時代と対峙した洋画家・麻生三郎の創作の軌跡をたどる『麻生三郎展 三軒茶屋の頃、そしてベン・シャーン』4月22日より開催
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麻生三郎《ひとり》1951年 個人蔵
2023年4月22日(土)より、世田谷美術館では、『麻生三郎展 三軒茶屋の頃、そしてベン・シャーン』が開催される。
戦後、日本の洋画界に確かな足跡を残した麻生三郎(1913-2000)は、第二次世界大戦末期の空襲で豊島区長崎の家をなくした後、1948年から世田谷区三軒茶屋にアトリエを構えた。その後、道路や地下鉄の環境悪化のため、神奈川県川崎市への転居を余儀なくされるが、彼の世田谷での活動時期は35歳から58歳までのほぼ四半世紀となる。彼の世田谷時代に迫る同展は、今年生誕110年となる麻生三郎の公立美術館では約10年ぶりの回顧展だ。
30代半ばから50代後半の脂の乗り切った時代とあって、この時期麻生は、抱き合う男女の姿に、あえて《ひとり》と名付けた作品や、1950年代半ばに繰り返し描いた《赤い空》の連作などの代表作を生んでいる。これら戦後復興期の作品に加えて、1960年代、彼が安保闘争やベトナム戦争などの社会問題と向き合った油彩や素描、約110点を紹介する。
また、野間宏の『真空地帯』ほか、椎名麟三や芹沢光治良の著作など、麻生三郎が手掛けた書籍の装幀や挿絵原画の仕事や、ユーモラスなタッチで干支を描いた手帳の表紙など、油彩画とは違った魅力を持つ作品も公開。それらがどのような場所から生まれたのかは、雑誌『美術手帖』の特集で土門拳が撮影した麻生三郎のアトリエ写真で、具体的に知ることができるだろう。
麻生は20世紀のアメリカを代表する画家ベン・シャーン(1898-1969)の没後に行われた回顧展に感銘を受け、以後長年にわたり彼の作品を蒐集した。それら麻生三郎の旧蔵品とともに、ベン・シャーンの世界も紹介する。麻生三郎が、ベン・シャーンの何に共感し、どんな部分を愛したのか、ふたりの響きあいを実際の会場で体感したい。
<開催情報>
『麻生三郎展 三軒茶屋の頃、そしてベン・シャーン』
会期:2023年4月22日(土)~6月18日(日)
会場:世田谷美術館
時間:10:00〜18:00(入場は17:30まで)
休館日:月曜(5月1日は開館)
料金:一般1,200円、65歳以上1,000円、大高800円、中小500円
※4月23日(日)~7月23日(日)まで、ミュージアム コレクションⅠ『山口勝弘と北代省三展 イカロスの夢』も開催
公式サイト:
https://www.setagayaartmuseum.or.jp/exhibition/special/detail.php?id=sp00213
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