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“クトゥルー神話の父”の小説を映画化、コズミックホラー「宇宙の彼方より」6月公開

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「宇宙の彼方より」日本版ポスタービジュアル

コズミックホラー「Die Farbe」が、「宇宙の彼方より」の邦題で6月3日より東京・下北沢トリウッドほか全国で順次公開される。

原作は、架空神話「クトゥルー神話」の生みの親として知られるハワード・フィリップス・ラヴクラフトが1927年に発表した小説「宇宙の彼方の色」。2010年に完成した「宇宙の彼方より」は、ある日隕石が地球に飛来したことから“すべて”が始まるコズミックホラーだ。主人公のジョナサン・デイビスは、父親がドイツの田舎村で失踪した不可思議な現象について探っていく。

監督はクトゥルー神話を愛するベトナム系ドイツ人のフアン・ヴーが務め、キャストにマルコ・ライプニッツ、ミヒャエル・コルシュ、エリック・ラスタッター、インゴ・ハイス、ラルフ・リヒテンベルクが名を連ねた。今回の劇場公開にあたり、新字幕監修を日本のクトゥルー神話研究の第一人者である森瀬繚が担当。フアン・ヴー、森瀬らのコメントは以下の通り。なお本作の劇場公開は世界初となる。

YouTubeでは予告編が公開中だ。

フアン・ヴー コメント

私は「宇宙の彼方より」という映画を誇りにしている。
この映画が、2023年現在まで世界で評価し続けてもらえたことは、私に“クトゥルー神話の父”が創始した無限の物語世界の偉大さを実感させてくれた。

森瀬繚(「宇宙の彼方より」日本語字幕監修 / ライター / 翻訳家)コメント

モノクロームの色調で描かれた、“色”の物語。自他共に認めるラヴクラフトの“最高傑作”は、これまでにも幾度か映像化されてきましたが、原作小説の再現性という点においては、今のところこの「宇宙の彼方より」が一番でしょう(むろんそれは、作品としての優劣を決めるものではありません)。だけど、違うところもあります。この映画を隅々まで楽しみたいのであれば、自分としてはむしろ、原作小説を読み込んだ上で鑑賞することをお勧めします。

河合のび(詩人 / 文筆家)コメント

「宇宙の彼方より」の原作小説は、“放射線被曝”の恐怖にいち早く注目した作品とも言われている。
この映画が、“第2次世界大戦”という原作小説には登場しない時代を、“邪悪なる光”に世界が戦慄した時代をあえて描いた理由とは。
そして、かつて起こった“2011年”を記憶の水底に沈めようとしている日本で、“2010年”に完成されたこの映画がいま公開される意味とは。
その答えはぜひ、自身の眼で確かめてほしい。

尾子洋一郎(ロシア語ロシア文学研究者)コメント

人間は自身の理解できないものに対して恐怖感を抱く。白黒で綴られた本作品はロシア語でいう、ツヴェート(色)とスヴェート(光)という韻を踏む単語を想起させる。
スグに胸に刺さる安直な作品ではないが、一生を通して、あたかも完治したやけどの痕のように、ボディーブローのように刺さる作品である。

(c)SPÄRENTOR, Studio / Produzent / Cinemago