感覚の“記憶”から生み出された作品を紹介『アール・ブリュット ゼン&ナウ Vol.3 ただよう記憶の世界』4月22日より開催
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小林一緒《無題》2003年 作家蔵 提供:クシノテラス ※参考画像
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すべて見る「アール・ブリュット(生の芸術)」とは、専門的な美術教育を受けていない人などによる、独自の発想や表現が注目されるアートのこと。国内外のアール・ブリュットの動向において、長く活躍を続ける作家と近年発表の場を広げる作家をともに紹介する展覧会シリーズ『アール・ブリュット ゼン&ナウ』の第3回目が、東京都渋谷公園通りギャラリーで、4月22日(土)から 6月25日(日)まで開催される。
同シリーズの第3回目となる『ただよう記憶の世界』は、視覚や味覚、聴覚といった身体の感覚の「記憶」から生み出された作品を、「作家のあるひと時の記憶の世界」として紹介するもの。登場するのは、国内で活動をする5名の作家だ。
幼い頃に聴いた絵描き歌を表現の出発点とし、色鮮やかなクレヨンやインクで作品を展開させた後藤友康。自身の食べた食事のメモ書きをもとに、当時の記憶を呼び起こしながら、緻密にメニューを描き出す小林一緒。気泡緩衝材(エアキャップ)の気泡の一つひとつを細かく塗り分けながら、家族とともに過ごした時間や見たものの記憶を点や線で描き出した作品を生み出す東本憲子。小学生の頃の連絡帳の記憶とも結びつくような文章を、B5判の紙の両面に模様のような形で日記のように描いていく戸來貴規。家族との旅行先で見た景色や乗り物、あるいは自宅の庭の植物などを独特の色彩感覚で刺繡にする松原日光。
5人のそれぞれが、独自の感覚と視点によって、自らの記憶を様々なモチーフの作品へと変えていく。使う素材もまた様々だが、エアキャップやカレンダーの紙、CD、ベニヤ板など、ごく身近な素材から生まれた表現が多いのも特徴だ。
同展はまた、作品の展示の仕方も様々だという。様々な形の壁にかけられた作品をたどったり、宙に浮かぶ作品の中を覗き込んだり、頭上の作品を見上げたりしながら接する作家たちの「記憶の世界」を通して、観る者もまた、過ぎ去った日々の記憶や忘れてしまった感覚に想いを馳せることができそうだ。
出品作家:後藤友康/小林一緒/東本憲子/戸來貴規/松原日光
<開催情報>
『アール・ブリュット ゼン&ナウ Vol.3 ただよう記憶の世界』
2023年4月22日(土)~6月25日(日)
会場:東京都渋谷公園通りギャラリー 展示室1、2
時間:11:00~19:00
休館日:月曜
公式サイト:
https://inclusion-art.jp/s/tadayoukioku
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