明治座創業150周年記念「壽祝桜四月大歌舞伎」上演中 合同取材会レポート
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「壽祝桜四月大歌舞伎」初日会見より、左から) 市川高麗蔵、松本幸四郎、中村芝翫、中村梅玉、中村又五郎、片岡孝太郎、片岡愛之助
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すべて見る創業150周年を記念し、4・5月と2カ月連続で歌舞伎公演を行う東京・明治座にて、4月28日の150周年直前公演となる「壽祝桜四月大歌舞伎」が上演中だ。
中村梅玉、中村又五郎、中村芝翫、片岡孝太郎、松本幸四郎、片岡愛之助、市川高麗蔵の豪華な顔合わせによる昼夜二部制の本公演。昼の部は、義太夫狂言の三大名作のひとつ『義経千本桜 鳥居前』、河竹黙阿弥が初世市川左團次のために書いた酒豪同士の飲み比べが痛快な『大杯觴酒戦強者』、江戸の粋な風情溢れる舞踊『お祭り』の祝祭感あふれる演目が揃う。夜の部はガラリと雰囲気を変えて冷酷なふたりの悪人を主人公に据えた、四世鶴屋南北の仇討狂言『絵本合法衢』を通しで上演する。
開幕日の4月8日には梅玉、又五郎、芝翫、孝太郎、幸四郎、愛之助、高麗蔵が揃って合同取材会に応じ、意気込みを語った。
昼の部『大杯』で井伊直弼、『お祭り』で鳶頭・梅吉を演じる梅玉は「昭和31(1956)年の初舞台の年に明治座にも初めて立ち、今回約20年ぶりの出演になる」と感慨深げに語り、「本当に明治座さんにはいろんな思い出があるわけです。今日からの本番、芝翫さんや幸四郎さんたちと一緒に、楽しく芝居を盛り上げていきたいと思います」と晴れやかな表情で挨拶。
続く又五郎も「懐かしい思い出がいっぱいある明治座さん、新しくなった劇場の明治座さん、そして素敵な浜町、人形町の街並み。たくさんのお客さまがきていただければと思っております」と思いを馳せた。また、明治座で6年ぶりの歌舞伎公演ということもあり「この明治座さんで定期的に歌舞伎公演が行われる事を願っています。そのためにも一生懸命勤めたい」と意気込んだ。
昼の部『大杯觴酒戦強者』と夜の部の通し狂言『絵本合法衢』に出演する芝翫は「(『大杯』は)久しぶりの上演作品で梅玉のおにいさんと幸四郎さんとの面白い舞台で本当に歌舞伎らしい狂言。夜の部は全力で力を注いで悪の華を咲かせております」。夜の部の『絵本合法衢』では幸四郎演じる冷酷な悪人にだまし討ちされる役目となるが、この3月に東京・歌舞伎座公演で上演された『花の御所始末』でも、幸四郎の室町幕府六代将軍足利義教に殺される畠山満家を演じている。「先月に引き続き、幸四郎さんに無残に殺されておりますけれども(笑)、ぜひ昼夜ともにご覧になっていただきたい」とアピール。
また、2020年に公演中止となった「明治座 三月花形歌舞伎」にも触れ、皆無念に初日を迎えられずに終わってしまったが、今回だいぶコロナも落ち着いた状態で、“歌舞伎のリベンジ公演”でございます」「明治座というのは歌舞伎にピッタリの小屋、芝居のイキとして良い寸法でいける。古風な香りのする良い劇場だなあと思っておりますし、ここではもっといろんなお芝居ができるな、と想像ができるような小屋でございます。劇場というよりは、芝居小屋の雰囲気がある」と話し、「この歌舞伎公演が毎年定期的にできることを、このメンバーでいろんな作品をやっていきたいと思っております」と決意を語った。
夜の部で二役を演じる孝太郎はこの日、歌舞伎座公演を休演していた父の片岡仁左衛門が復帰したことを受け「皆様にご心配をおかけしましたけれども、今日(4月8日)から復帰ということで、あちらもある意味初日、私も初日。親子負けずに、明治座もぜひよろしくお願いいたします」と静かに闘志を燃やしている様子。
昼夜出演の幸四郎は「打倒、滝沢歌舞伎!」と、同日に新橋演舞場で開幕した「滝沢歌舞伎ZERO FINAL」に触れ会場の笑いを誘いつつ、今回台本を見直し、初役で悪人二役を演じる『絵本合法衢』について、「ひとつの作品を新たに上演していける作品として、出演者皆で本当にひとつのゴールに向かって進んでいます」と気合十分。
『義経千本桜 鳥居前』で佐藤忠信実は源九郎狐を演じる愛之助は、3月の明治座公演『大逆転!大江戸桜誉賑』千穐楽を観劇したそうで「(主演の)松平健さんからしっかりバトンをいただきましたので、私たちもこれから頑張りたいと思います」とコメント。
夜の部出演の高麗蔵は「明治座さんは舞台稽古をしていても本当に“歌舞伎座”に似合う劇場だと思っております。久しぶりに出演させていただきますが、『ただいま』という感じ」とこちらも久々に歌舞伎公演をうつ同劇場に思いを馳せた。
最後に梅玉が「6年ぶりの歌舞伎公演。もともと明治座さんは歌舞伎中心の劇場でしたけど、ちょっと歌舞伎の公演がなかった。この記念公演に出させていただけることを光栄に思っております。浜町の明治座は歌舞伎の似合う小屋でございますので、是非ともご見物いただけますように」と締めくくった。
公演は4月25日(火)まで。5月公演は昼夜ともに市川猿之助が演出・出演する「市川猿之助奮闘歌舞伎公演」を上演する。
<公演情報>
明治座創業百五十周年記念
「壽祝桜四月大歌舞伎」
4月8日(土)~4月25日(火)
会場:東京・明治座
【昼の部】11:00開演
『義経千本桜 鳥居前』(11:00~11:50)
佐藤忠信実は源九郎狐 片岡愛之助
武蔵坊弁慶 中村歌昇
静御前 片岡千之助
亀井六郎 市川男寅
逸見藤太 中村種之助
源義経 上村吉弥
『大杯觴酒戦強者』(おおさかづきしゅせんのつわもの)(12:20~13:35)
足軽原才助実は馬場三郎兵衛 中村芝翫
内藤紀伊守 松本幸四郎
小姓木村采女 中村莟玉
同 松浦主水 中村歌之助
平岡治右衛門 中村松江
井伊直孝 中村梅玉
『お祭り』(14:05~14:25)
鳶頭梅吉 中村梅玉
町娘お玉 中村莟玉
若い者公造 市川男寅
【夜の部】16:00開演
通し狂言『絵本合法衢』(えほんがっぽうがつじ)
左枝大学之助/立場の太平次 松本幸四郎
うんざりお松/弥十郎妻皐月 片岡孝太郎
道具屋与兵衛 中村歌昇
松浦玄蕃/升法印 大谷廣太郎
お亀 中村種之助
お米 片岡千之助
孫七 中村歌之助
番頭伝三 嵐橘三郎
後家おりよ 上村吉弥
佐五右衛門 松本錦吾
関口多九郎 中村松江
太平次女房お道 市川高麗蔵
高橋瀬左衛門 中村芝翫
高橋弥十郎後に合法 中村又五郎
・序幕・二幕目(16:00~16:55)
・三幕目(17:10~18:05)
・四幕目・大詰(18:35~19:55)
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