にドレミファソラシドって演奏しても、その人が過ごしてきた時間みたいなものが、ちゃんと響きに表れるんだよね。音楽ってそういうものだなって、最近さらに思うようになって。解明できてないことのほうが多いと思う。

安部 そうですよね。

永積 「僕はこう思うけど、実際どうなんだろう?」とか、安部ちゃんの中ではいろんな思いが渦巻いてると思うんだけど、たぶんその時点で安部ちゃんは音色を探しているんだと思う。器用に色んな音は出せないかもしれないけど、聴き手の心の奥深くに響くような音は出せるというかさ。そういう音にどんどんなっていくんじゃないかな。でも人を動かす音楽って、そういうものなんじゃないかな。時間はかかるかもしれないけどね。

──さっき、安部くんから「自分は時代に逆行しているかもしれない」という発言が出ましたけど、コスパやタイパみたいな言葉が声高に叫ばれる現代において、じっくり時間をかけて表現を熟成させていくという行為自体も、ある意味、時代に逆行しているのかもしれないですね。それってすごく悲しいことですけど。

安部 そうなんですよね。今の時代「コスパがいい / 悪い」みたいなことって確かに正論だと思うんですけど。ただコスパが悪いほうが単純に笑えるんですよ(笑)。「すげえ無駄じゃん!」みたいな、そういう叫びが面白いものを生むんだと自分は思っていて。だから失敗したり、無駄だと思うようなこともどんどんやっていきたいんですよね。そういえば細野さんの「CHOO CHOO ガタゴト」っていう曲の中で、2番のAメロの頭だけクラップが2発入るんですけど、それが自分の中でずっと気になってたんですよ。

永積 うんうん。

安部 それをご本人に聞いてみたら、「ああ、あれね。 ドラムの(林)立夫が勝手に入れたんだよ」って(笑)。

永積 細野さんが知らない間に(笑)?

安部 そんなことありますー!?っていう(笑)。

──いい感じにデタラメですよね(笑)。

安部 そう! デタラメで最高なんですよ! そういうところから生まれる面白さって絶対にあるし、実際、僕にとってそのクラップは、かけがえのない音になっているわけですから。モノ作りをする人は、そういう面白さを手繰り寄せる努力をしないと絶対にダメだと思うんです。

永積 そうだよね。

安部 僕がやってることはコスパとは真逆な行為かもしれないとか思うこともありますけど、そういうときに永積さんの「サヨナラCOLOR」を聴いて、「絶対に負けないぞ!」って思うんですよ。波風を立てるのを恐れてはいけないって。僕、映画とか観ても泣けない人間なんですけど、「サヨナラCOLOR」を聴くと爆泣きするんですよ。

永積 そうなんだ。

安部 わんわん泣いて、ストレス発散して、元気を貰えるんです。「サヨナラCOLOR」って、たぶん永積さんが悩んでいるときに書いた曲だと思うんですけど、誰かを助けたいとか思って作ったわけではないじゃないですか。その曲が、こんなふうに違う誰かを救ってるんだなって思うと、音楽って本当に素晴らしいですよね。

──あの曲はいろんな人を救っていると思います。

安部 本当そうですよ!

永積 あはは。どうだろう? だとしたらうれしいけど。

安部 今まで永積さんにはそういう意味でもお世話になっているので。だから今回の対バンも自分にとっては、「遂に!」という感じなんです。ハナレグミとツーマンライブをやるのは初めてなんで。

永積 めちゃくちゃうれしいよ。今回のライブに向けて、バンドメンバーを選出したから。

安部 ええ! そうなんですね!

永積 リズム隊はドラムの(伊藤)大地と、EGO-WRAPPIN’でベースを弾いてる真船勝博くん。キーボードはYOSSY、ギターは石井マサユキさん。ネバヤンと一緒にやらせてもらうのであればドカンといけるようなメンバーがいいかなと思って。

安部 楽しみです。

永積 安部ちゃんはライブへの向かい方にもすごく共感するんだよね。「いい時間を残したい」って気持ちがすごく伝わってくる。その日のパッションを全部使って客席とひとつになりたいんだろうなって。それは俺もまったく一緒で。

安部 なんかもう、名古屋ではめちゃくちゃになりたいですね!

永積 うん、めちゃくちゃになりたい!

安部 ハプニングも含めて楽しいというか。で、その楽しさがぐんぐん加速していくような。その感覚をお客さんもそうですし、永積さん、ハナレグミのメンバーの皆さん、そしてネバヤンのメンバー全員で共有したいですね。会場にいる全員でめちゃくちゃに盛り上がって、「あー、今日、気持ち良かったな!」って心から思えるような1日にしたいです。

Text:望月哲(音楽ナタリー) Photo:山川 哲矢
location:Indian canteen AMI

<ライブ情報>
never young beach TOUR 2023 “春歌舞”

4月17日(月) Zepp Nagoya
出演:never young beach / ハナレグミ

4月26日(水) Zepp Haneda
出演:never young beach / 森山直太朗

4月28日(金) Zepp Namba
出演:never young beach / くるり

チケット情報はこちら:
https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventBundleCd=b2341860

関連リンク

never young beach オフィシャルサイト:
https://neveryoungbeach.jp/

ハナレグミ オフィシャルサイト:
http://www.hanaregumi.jp/

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