サメが好きだと叫びたい!“サメ映画学会員”戸松遥、会長との対談で愛を語る
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左から戸松遥、サメ映画ルーキー。
「日本サメ映画学会」の会長・サメ映画ルーキー。2021年に公開したコラム「そろそろ真剣に『サメ映画とは何か』を考える時が来たのかも知れません」に登場してもらった彼は、サメ映画専門のバイヤー・翻訳家も兼ねており、サメ映画ファンには知られた人物だ。そんなサメ映画ルーキーと会いたがっている人物がいるという。「ソードアート・オンライン」シリーズのアスナ役、「妖怪ウォッチ」シリーズのケイタ役などで知られる声優の戸松遥だ。
戸松は自身のWebラジオ「戸松遥のココロ☆ハルカス」にて今年の目標として「サメ映画ルーキーさんと対談したい」と発言。もともと彼女はサメ好き・サメ映画好きとしても知られていたが、ラジオをきっかけに「日本サメ映画学会」にも入会。その会長であるサメ映画ルーキーに、サメ映画について教えをこいたいという。かくして実現した対談では、幼少期に「ジョーズ」を観てサメに怯えていたという戸松がなぜサメ映画にハマっているか、そして生き物としてのサメの魅力とは何かなどを、たっぷりと語ってもらった。
取材・文 / 松本真一
戸松さんがサメ映画好きと聞いて「友達なくさないのかな?」(ルーキー)
戸松遥 今日はやっと会長にお会いできるということで、サメのぬいぐるみをプレゼントに持ってきました。いっぱい持ってるとは思うんですけど。
サメ映画ルーキー えっ!? このサイズは持ってないです、ありがとうございます。家宝にします!
──今回の対談は、戸松さんが「サメ映画ルーキーさんと対談したい」と熱望していると聞き、オファーさせてもらいました。さかのぼると、もともと戸松さんがいろんなところでサメ映画が好きだとお話ししていたこともあり、ご自身のラジオに「『シャークインパクト』という面白そうなカードゲームを見つけました」とメールが届き、そのゲームに「サメ映画学会監修」と書いてあったところが発端です。
戸松 そうですね。「サメ映画学会っていうのがあるんだ」「どうやったら入れるの?」とかラジオで話してたら、会長から「サメ映画が好きなら会員です」というメールが届いたんです。なのでその後から、私も公式サイトのプロフィールに「日本サメ映画学会会員」と書かせてもらいました。
ルーキー それを見たときにはびっくりしました。怒られないのかなって(笑)。
──そこから、ルーキーさんが戸松さんのラジオにメールを出して、ラジオを通して交流されてましたよね。
戸松 私がSNSをやってないので、ファンの方から「戸松さんがサメ映画について話していた件、ルーキーさんがTwitterでこうおっしゃっています」というメールをいただいたりとか……。
ルーキー 僕がサメ映画学会の方から「戸松さんがまたサメ映画の話をしてます」って聞いたりとか(笑)。
──遠回りな交流ですね(笑)。そして今年1月の放送で、戸松さんが今年の目標として「ルーキーさんと対談」と書き初めに書いていたのが今回、実現しました。ルーキーさんは学会の名前をラジオで何回も出されたときはどんなお気持ちでしたか。
ルーキー まずびっくりですよね。サメ映画ってサブカルの中でもさらにアングラ寄りなので、うれしい気持ちとともに「大丈夫かな? 友達なくさないのかな?」みたいな(笑)。
戸松 全然大丈夫です!
──戸松さんがサメ映画の話をしてるのはいろんな媒体で見たことはあるんですが、戸松さんのサメ好きはファンには周知の事実なんですよね?
戸松 すごく浸透しています。私のライブグッズはサメモチーフのものが多いですし(笑)。ファンの方も水族館に行ってサメのグッズを送ってきてくださったりとか、私が「『シャークネード』を観たよ」って話すと観てくださったりとか。
──サメ映画好きにとってはありがたい存在ですね。
ルーキー 本当にそうですよ。僕とはパワーが違います。
戸松 そんなことないですよ! 私は「一緒に好きになろうよ」っていうことじゃなくて、自己満足で「これが面白くて!」ってただ一方的に話している感じですし。
ルーキー それが一番魅力が伝わると思うので正しいと思います。僕がアピールしても、もともとサメ映画が好きな人しかこっちを向いてくれないですからね。サメ映画を好きじゃない人を振り向かせるのは成功していないので。
──さて、そもそも「サメ映画学会とは」というのも一応説明してもらってもいいでしょうか。戸松さんのファンの方もこの記事を読むと思うので。
ルーキー そうですよね。「何?」ってなりますよね(笑)。
──単に「サメ映画が好きです」と名乗ってるだけの集団ではなく、ちゃんと組織として実態があるんですよね?
ルーキー そうですね、ちゃんと僕以外にも副会長とか顧問や広報がいて。定期的にイベントも開いてますし。
──でも会員に関しては、先ほど戸松さんが言ったように、サメ映画好きなら誰でもなれるということで。
ルーキー そうです。好きだったら誰でも名乗っていただいて構わないです。辞め方は特にないので、辞められはしないんですけど(笑)。
戸松 入ったら最後(笑)。
ルーキー 活動としてはほかにも、「(ほぼ)月刊サメ映画」という会報誌を出しています。今日も持ってきました。
戸松 わあ! 最新号ですか? ありがとうございます!
ルーキー サメ映画学会の知名度は、戸松さんのおかげでだいぶ上がりましたね。今まではネットの片隅にいるカルト集団みたいな感じだったんですけど(笑)。ラジオでしゃべっていただいたあとから、ほかのメディアからも「サメ映画学会ってなんですか?」って問い合わせがたくさん来るようになりました。
「ジョーズ」を観て「私、二度と海には入らない!」(戸松)
戸松 そもそも会長はなんでサメ映画が好きになったんですか?
ルーキー 僕はもともとそんなに映画を観るほうじゃなかったんです。でもPrime Videoで「フランケンジョーズ」っていう作品があって……今は「シャーケンシュタイン」っていうタイトルに変わったんですけど、あれを観たときの衝撃ですね。映画館では絶対にかけられないし、地上波の「午後のロードショー」でもたぶん無理なものを、商業のものとしてお出ししている方々がいるんだっていうのを知って。サブスクって、1個観ると、お薦めにたくさん出てくるじゃないですか。そこからたくさん観ているうちに気が付いたら好きになっていました。でもそれが2018年なので、戸松さんのほうがキャリアが長いと思います。
戸松 私がハマったきっかけは4、5歳ぐらいのときに観た「ジョーズ」なので、長さだけで言うとそうですね。会長とは濃さが違いますが。
──ルーキーさんはそこから、サメ映画はだいたい網羅しているんでしょうか。
ルーキー 「ジョーズ」以降の作品でこの世に存在するものは全部観たと思います。
戸松 すごい!!
ルーキー なるべく日本に入ってくる前のものとかも個人輸入して。今は個人製作でも、クラウドファンディングをやったりするじゃないですか。そういうのもチェックして、監督にコンタクトを取ることもあります。
──そうか、バイヤーとしても活動されてるんですもんね。
ルーキー そうですね。もしいいものがあったら日本に入れたいなって思ってるので。
──一方、戸松さんは子供の頃に観た「ジョーズ」がきっかけということですが。
戸松 すごいコテコテなんですけど。「金曜ロードショー」でやっていたのをたまたま観て、トラウマになっちゃったんです。
ルーキー なりますよね。あれは子供の観るものじゃないです(笑)。
戸松 「あんなに恐ろしい生き物が海にいるんだ!」と。ゾンビとかおばけに関しては、子供ながらも存在しないフィクションとして捉えていたんですけど、サメって現実にいるじゃないですか。だから「私、二度と海には入らない!」って決めたくらい(笑)。でも長い人生で海に入らないわけにはいかないから、サメと遭っちゃったときの対処法を考えようと。図鑑を買って、危険なサメと危険じゃないサメのカテゴリー分けをして、弱点とか、どういうものに寄っていくのかとか、どこの沖合に出てくるかとかそういうことを調べていたら、子供ながらにすごいサメに詳しくなっちゃったんです(笑)。
──最初は嫌いから入った(笑)。
ルーキー 嫌いっていうか、手法がサバイバルですよね。どう戦うかを考えてる(笑)。
戸松 週に1回くらいレンタルビデオ屋さんに行く家庭だったんですけど、親が映画を選んでる間に、1人でサメ映画のパッケージの裏をずっと見ているのも好きでした。今日はここからここまでの裏表紙を見よう、みたいな。でも全然借りてくれないんですよ(笑)。
ルーキー 基本、教育によくないですから(笑)。
戸松 サブスクとかもなかったので、「いつかはこういうのを借りて観てみたいな」と思っていたのが、インターネットを使えるようになってからはサメ映画について検索するようになって、ちょっとあらすじとかネタバレを書いてるサイトも見たりして。でも今はそれが解放されて、時間があるときに観れるやつは観てます。
──小さいときにパッケージだけ見て、印象に残ったものってありますか?
戸松 子供ながらに「ジョーズ」の派生系が多いことに衝撃を受けました。「ジョーズ・アタック」だけじゃなくて「ジョーズ・アタック2」もあるの?って(笑)。ジョーズは何匹いるんだ、1作目で死んだジョーズはなんだったんだろう、みたいな。別物なんですけどね。
ルーキー 日本の配給会社さんは「ジョーズ」って単語がフリーだと思っているので勝手に付けるんですよね。サメ映画だとわかりやすくするために。アメリカだと権利関係が厳しいので「ジョーズ」とは付けないところが多いんですけど。
戸松 なるほど、面白いですね。
サメは臆病で繊細な生き物なんです(戸松)
──サメに怯えていた幼少期を経て、戸松さんは現在、生き物としてのサメもお好きなんですよね。
戸松 はい。今ではリスペクトしています。
ルーキー 生き物として?
戸松 そうなんですよ。サメって種類にもよるんですけど、メスのおなかの中で卵が作られたときに最初に孵化したやつがほかの卵を食べちゃうんです。共食いじゃないですけど。その瞬間からサバイバルが始まっているんだって思うとなかなか大きくなるまで難しいというか。成長しちゃえば強いんですけど、かと思えば軟体魚類だからシャチとかには圧倒的に負けるしいろいろ不思議な生き物だなって。古代から姿形が変わってないっていうのも魅力的だし、フォルムの美しさとかにも「ほぉー」ってなるし。サメのドキュメンタリーを今でもよく観るんですけど、怖いだけじゃなくてなんか臆病で繊細な生き物でもあるんです。
──水族館にも行かれるんですか?
戸松 行きます! 美ら海水族館だとジンベイザメが花形じゃないですか。でも1メートルくらいのサメもいて、だいたいの人がスルーしちゃうんですけど私はじーっと見ちゃって(笑)。
──ジンベイザメと一緒に泳げるツアーとかもありますけど、ああいうのは?
戸松 そこは「ジョーズ」のトラウマがあるんで怖いんですよ(笑)。見るなら安全を100%確保して見たいですね。
──ルーキーさんは生き物としてのサメはどうなんですか?
ルーキー ……普通です(笑)。「ジョーズ」の影響でサメは怖い生き物っていうイメージが定着してしまいましたけど、僕はフィクションとして、かわいく描かれたサメが好きで。そういうのばっかり観ていたら本来のサメには実はそんなに興味がなくなりました(笑)。サメ映画学会の会員にはサメに詳しい方が多いですけどね。大学院でサメを研究されていた方もいらっしゃいますし。
──前回の対談でも、ルーキーさんは「サメ映画がサメのネガティブなイメージにつながっているのでは」ということを懸念されていましたが、サメ好きの戸松さんとしてはいかがですか。
戸松 「ジョーズ」のイメージが強すぎて、サメ=凶暴な肉食動物みたいなイメージになるのはしょうがない……っていうとあれですけど。サメが実は臆病で繊細っていうことは、サメのことを勉強した人じゃないとわからないというか。
──なんとかそのイメージを変えたいですよね。怖くないサメ映画もあるし。
戸松 ですね。でも「サメ映画が好き」って言っても、それで「じゃあ観てみるね」って人もなかなかいないから(笑)。この絶妙な面白さをもっと知ってほしいなっていうのはありますね。
ルーキー 言葉で伝えるのが難しいものが多いので、まず観てくれって思っちゃうんですよね(笑)。
戸松 本当に怖がらせようっていうやつと、この表現が正しいのかわからないんですけど、「本気で作ってる?」ってやつとの差が激しいんですよね。
ルーキー 正しい表現だと思います(笑)。
──怖いのと、「本気で作ってる?」っていうB級っぽい作品とでは、戸松さんはどちらがお好みですか?
戸松 あー、どっちも好きですね。ゾンビ映画とかも好きなので、リアルにドキドキしたい、スリルを求めるときは本気のやつ観るんですけど。本気のやつですごいのってそんなになくて……。
ルーキー 片手で足りますね(笑)。
戸松 だいたい面白くなっちゃう(笑)。面白いのが9割5分みたいな感じなので、本気で怖がりたい気分のときはゾンビとか違うジャンルを観ちゃうことも多いですけど。
最初に「シャーク・ナイト」を推す人って聞いたことないですよ(ルーキー)
──サメ映画を広めたいときに、初心者にこれを観てほしいという作品は何かありますか? 「サメ映画好きなんだ、今度観ておくね」って言っても観ないタイプの人でも観やすいというか。
ルーキー 僕はいつも決まってて、最初に薦めるのは「シャークネード」なんですよね。これを観てダメだったらほかのも全部ダメだから(笑)。特に2作目の「シャークネード カテゴリー2」ですね。「2」を観てそれが気に入ったらほかのも大丈夫だよって、そこからどんどんお薦めする作品のクオリティを下げていく感じですね(笑)。
戸松 わかりやすく派手なのを薦めたいときは、サメがたくさん出てくるやつがいいですよね。私が好きなのは「シャーク・ナイト」です。血が苦手な人はちょっとダメかもしれないですけど、とにかくサメをたくさん出せばいいと思ってる作品なので。ホラー映画あるあるの、浮かれた男女グループが出てくるところから始まり、「お前はこのサメでやってやろう」みたいなクレイジーなおじさんがいるから、いろんな種類のサメが出てくるのも面白いです。
ルーキー 「シャーク・ナイト」が好きって渋いですね(笑)。作品として面白いですけど、それを最初に推す人ってあまり聞いたことがないですよ。
戸松 ほんとですか?(笑) ちょっとぞっとして好きなのは「海底47m」ですね。サメだけじゃなくてダイビングの怖さもあるので、呼吸が苦しくなって怖いですね。精神的にくるサメ映画として推しています。
ルーキー 「海底47m」って面白いし普通に人にも薦めるんですけどあまり回数は観てないですね。僕はもともとホラーが苦手で、怖くて観れないんですよ。
戸松 何回も観るものじゃないですよね(笑)。
──初心者には、まず「ジョーズ」を、というものでもないですか? ちょっと怖すぎますかね。
ルーキー 前提として観ておいたほうがいいんですけど、「ジョーズ」だけ薦めちゃうと「ジョーズ」で終わってしまうので。「サメ映画」の入り口として「ジョーズ」から入らないほうがいい。あれは「映画」として観てください(笑)。生きてたら人生のどこかで、「映画」の文脈として「ジョーズ」には当たるので、今「サメ映画」としてお薦めするのは「ジョーズ」じゃなくていいなって思いますね。
──戸松さんがサメ映画に求めるもの、「こういうところが面白いんだ」という部分はなんですか?
戸松 そのときの気分によりますけどスカッと感と……いい意味で捉えてほしいですけど「ちゃんと観てなくていい」っていうか、逆にちゃんと観ると負けっていうか(笑)。
ルーキー そうだと思います(笑)。
戸松 ストーリーを考え出すと矛盾しかないので(笑)。“ながら観”でもよくて、主人公がラストでサメを倒して食われて死んで……それで「スカッとする」っていうと語弊があるかもしれないですけど。観て「ちっぽけなことで悩んでたな」と思えるのがいいですよね(笑)。
──前回の対談でルーキーさんたちが言っていた「ジョーズ2」は「サメ映画」だけど「ジョーズ」は「映画」っていう理論と通じるものがありますね。
ルーキー 「ジョーズ」はテーマとして、サメ以外にもアミティの街の政治的な状況も描かれていて、社会的なメッセージもあるんですけど、「ジョーズ2」からはなーんもないので(笑)。ただでかいサメが出てきて人と戦うみたいな。
戸松 本当におっしゃる通りで、それがサメ映画ですよね。
「パニック・マーケット」も「シャーコーン!」も好きです(戸松)
──サメ好きの戸松さんに見てほしいんですが、以前ルーキーさんがTwitterで、サメ映画に登場するサメの種類などをまとめていたんですよ。
戸松 えっ、すごい! 「シャーク・ナイト」はダルマザメが出たのが衝撃だったんですよね。オナガザメもいるんだ、ラブカも。これはなんでまとめようと思ったんですか?
ルーキー 知識を体系化して誰でもアクセスできるようにしておくのがサメ映画学会の1つの目的なので、それぐらいはやらないとって思って。
──サメの対戦相手や出現場所などもまとめられてます。
戸松 ヤバい。「パニック・マーケット」は「出現場所・スーパーマーケット」って(笑)。「パニック・マーケット」すごく好きですよ。「シャーコーン! 呪いのモロコシ鮫」(表中では原題の「Sharks of the Corn」)も面白かったです!
ルーキー そっちのほうも大丈夫なんですね(笑)。非常に低予算作品なので。
戸松 この形態変化別まとめの「サンタ化」って、サンタクロースになるってことですか?
ルーキー そうです。まだ日本に入って来てないんですけど「Santa Jaws」っていう。ちょうど今日持ってきました。
戸松 えっ、すごい! 「サンタ化」ってどういう意味ですか?
ルーキー 映画のジャンルとしてけっこう「殺人サンタ」ってあるんですよ。サンタクロースが人を襲うみたいな。そういう殺人サンタみたいなマンガを描いていた男の子が、たまたま描いたものを実体化できるペンをもらって、それで殺人サンタがサメに転生するマンガを描くんですよ。そしたらそれが現実のことになってしまって。だからこれはサンタが転生したサメですね。
戸松 面白い。思ったよりも設定がちゃんとしていました(笑)。いろいろ知らない作品ありますね。私なんてまだまだだな……。
ルーキー 9割ぐらいがサメである必要はないんですけど(笑)。
戸松 見た目をサメにしただけみたいな(笑)。
──戸松さんが観てなさそうなもので、お薦めしたいものはありますか?
ルーキー そうですね……僕が訳した作品なんですけど「BAD CGI SHARKS / 電脳鮫」なんてどうですか? 主人公の2人の兄弟が子供のときに描いていたサメ映画の脚本が、魔法のカチンコの力で現実になっちゃうという。ここでもまた魔法が出てくるんですけど(笑)。
戸松 困ったら魔法を出す(笑)。
ルーキー CGのサメが、劇中でもCGのまま襲ってくるんですけど、サメ映画なので基本的に予算もなくてCGもひどい。だから「BAD CGI SHARKS」っていうタイトルなんですけど。まさにサメ映画そのものなので。
戸松 潔いですね(笑)。(予告を観ながら)昨今、こんなCGあるんだ。
ルーキー DVDをお持ちしましたので差し上げます。
戸松 ありがとうございます! でもサメ映画の血がぶしゃー!っていう感じがなくて、コメディ感が出てるから、この映像の感じさえ受け入れられれば初心者に優しいかもしれないですね。
ルーキー 「BAD CGI SHARKS」はPrime Videoにもあります。
戸松 サメ映画はサブスクだとどこが一番熱いですか?
ルーキー U-NEXT一強だと思いますね。すごくサメ映画をフィーチャーしてくれるので。映画の紹介テキストって普通は配給側から「こういうストーリーです」と送られてきたものをそのまま載せるんですけど、U-NEXTは映画を全部観て自分で書いている人がいるんですよ(笑)。一度お会いしてみたいなと思ってるんですけど。
「ムーンシャーク」のタイトルを聞いて、アサイラムに「お帰り!」(ルーキー)
──あとはルーキーさんが戸松さんのラジオへのメールで「今年はうさぎ年じゃなくてサメ年なんだ」ということを熱く語られてましたけど、改めて今年がいかにすごいのかを聞かせてもらっていいでしょうか。
ルーキー 今年って、日本でたくさんのサメ映画が観られる年なんです。劇場初公開作品とソフトが発売されたものを合わせて、4月までで9本もあるんですよ。自分が確認できただけでも。本当に盛り上がってるのか映画会社が勘違いをしているのかどっちかわからないけど(笑)、数としては増えてます。それに「シャークネード」のシリーズ10周年は大きいですね。サメが空を飛ぶようになってから10年が経った(笑)。
戸松 あはは(笑)。
──2月から7月にかけてシリーズ6作品の上映があって、ルーキーさんも協力しているそうですね。
ルーキー 「シャークネード」を作っているアサイラムは「メガシャーク」や「ダブルヘッドジョーズ」で、サメで散々遊んできた会社なんですけど、「シャークネード」のシリーズが「シャークネード6 ラスト・チェーンソー」で終わって、そのあとにシリアスな真面目なサメ映画を2、3本作っていたんです。でも「シャークネード」ファンとしては「いやいや、サメを海に出してどうすんだよ」と思っていたわけです(笑)。そこに新たに作ったのが「ムーンシャーク」。ソ連が対米兵器として開発したサメ人間がなぜか月まで行ってしまって、月の裏にサメ人間が潜んでて、たまたま現代のアメリカ人が月に有人宇宙飛行したらサメ人間と出会ってしまう話で。最初にタイトルを聞いたときにもう「お帰り!」ですよね(笑)。
戸松 それまでの迷走期間がありますからね(笑)。
ルーキー やっぱそうだよな!っていう。その「ムーンシャーク」のDVDが4月12日に日本でリリースされますし、夏には「MEG ザ・モンスター2」の公開も決定(参照:「MEG ザ・モンスターズ2」夏に公開、複数の超巨大ザメとさらなる危険生物が登場)しましたし、あとは4月14日に「妖獣奇譚 ニンジャVSシャーク」という国産サメ映画が公開されるのも本当に大ニュースで。サメ映画って日本で全然撮ってないじゃないですか。2009年の「JAWS in JAPAN」以来ずっとサメ映画と言えるものは撮ってないというか、その1本しかちゃんとしたものが存在しないんです。あとは「男はつらいよ 寅次郎夕焼け小焼け」の冒頭で思いっきり力の入った「ジョーズ」のパロディがあるんですけどそれぐらいで。全然サメ映画に興味を示してこなかった邦画がちゃんとお金をかけて作ってくれたのは大ニュースですね。
戸松 「ニンジャVSシャーク」、坂本浩一監督が撮ってるやつですよね。予告観ましたけど最高でした(笑)。
ルーキー なんでゾンビが出てくるんだろう?って(笑)。
──坂本監督はコメントで「『忍者』×『サメ』! 誰も思いつかなかったドリームマッチ!」と言ってました(参照:“忍者VSサメ”のドリームマッチを坂本浩一が撮る!主演は平野宏周と西銘駿)。
ルーキー 実はフランスでも、パリのセーヌ川にサメが出てきて忍者と戦う作品が企画されていたんですけどまだ実現してないみたいです。
戸松 へえー!
──坂本監督と言えば、戸松さんが出演していた「獣電戦隊キョウリュウジャー」の監督ですね。
戸松 坂本監督とは「キョウリュウジャー」の前から何度かお世話になってるんですけど、監督は私がサメ好きって知らないと思います。お会いした時に話せばよかったなって今すごい思ってます(笑)。
ルーキー 日本でちゃんと商業作品としてサメを撮るのであれば特撮の人だなって前から思っていたので、うれしいですね。
──ルーキーさんは特撮もお好きなんですよね。「暴太郎戦隊ドンブラザーズ」の感想ツイート読んでましたよ。最初はドンモモタロウの変身演出で出てくるお神輿目当てで観ていたっぽいのに、でも途中からドンムラサメというサメモチーフのキャラが出てきて喜んでましたね。
ルーキー 「急にサメに寄せてきた!」って(笑)。
──ドンムラサメ、地中を泳ぐのがいいですよね。
ルーキー そうなんですよ! これ絶対サメ映画観てるじゃんって。
戸松 サメが地面を泳ぐのは完全にそうですよね(笑)。
私の夢は「マツコの知らない世界」に出ること(戸松)
──最後に、今後どうやってサメ映画を盛り上げたいかというお話もできれば。
戸松 私の夢はサメ映画好きとして「マツコの知らない世界」に出ることなんです。
ルーキー あそこはゴールですよね(笑)。出ましょう。もう1つ僕の頭の中にあったのは「タモリ倶楽部」だったんですけど、もう3月で番組が終わってしまうので。
戸松 私は語るにはちょっと知識がなさすぎるので、もし会長にオファーが来たら「戸松さんと一緒に」って(笑)。
ルーキー ぜひぜひ(笑)。でも大事なのは知識じゃないですから。
戸松 愛ですか? 愛なら大丈夫ですよ、負けませんから!
ルーキー 今って昔よりはサメ映画がちょっと熱くなってきてるというか、マイナーじゃなくなってきてると思うんで、不可能じゃないと思います。
戸松 サメ映画って今まで私の趣味で、1人で夜な夜な観ていたものでしかなくて、これが仕事につながっていくなんて夢にも思っていなかったんですよ。でもありがたいことにサメ映画学会の会員になったってプロフィールに載せるようになってから、サメドキュメンタリーのナレーションの仕事も増えたんです。「戸松さん、サメがお好きって聞いたので」とおっしゃっていただいて。言霊というか、ちゃんと好きだと言っておくもんだなって。今後もサメのお仕事を広げていきたいです。
──じゃあどんどんサメが好きだと言っていきましょう。
ルーキー あとは、戸松さんにぜひサメ映画で吹替をやってほしいですね。
戸松 やりたいですね! 色気ムンムン美女だと冒頭で死んじゃうから、なるべく生き残りたいな(笑)。
ルーキー (笑)。でもさっき“ながら観”の話がありましたけど、字幕だとそれはできないじゃないですか。だから吹替版の需要はあると思います。
戸松 でも吹替版が出るほどの作品って限られますよね……(笑)。
ルーキー そうなんですよ、サメ映画って予算がないので……(笑)。でも無理してでも作ってほしいですね。
戸松遥(トマツハルカ)
声優、アーティスト。2月4日、愛知県生まれ。2005年に行われた「第1回ミュージックレインスーパー声優オーディション」の合格をきっかけに声優活動をスタート。2008年に放送されたテレビアニメ「かんなぎ」で初主演を飾り、その後「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」「ハピネスチャージプリキュア!」、「妖怪ウォッチ」シリーズ、「ソードアート・オンライン」シリーズなどで存在感を残す。
戸松 遥 | HARUKA TOMATSU
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戸松遥の記事まとめ
サメ映画ルーキー(サメエイガルーキー)
サメ映画専門のバイヤー兼翻訳家。
サメ映画ルーキー(@Munenori20) / Twitter